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GooglePlayの宣伝用画像(3/28)

 

GooglePlayでのアプリの公開をするにあたって、今までは512×512のアイコン画像だけで良かったのです。

ですが、現在は、アイコン画像に加えて500×1024の宣伝用画像を公開する必要があるみたいなので、ちゃちゃっと作ってみました。

 

sample1

 

 

そこそこ格好良い気がするのですが、いかがでしょうか?(笑)

一つ一つのアプリに異なる画像を設定するのは面倒でしたので、上記画像を既存の全てのアプリの宣伝画像に使いました。

この画像は、スマホやタブレットだとGoogleplayマーケットの個別のアプリ紹介ページの一番上に表示される画像ですね。

ではでは。

 

音声作品のiTunesへの一本化について(3/22)

 

私は現在、「憲法ゼミ」、「政治経済ゼミ」、「法律用語ゼミ」の3作品につきまして、ほぼ同一の音声をiTunesとAndroidアプリの2箇所のマーケットで公開させて頂いております。

iTunesでは音声作品として販売し、Androidでは条文が表示され、ボタンを押せば音声が流れるアプリとして公開しております。

もっとも、Androidマーケットでは自由に私が値段を設定できるのに対し、アグリゲーターさんという仲介業者さんを介して公開するiTunesマーケットでは、私が自由に値段を設定できるわけではない関係上、販売価格が異なったものとなっておりました。

しかし、販売対象がapkファイル(アプリ)とmp3ファイル(音声そのもの)という全く異なったものですし、音声そのものであれば手軽に聞けるし音質も良いからお値段が若干高く、アプリであれば条文と一緒に見れるけれど(50MBまでという制約上)音質も劣るためお値段が若干安い、という形で住み分け可能かなぁと思っておりました。

ですが、「どちらかに一本化されないのですか?」というお問い合わせを過去数件頂きましたし、改めて考えてみると、やはり元はほとんど同一の音声なのですから、二種類の価格がつくのは変なのかなぁと思い直し、iTunesに一本化することにいたしました。

 

ですので、Androidマーケットで有料販売しております「憲法ゼミ」、「政治経済ゼミ」、「法律用語ゼミ1・2」は、4月の頭にも公開停止作業をさせて頂こうと思います

無料の体験版は、そのまま残します。

なお、公開停止をしたとしても、新規にAndroidマーケットからご購入されることが出来なくなるだけで、既にお買い上げ頂いた方は、そのまま問題なくお使いになることができるはずですただし、GooglePlayからの再インストールが不可能になるため、バックアップを取られることをオススメいたします

また、その他の「○○ゼミ」アプリ(有料版)につきましても、順次iTunesマーケットに移植し、公開停止させて頂こうかな、と思っております。

 

これに伴い、→→ に載っている「ブックマーク」の「憲法ゼミ」等へのリンクは、「iTunesマーケットの音声作品紹介ページ」へのリンクに変更させて頂きます。

また、公開停止した場合は、再び小欄でご報告させて頂くと同時に、本HP内のアプリ紹介ページにその旨記載することにいたします。

 

今後の「アプリ」の開発方針につきましては、別途記事を書かせていただこうかな、と思っております。

それでは、今後とも何とぞよろしくお願い致します。

 

 

 

のれんとは(3/21)

 

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(マンガ : まんがで気軽に経営用語 様)

 

今回は、のれんですか……。

のれんは、主に会計学の領域ですから深入りせずに基礎を押さえましょう。

 

日常用語の「のれん」って分かりますよね?

軒先に張って日よけに使うための布です。

お店の入口でよく見かけます。店の名前とかが書かれていて、手でどけなきゃ、髪の毛や顔にファサってなっちゃう布です。

この「のれん」をくぐり抜けて、「いらっしゃいませ!何名様でしょうか」までが飲食店あるあるですね。

 

この「のれん」には、店の名前が書かれていると申しました。

今日では、真っ先に目に入る店の「看板」であり、その店を象徴するものが「のれん」だという認識が定着しています。

ここから転じて、「店の信用力、ブランド力」をも意味するものとされました。

 

この意味の「のれん」を法律学的に定義すると、得意先との関係や主人の人柄など客観的・個別的には評価できない事実関係、と定義されることになります。(最判昭和51・7・13は、「他の企業を上回る企業収益を獲得することができる無形の財産的価値を有する事実関係」と表現しています。)

他方、会計学的に定義すれば、もっと簡単です。店の信用などの目に見えない収益力が「のれん」なのです。

 

この「のれん」も法的保護の対象となります。

具体的には、「のれん」に対する侵害行為についても不法行為責任が生じるのです(大判大正14・11・28)。

 

「のれん」の会計上の取扱いにつきましても、軽く見ておきましょうか。

商法施行規則第33条第1文を見てみます。

 

「第33条 のれんは、有償で譲り受け又は吸収分割若しくは合併により取得した場合に限り、貸借対照表の資産の部に計上することができる。」

……とされています。

 

「のれん」というのは、目に見えない収益力です。

将来的に収益を上げる要素なのですから、本来であれば常に「資産」として計上されるはずです。会社の財務情報を適正に開示するという観点からは、むしろそうすべきです。

しかし、「のれん」というのは、法律学上の定義にもありましたが、客観的・個別的に評価できないです。また、評価の難しい「のれん」を経営者が自分で評価できる制度にしたら、(会計帳簿をごまかしたいというインセンティブは、経営者には常にある訳ですから)恣意的な計上のされ方が常態化するでしょう。上のマンガは、このことを言っています。やや小難しい言葉でいえば、「自己創設のれんの計上禁止」です。

そこで、普段は「のれん」は、簿外の含み資産として、「資産」の部に計上しなくてよいこととなっているのです。

ただ、「有償で譲り受け」る場合や、「合併により取得した場合」のように、「のれん」に客観的に値段が付いた場合には、それを「資産」として計上できることとされているのです。

これが、法律学及び会計学の観点から見た「のれん」の基礎中の基礎知識です。

 

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(もう一歩前へ)

 

以下は、細かい話なので、あまり見て頂く必要もないかもです。

一言で言えば、上で「のれん」に客観的に値段が付いた場合、と申しましたが、どうやって値段をつけるの?というお話です。

 

そこで、会社買収における「のれん」の扱いをもう少しだけ見てみます。

吸収合併を考えてみましょう。

食べる会社(合併存続会社)が、食べられる会社(合併消滅会社)を食べるのは、食べられる会社がおいしいからです。

その「おいしさ」の物差しは、「将来の収益力」です。比喩が過ぎますかね(笑)

 

吸収合併は、食べられる会社の「現在の価値」だけではなく、食べられる会社の「将来の収益力」をも買い取るものです。つまり、食べられる会社に支払われる購入代金には、「のれん」が含まれているのです。

そして、この「のれん」が含まれた購入代金から、食べられた会社の現在の価値を示す「純資産相当額」(= 食べられた会社が有していた全「資産」 - 引き継ぐべき全「負債」)を引きますと、数値化された「のれん」が出てきますでしょう。

 

購入代金(「純資産相当額」+「のれん」) - 「純資産相当額」 = 「のれん」

 

・・・という事です。超単純化すれば、という話ですけれどね。この「のれん」は正の場合もあれば負の場合もあります。

このように、会社買収の場合には、客観的に数値が出てきますので、恣意の入る余地が少ないため、「のれん」は(「連結調整勘定」や「営業権」という名の勘定科目として)「資産」に計上されるのです。

 

(※ ちょ~細かい補足です。以上のような「のれん」の捉え方を「差額説」と言います。国際的にはこの考え方が一般的ですし、日本においても現在はこの考え方が取られています(会社計算規則13条、企業結合会計基準等参照)。しかし、かつては「超過利益説」という考え方も有力でした。この考え方は、「のれん」は、(その店が実際に上げた利益から、その店の事業資産であれば通常上げたであろう利益を引くことで算出する)独自に数値化できる「超過収益力」と捉えます。上記最高裁判例(最判昭和51・7・13)の「のれん」の「他の企業を上回る企業収益を獲得することができる無形の財産的価値を有する事実関係」という定義は、実は「超過利益説」に立脚した定義だったのです。ただ、今の国際的な潮流及び日本の会計基準は「差額説」ですので、この判例の定義が現在も妥当しているとは考えなくてもよい気がいたします。)

 

以下は、さらなる余談です。

 

たいていの会社法の本には、企業結合における会計処理の方法につきまして、パーチェス法と持分プーリング法の二つがあると書いてあります。

パーチェス法は、取得財産を時価で再評価する方式で、持分プーリング法は、評価替えを行わずに、直前の帳簿価額を引き継ぐ方式であると書かれていますよね。

 

簡単に言い換えるとですね、パーチェス法というのは、食べる(消滅会社を購入する)という発想なのに対し、持分プーリング法は、合体するという発想なのです。

パーチェス法へ一本化するのが世界の潮流だから、持分プーリング法はなるべく使わないというお話も書いてあるはずです。計上方法が二つあれば、経営者の恣意的判断が介在する余地が生まれちゃうので、会計への信用が損なわれるからですね。

 

このように、パーチェス法一本化が世界の潮流なのですが、日本は少し変わった(まだ遅れている?)制度となっています。

パーチェス法での計上が原則なのですが、対等な者同士の合併で、どっちがどっちを食べたとも評価できない場合には、持分プーリング法を適用することになっています。

 

そして、実はこの持分プーリング法の発想からは、合併時に「のれん」は出てきません。

どちらがどちらを「購入」した訳でもないからです。二つが一つに合体したのです。

ですので、上述した「のれん」の計算式は、「差額説」を前提にした上で、パーチェス法の発想も前提にしている、ということは理解する必要があるように思います。

 

授権資本制度とは(3/21)

 

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(マンガ : まんがで気軽に経営用語 様)

 

分かり易いマンガでしたね。

うぅん、授権資本制度をちゃんと理解しようと思うと、資本制度を理解する必要があります。一から説明すると長くなりそうですが……頑張ります。

 

構成は、

1、資本制度って?

2、資本の法的性格

3、授権資本制度の登場

4、現在の授権資本制度の概要

・・・でいきましょうか。

 

1、資本制度って?

 

株主は、株式会社制度の下では、既に投下した分のお金を失っちゃうかも、という限度でのみお金を失う可能性があるのでしたよね?

これを間接有限責任と言いました。(間接有限責任の詳しい解説は、コチラをご覧ください。)

社員たる株主が間接有限責任しか負わないということは、会社と取引する人は、その会社がヤバくなった時に株主の個人資産からお金を回収できないってことです。

じゃあ、会社と取引する人は、会社からお金を回収する他はありませんね。

とはいえ、社外から会社の内部事情を詳しく知る事など出来ないのですから、その会社がどれくらいお金を持っているか分かりません。

そんなことでは、合理的な方であれば、そもそもそんな「株式会社という存在」とは取引しません。いざとなったらどの程度被害を被るか(債権回収を諦めなければならないのか)のリスク予測が出来ないからです。

 

そこで、取引相手のリスク予測を可能にするために採られた方策として、「会社がその財産を確保すべき一定の基準額(目標額)」たる「資本金」を設定し、貸借対照表及び登記にて公示すべきことにしたのです(会社法440条、911条3項5号)。そして、公示した「資本金」額を何とか会社に確保させようとする資本充実・維持の原則等の法ルールを採用しました。

これにより、会社債権者は、その会社にどのくらいのお金があるのかについて、一定の指標を得ることになりますので、ある程度のリスク予測は可能になったのです。

これが現在の資本制度の基本的な考え方です。

 

「金庫株」の記事でもここら辺につきましては、同じ視点で少し言葉を変えて説明させて頂いておりますので、併せてご参照ください。資本制度を支える資本充実・維持の原則に関する簡単な説明もこちらの記事で行っております。)

 

2、資本の法的性格

 

さて、「資本」ってそもそも何でしょう?

かつて(1950年の商法改正前)は、「出資額」(=1株の価額×発行済株式総数)を意味していました。出資者たる株主が現在会社に入れているお金の総額が「資本」(=「資本金」)というとても分かり易い概念だったのです。

ここから、「資本」の価額の変更は、株式の数の変更を意味するため、株主たちが自分達で判断すべきこととされていました。具体的には、資本は定款の記載事項となっており、増資をするためには定款を変更する必要がありますから、株主総会の特別決議が必要だったのです。単純な理屈ですから、とても分かりやすいシステムですよね。

 

しかし、そう単純にはいきませんでした。経営者側の視点から考えてみてください。

株式を発行することは、(会社防衛の場合を除けば、)何も構成員を増やすことを目的としてやるのではありません。

会社の事業資金を調達するために通常は発行します。

そして、資金調達の中でも、(自己資本として)返済の必要のない株式発行は、とても重要な方法です。

ですが、株式の発行のたびに、毎回株主総会の特別決議が必要で、時間も費用もかかるというのでは、とても経営者の資金繰りはやっていけない。こう考えられたのです。

 

そこで、1950年の改正商法は、資本を定款の記載事項とするのをやめ、より経営者の資金繰りに配慮したルール作りに舵を切りました。そこで、登場したのが今回のテーマである「授権資本制度」です。

 

(その結果、「資本」概念は変更を余儀なくされ、法改正のたびに、立法者が機動的な資金調達の必要性にどんどん配慮し、「株式」とはどんどん関係の薄い概念となりました。

今では、「資本金」概念には1、で述べたように定義がありますが、「資本」概念に定義はなく、多義的に用いられています。

「株主の投下資本」といえば、「お金」(より正確には、「将来利益を生み出す源泉」)というだけの意味ですし、計算の分野では、「資本」は「純資産(資産-負債)」を意味することもあります。)

 

3、授権資本制度の登場

 

それでは、やっと本題ですね。

株式の発行は、「社員」たる地位の売買なので、基本的には社員たる株主が(株主総会において)自分達で判断すべきものです。特に、第三者に割当てられる場合は、支配率や株式の価値を左右するため、既存の株主は大きな利害関係を有しています。

他方で、株式の発行は資金調達の手段なので、時間がかかる株主総会を経ることなく、スピーディーに結論を得ることができる取締役会で決定したいという機動的な資金調達の要請も軽視できません。経営者による機動的な資金調達ができなくて困るのは、会社の「残余権者」たる株主自身です。

この二つの対立する要請を調整する制度として、1950年改正商法は、授権資本制度を導入しました。

大きな考え方としては、資本を定款の記載事項とするのを止める代わりに、発行可能株式総数(株式をどのくらいまでなら発行することができますよ、という数)を定款に定め、その範囲内でなら、(株主総会の決議を経ずとも)取締役会の決議だけで株式を発行出来る、という制度にしたのです。

取締役会決議での株式発行を可能にすることで、機動的な資金調達の要請に配慮するとともに、「発行可能株式総数」という上限を設けることで、既存株主の利益にも配慮しています。

この制度は、「定款」により、「株式の発行権限」が「取締役会」に「授権」されていると見ることが可能なため、授権資本制度と言うのです。

なお、今では上述のように「株式」と「資本」の概念は、関連性が薄くなっており、もはや「資本」が「授権」されていると見ることはできませんので、本当は「授権株式発行制度」とでも言うべきなのでしょうが、用語法として定着しているため、「授権資本制度」と現在でも言われています。

 

以上が、授権資本制度の大まかな理解でした。

後半では、現在の授権資本制度の概要をお伝えしたいと思います。

 

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(もう一歩前へ)

 

4、現在の授権資本制度の概要

 

では、大まかな現在の会社法における授権資本制度を見ていきましょう。

まず、おさらいです。

授権資本制度は、ざっくり言えば、発行可能株式総数(株式をどのくらいまでなら発行することができますよ、という数)を定款に定め、その範囲内でなら、(株主総会の決議を経ずとも)取締役会の決議だけで株式を発行出来る、という制度でした。

 

授権資本制度を採用している事を示す会社法上の条文を指摘するとすれば、

37条1 発起設立による会社設立時、会社が成立するまでに「発行可能株式総数」を定款に定めるべし、という条文

98 募集設立による会社設立時、会社が成立するまでに「発行可能株式総数」を定款に定めるべし、という条文

113条1 定款を変更して「発行可能株式総数」の定めを廃止しちゃダメ、という条文

199条1項、2 株式の発行は「株主総会」(の特別決議)で行うのが原則だよ、という条文

200条1 「株主総会」が(特別)決議によって、株式の発行を「取締役」(「取締役会」)に委任してもいいよ、という条文

201条1 公開会社では、株式の発行は「取締役会」がするのが原則に変更するよ、という条文

……以上ですかね。

 

さて、この「発行可能株式総数」で枠をはめるという発想、このままだと枠としてちゃんと機能しなさそうだ、という事は分かりますでしょうか?

例えば、会社を設立する時点から、「発行可能株式総数」を「1兆株な~!」と子供みたいな事をすればどうなりますか?

事実上、経営者は何不自由なくいくらでも株式を発行できることになります。こんな事が可能であれば、「発行可能株式総数」という枠は、絵に描いた餅なのです。

 

この問題に対処する為、会社法は「4倍ルール」を採用しています(会社法37条3項、113条3項)。

「常に発行可能株式総数の4分の1以上は、現実に株式を発行しておかなければならない」というルールです。逆に言えば、「常に現在発行している株式の4倍までに発行可能株式総数は抑えなくてはならない」ということですね。

こうすることで、「発行可能株式総数」を「1兆株」にしたければ、少なくとも「2500億株」を実際に発行する必要がありますので、そんなことはムリなのです。

 

また、このようなルールを明示することで、既存株主は、新株発行に伴う自分の支配率の低下が「最大でも4分の1にとどまる」等というリスク分析をすることが可能となります

例えば、A社は、「発行可能株式総数」が「20株」で、現在「5株」発行しているとします。Bくんはそのうち「1株」もっていますから、支配率は現在20%です。

経営陣が、授権の範囲内で最も多く発行しても、あと「15株」発行することができるだけです。

その15株が他の人に割り当てられたとすると、Bくんは、全「20株」のうち「1株」保有していますので、支配率は5%になります。

このように、経営陣による株式発行の上限が設定されることで、株主は、支配率がどの程度薄まるかの予測を立てることができます。これも「4倍ルール」の効用ですね。

 

(この「4倍ルール」は公開会社だけのルールです。非公開会社であれば、上述のように基本的には「株主総会」の特別決議によって株式の発行を判断しますので、こんなルール必要ありません。(会社法37条3項ただし書、113条3項ただし書))

 

だいぶ長くなりましたので、このあたりにしましょうか。

株式の消却・併合時に「4倍ルール」が維持されるか(結論だけいえば、現会社法の下では例外的に維持されない)というお話もしたかったですが、少し細かすぎますよね。

以上です!

共益権とは(3/20)

 

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(マンガ : まんがで気軽に経営用語 様)

 

・・・う~ん。株主提案権は、「株主は、取締役に対し、一定の事項を株主総会の目的とすることを請求することができる」(議題提案権、会社法303条1項)等というものですから、このマンガには少し誤解が含まれている気がいたします。

社長が、同時に株主であれば株主提案権を行使できますが、そもそも社長は取締役なのですから、そんな回りくどいことをする必要はありません。取締役(あるいは取締役会の一員)として、議題を提案し、あるいは議案を提出すればそれで良いのです(会社法298条1項2号、4項等)。

株主提案(権)という言葉が、株主「が」提案するものであって、株主「に対して」提案するものではない事も併せて押さえておきましょう。

 

さて、本題である共益権の話に参りましょう。

自益権と共益権の区別につきましては、既にコチラの記事で述べました。

簡潔にだけおさらいしますと、

会社法上、株主に認められている権利の中で、「権利を行使する株主のみが利益を受けるもの」を自益権と呼び、「権利を行使する株主以外の株主も利益を受け得るもの」を共益権と呼んだのでした。 

そして、自益権は、株主が会社から直接経済的利益を受ける事を目的とする権利と定義できるという話を上記記事においてさせて頂きましたね。

これに対して、共益権は、株主が会社の経営に参加・関与し、又は会社の経営を監督・是正することを目的とする権利と定義できます。

 

共益権の具体例はホント数多いですが、重要なものをピックアップして見ていきましょう。

まず、最も重要なのは、議決権(会社法105条1項3号)です。株主総会において、個々のテーマに対して賛否の票を投じる権利です。

あとは、マンガにも登場した(株主総会で議論するテーマを設定したり(=議題提案権)、特定のテーマにおける自らの考えに対して賛否を問うことができる(=議案提出権))株主提案権や、(株主総会の場で経営陣に質問し、回答を求めることができる)質問権などがあります(会社法303条~305条、314条)。

以上が、定義の中でも「株主が会社の経営に参加・関与……することを目的とする権利」という部分の具体例です。基本的には、株主総会の一員として会社の経営に口出しする権利、という感じですね。

 

「会社の経営を監督・是正することを目的とする権利」の具体例としては、まずは書類等の閲覧等請求権が挙げられます。取締役会・監査役会等の議事録や、計算書類・会計帳簿などを株主がチェックすることで、経営陣に対して、ちゃんと経営しているかプレッシャーをかけることができるって事です。

次に、取締役等に対する責任追及の訴えなどの、訴訟の提訴権が挙げられます(会社法847条等)。これは、経営陣と対立してでも経営の是正を図る手法ですね。

 

以上で、共益権の中でも重要なものについては、概観できたように思います。

 

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(もう一歩前へ)

 

もう語るべきことは語ってしまった……。

議決権について掘り下げるか、株主提案権について掘り下げるか、訴訟の提訴権について掘り下げるか……。

 

この中で一番重要なのは株主総会での議決権です。

会社法308条1は、「株式一株につき一個の議決権を有する」と規定しています。

つまり、出資をたくさんして、株式をいっぱい保有している人ほど、(その株式が議決権制限株式でない限り)議決権もたくさん持つことができるのです。1人1票ではないのです。

 

そして、議決権を代理行使できるのか、というのも議決権についての重要な論点なのですが、その点につきましては、コチラの記事で、取締役会の議決権と株主総会の議決権を比較しながら、その違いを述べましたね。

改めて申しますと、取締役会においては、プロとしてのその取締役自身の能力への信頼を基礎に、取締役会で情報を集約しつつ、プロ同士の喧々諤々の議論を経て結論を得ることが求められているのですから、議決権の代理行使は認められません。

これに対して、株主総会においては、株主は出資者以上の何者でもなく、その能力・個性は重視されません。

ですので、会社法310条1は、「株主は、代理人によってその議決権を行使することができる」としており、原則として議決権の代理行使は認められているのです。

 

こんな感じですか。代理人資格を限定して、株主の議決権代理行使の機会を一定程度制限する定款の有効性という応用のお話があるのですが、まぁすごく長くなりますし、そこまでは止めましょう、うん。

合理的な理由があって、相当程度の制限なら、そんな定款も有効になる(最判昭和43・11・1)という結論のみ書いておきますね。以上です。

 

自益権とは(3/20)

 

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(マンガ : まんがで気軽に経営用語 様)

 

教育マンガとして、素敵な内容でしたね。

会社法上、株式会社の株主に認められている権利はたくさんありますが、それらの権利は、「権利を行使する株主のみが利益を受けるもの」と「権利を行使する株主以外の株主も利益を受け得るもの」とに分類することができます。

そして、会社法学は、前者を自益権と総称し、後者を共益権と総称しています。

 

かつては、自益権は「株主が自らの利益の為に行使できる『権利』(=株主が社員の資格として有する権利)」で、共益権は「株主が会社のために行使すべき『権限』(=株主が会社の機関としての資格で有するに過ぎない権限)」である等という区別がなされることもありましたが、現在ではその議論はほとんど克服されています。

すなわち、自益権も共益権も『権利』であり、株主は自らの利益のために行使できるのです。ただ、その権利行使の結果として、自分だけが利益を得るのか、他の株主も利益を得る可能性があるのかで、自益権と共益権は分類されるのです。

このような現在の考え方からは、自益権と共益権とを区別する実益はさほどなく、共益権の方が他の株主の利益にも影響することがあるのでより制約されうる、ということがざっくりと言える程度なのです。

また、(一般には共益権とされている質問権や帳簿閲覧権は、実は利益を得ているのは権利行使した本人だけと言えない事もないため)自益権と共益権との区別が曖昧になってきているという指摘もあります。

 

さて、では自益権の説明に入ります。

自益権は、株主が会社から直接経済的利益を受けることを目的とする権利と一般に定義されています。

何故、「経済的利益」に限定されているかと言えば、単純な話で、会社法上株主に生じ得る利益の中で、「権利を行使する株主のみが受け得る利益」は基本的には「経済的利益」しかないからです。

 

自益権の具体的な内容を見てみましょう。

自益権の中でも一番重要なのは、やはり剰余金の配当を受ける権利(会社法105条1項1号)です。会社の業績が良いときにお金(=配当)を貰える権利ですね。

その次に重要なのは、残余財産の分配を受ける権利(会社法105条1項2号)です。会社が倒産しちゃった時に、会社が借金を全部返し終わった後に残った財産(=残余財産)を株主の皆で分け分けしよっか、という権利です。もちろん会社が解散したケースですから、残余財産なんて無い場合の方が多いです。そんな場合には、この権利は絵に描いた餅です。

あとは、会社法上、一定の場合に認められる株式買取請求権(=株主が会社に対し、株式を公正な価格で買い取ることを請求できる権利。会社法116条、469条等参照)も、株主自身のためだけの権利ですから自益権に分類されます。

 

これで、自益権についてざぁ~っと概観できたように思います。

 

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(もう一歩前へ)

 

せっかくですので、会社法105条を見ておきましょう。とても重要な条文です。

 

第105条

1項  株主は、その有する株式につき次に掲げる権利その他この法律の規定により認められた権利を有する。

 1号  剰余金の配当を受ける権利

 2号  残余財産の分配を受ける権利

 3号  株主総会における議決権

2項  株主に前項第一号及び第二号に掲げる権利の全部を与えない旨の定款の定めは、その効力を有しない。

 

105条1項の1号と2号が、自益権の中でも最も重要な二つの権利でしたね?

3号の議決権は、共益権の中でも最も重要な権利です。ただし、これは別途共益権の記事で取り上げましょう。

今回のコーナーでもう少しだけ掘り下げようとしているのは、105条1項1号の剰余金の配当を受ける権利です。

 

どこかの会社の株主になられた事のある方なら分かると思うのですが、この権利って変な権利じゃありませんか?

剰余金の配当を受ける権利といっても、株主からアクションを起こして、今期の業績すごく良かったから内部留保に回さずに配当寄こせ!と請求できるわけではないのです。

会社の経営陣が配当するぞって決め、株主総会の決議(一定の場合には取締役会の決議)で配当に関する事項を決議して初めて、株主に「決議の内容に従った分の配当寄こせ!」と請求できる具体的な権利が生まれるのです(会社法454条、459条)。

 

もちろん、だからといって、株主としては、配当というインカムゲインが仮に得られなくても、内部留保に回る事によってキャピタルゲインが得られる訳ですから、株主が損をしているというお話ではありません。(インカムゲインを得るかキャピタルゲインを得るかについての、その局面局面における選択権が無いのですから、短期的には損をする可能性があると表現する事も可能かもしれませんが。)

そうではなくて、105条1項1号の剰余金の配当を受ける権利というのは、(具体的な配当の決議が無い限り)会社に請求できる訳でもない、名ばかりのふわふわした権利だという事が言いたかったのです。

この剰余金の配当を求める権利の、ふわふわした権利である、という特徴を、難しい言葉で言うと、権利内容の未確定性を有する、と表現されています。

大切な特徴ですので、是非覚えておいてくださいね。

以上で終わりますね。

刑法マンガ記事公開完了です(3/8)

 

刑法マンガ記事は、今まで公開した計10記事で公開完了いたしました!!

本当は、「遡及禁止論」、「概括的故意」、「被害者の素因」等もう少しマニアックなテーマも取り扱い可能だなぁとは思っていたのですが、刑法初心者を対象としていたはずのコーナーでそんなテーマ取り上げてどうするんだ?という疑問が自分の中で強くなり、取り扱いをやめました。

というわけで、厨二病棟様のマンガを利用してのマンガ記事は以上になります。

 

厨二病棟様、マンガコンテンツの利用許諾を頂きまして本当にありがとうございました!

既に本日、メールにて直接御礼申し上げましたが、改めてこの場でも御礼申し上げます。

あと、カミガミエビデイたまに拝見しております!超神様が好きです!

 

さてはて、現在、色々着手しております。

宅建を題材とした新HP・アプリ・音声作品制作の下準備作業を一歩一歩進めておりますが、

「憲法☆日和」の条文音声化も着々と進行させて頂いております。

条文音声化は、4月の上旬には完成しそうなので、次はこれを宣伝するtwitterのbotでも作ってみようかなぁと思ったりしております。

 

本HPの更新は、主として会社法マンガ記事の更新がしばらく続くと思われます。

それでは、今後ともよろしくお願いいたします。

 

 

正当防衛とは(3/3)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆ : 誰でも読んで頂けます】

 

それでは、「正当防衛」の解説をしますね。

前半で、「正当防衛」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)は、「正当防衛」となるのか、という観点から解説します。

 

正当防衛については、おそらく皆さんご存知でしょう。

悪い人の攻撃に対して、身を守るために反撃する行為は違法な行為じゃないって感じですよね。「ヤらなきゃヤられる!だったらヤるしかねぇだろ!」ってやつです。その認識でオッケーです。

刑法36条1項に載っていますので、一応見ておきますか。

 

第36条

1項  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

 

誰かが急にあなたに殴りかかってきました。

一方的に数発殴られた後、とっさに地面に落ちていた握りこぶしサイズの石をつかみます。

顔を狙っても外れる可能性が高いので、的が大きい相手の腹に!

石は相手の脇腹に命中し、相手が痛みで動きを止めた隙に大声で警察を呼びながらあなたは逃げました。

 

さて、以上のような状況を想像してみます。

あなたも相手もおそらくケガをしているでしょう。

そうすると相手の行為は、傷害罪となることは分かりますよね?

(分からない方は、コチラの記事をご覧ください。)

しかし、あなたの行為も素直に考えれば傷害罪になりそうであることは分かりますでしょうか?

だって、あなたも石を投げつけて相手を攻撃していますし、相手はケガをしちゃっていますよね?

 

ですが、悪いのは相手なのに、こんな場合にあなたが犯罪者となるのはオカシイです。

そこで、「正当防衛」という規定があるのです。条文に当てはめて考えてみましょう。

 

誰かが急にあなたに殴りかかってきた状況こそ、「急迫不正の侵害」状況です。

そして、あなたは自分自身の生命・身体という重要な「自己の権利」を「防衛するため」、「やむを得ずに」石を投げつけました。

完全に36条1項に書いてあることに当てはまりますよね?

ですので、あなたの行為は傷害罪になりそうでしたが、正当防衛行為として「罰しない」事とされるのです。

 

正当防衛の基礎知識は以上です。

なお、正当防衛と似た概念に緊急避難というものもあります。

この二つの概念の比較・説明は、既にコチラの記事で行っておりますので、併せてご参照くださいませ。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

今回、テロみちゃん(金髪の女の子)は、サドみちゃんを倒して学校の支配者になろうと点火状態のダイナマイトを片手に持っています。投げつける気満々でした。

点火状態のダイナマイトを手に持ちながら窓を開けることで、ターゲット(サドみちゃん)との間の物理的障害を無くした時点(=要は、1コマめの段階)で、おそらくテロみちゃんに殺人未遂罪が成立しますが、まぁ本題ではありませんので脇に置いておきましょう。

 

分析の対象は、サドみちゃんが、テロみちゃんのダイナマイトを打ち抜いてテロみちゃんをやっつけた行為です。

この行為も、殺人未遂罪になりそうな行為です

(未遂なのは、今後もテロみちゃんは元気に登場するからです。)

 

しかし、「正当防衛」に当たるのであれば、「罰しない」として無罪となりますので、「正当防衛」になるかを検討しましょう。

刑法36条1項をもう一度載せておきます。

 

第36条

1項  急迫不正の侵害に対して、自己又は他人の権利を防衛するため、やむを得ずにした行為は、罰しない。

 

テロみちゃんが急にガラッと現れ、ダイナマイトを投げつけようとしたのは、どう考えても「急迫不正の侵害」です。

そして、サドみちゃんは最強設定ですが、体が通常人よりも丈夫という描写は私の知る限りございませんので、ダイナマイトから身体を守る必要があるのは一般人と変わりません。

ですので、自分の生命・身体という「自己の権利を防衛するため」、「やむを得ずにした」と評価できます。

 

よって、今回のサドみちゃんの行為は、正当防衛であるため無罪ということになります。

 

(法学部生向けの補足です。更なる細かい議論は可能ですが、正当防衛が成立するという結論は動かないでしょう。例えば、サドみちゃんが防衛にとどまらず攻撃の意思を有している可能性はありますが、防衛の意思必要説に立ったとしても、積極的加害意思がない限り、攻撃の意思を併有していたとしても防衛の意思の存在は肯定されます。そして今回の事例で積極的加害意思の存在を基礎づける事情はありません。また、サドみちゃんとテロみちゃんには明らかに力の差がありますが、そこから今回の行為が「やむを得ずにした」とは言えず(質的過剰として)過剰防衛だとするのも無理があります。お互いの武器は、近接距離での点火状態のダイナマイトと銃であり、武器として対等と評価すべきだと思います。)

 

 

脅迫罪とは(3/2)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆ : 誰でも読んで頂けます】

 

それでは、「脅迫罪」の解説をしますね。

前半で、「脅迫罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「脅迫罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

脅迫罪というのは、ホントそのままですが、人を脅すことによって成立する犯罪です。

脅迫罪が載っている刑法第222条を見てみましょう。

 

第222条

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 

例えば、「次見かけたらぶん殴るからな!」とか、「万引きした事を会社に言われたくなかったら分かりますよね?」的な行為です。

「次見かけたらぶん殴るからな!」というのは、通常は、「身体」「に対し害を加える旨を告知して」いますし、「万引きした事を会社に言われたくなかったら分かりますよね?」というのは、「名誉」「に対し害を加える旨を告知して」います

これらの行為が、「脅迫」行為なのです。

 

なお、この条文にいう(「脅迫罪」の対象となる)「脅迫」は、一般人を怖がらせることができるレベルのものをいいます。

例えば喧嘩に負けた後に、半泣きで「次見かけたらぶん殴る!」と言った場合や、友人同士が冗談めかして「次会ったらぶん殴るからな!」と言った場合を想像してみると、このような状況における「次会ったらぶん殴る!」という言葉では、フツーの人は、全くビビりませんので、ヤバさレベルが足りず、「脅迫」には該当しません。

つまり、誰でもフツーは怖がるよ、ってレベルじゃないと、「脅迫罪」として犯罪となる「脅迫」には当たりませんので、この点は注意して下さいね。

そして、そのレベルに達しているかどうかは、告知された内容や、お互いの身長、性別、年齢、周囲の状況など、様々な要素を踏まえて、個々の事例ごとに判断されるのです。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

もう一度、刑法222条を載せておきますね。

 

第222条

1項 生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して人を脅迫した者は、二年以下の懲役又は三十万円以下の罰金に処する。

 

サドみちゃんの「せんせいはなんでしぬの?」発言は、「生命」「に対し害を加える旨を告知して」いると解釈することができるでしょうか。

また、この発言は、誰でもフツーは怖がるレベルの「脅迫」でしょうか。

 

では、「なんで死ぬの?」という発言が、「脅迫」になりうるのか考えてみましょう。

この問題を考えるにあたって参考となる事件があります。

2つの派閥が抗争を広げている地域がありました。A派とB派としましょうか。このうち、A派の人間が、B派の中心人物の家に、今まで出火したこともないのに、「出火お見舞い申し上げます」と記載した葉書を郵送しました。

裁判所(最判昭和35・3・18)は、このA派の人間が葉書を出した行為を「脅迫」にあたる、としました。

「火つけるぞ」と直接書かれていないものの、その含意を読み取り、「生命、身体」あるいは「財産」「に対し害を加える旨を告知して」いると判断したのです。

そして、抗争状態であるという背景をも併せて考えると、それは一般人であれば、誰でも薄気味悪くなって怖くなるレベルですので、「脅迫」にあたるとされたのです。

 

この事件と、今回のマンガは、似ている部分もあれば異なる部分もあります。

 

似ている部分は、サドみちゃんの「なんで死ぬの?」という発言は、(上記事例における葉書が、純粋に出火をお見舞いするものではなかったのと同様、)純粋な死への疑問ではなく、先生を精神的に圧迫するための手段である、ということです。

これは、法律学がどうのというより、このマンガの文脈と申しますか、サドみちゃんのキャラから当然に導かれます。同じ発言を二度繰り返した事からも明らかですよね。

ここから、サドみちゃんの「せんせいはなんでしぬの?」発言は、「生命」「に対し害を加える旨を告知して」いると一応は解釈することができそうです。

(このように解釈できない、と考えることも可能です。そのように考える場合は、以下の検討を経ることなく脅迫罪不成立です。)

 

異なる部分は、これまたサドみちゃんのキャラから導かれる、法律学から程遠いお話なのですが、(トモみちゃんというキャラが別の4コマでサドみちゃんを評している通り)サドみちゃんは、基本的に構ってちゃんなので、発言が構って欲しい一心で出ている事を先生も重々承知しているであろうことです。それをも踏まえると、「脅迫」レベルには達していないと評価できることになります。

 

以上のような点を総合的に評価すれば、「脅迫」レベルには達しておらず、「脅迫罪」は成立しない可能性が高いと思われます。

 

まぁ、こんな感じで、マンガのキャラが対象なので、少し議論の精密さには欠けましたが、脅迫罪とはどういうものであり、どんな思考の手順を踏んで、とある行為が脅迫罪に該当するか判断するのかは分かって頂けたのではないでしょうか。

 

逮捕罪とは(3/1)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★★☆ : 基本的には誰でも読んで頂けますが、少し難しい部分があるかもです】

 

それでは、「逮捕罪」の解説をしますね。

前半で、「逮捕罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、テロみちゃん(金髪の女の子)に、「逮捕罪」が成立するのか、という観点から解説します。

今回は、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)ではなく、テロみちゃん(金髪の女の子)の罪責を検討いたしますので、注意してくださいね。

 

まず、逮捕罪を初めて学習するにあたって、一番大事なのは、『「逮捕」って警察官が犯人を捕まえるときにやるヤツだよね、ほら、あの手錠かけるヤツ』という固定観念を一度取っ払ってしまうことです

「逮捕」という行為は、警官だけがやる行為ではありません。

 

私があなたを羽交い絞めにしました。

ならば、私はあなたを「逮捕」しています。

 

柔道の試合で、田中選手が、前田選手に対して袈裟固めで、一本を取りました。

ならば、田中選手は、前田選手を「逮捕」していたのです。

 

このように、「逮捕」という行為は、誰かが誰かを直接拘束して、身体の自由を(一定時間継続して)奪う行為を指します。自分の身体を使って、相手の身体を動けなくすれば、その行為を「逮捕」と呼ぶのです。

「逮捕罪」という罪がある理由が分かって頂けましたよね?

人の身体の自由を奪うのは、基本的には良くない行為ですから、犯罪とされているのです。

 

「逮捕罪」について規定しております刑法220条を載せておきます。

 

第220条  不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

 

「逮捕」が悪い行為とされていますよね?

「監禁」と同レベルに悪い行為なのです。

「逮捕」は、直接的に相手の身体の自由を奪う行為でしたが、

「監禁」は、間接的に相手の身体の自由を奪う行為です。

ドラマとかでよく見る誘拐の現場を想像してください。

被害者を羽交い絞めにして車に連れ込むシーンが、「逮捕」している状況で、その後アジトの部屋に鍵をかけて閉じ込めるシーンが、「監禁」している状況なのです。

 

では、警官の行う正式な「逮捕」や、柔道の試合で行われている「逮捕」は、何故、「逮捕罪」とならないのでしょうか。

これは、簡単に言えば「不法」ではないから(より正確には違法性がないから)です。

柔道の試合で行われる「逮捕」は、競技の一環として当然生じ得る正当な行為として社会的に容認されておりますので、違法性がない「逮捕」行為なのです。

また、警官の逮捕も、憲法及び刑事訴訟法等に、きちんとした手続を踏んだのなら逮捕してもいいよ、と書いてありますので、法が許しているのですから当然違法性がないのです。

 

こんな感じです。

「逮捕」は誰にでもなしうる悪い行為なのだ、ということ、及び、警官の「逮捕」は例外的に許されているのだ、ということを押さえて頂けますと、「逮捕罪」という概念は理解できたことになります。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、テロみちゃん(金髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

もう一度、刑法220条を載せておきます。

 

第220条  不法に人を逮捕し、又は監禁した者は、三月以上七年以下の懲役に処する。

 

そんなに難しくありませんね?

トモみちゃん(茶髪の女の子)の同意なく、トモみちゃんの首に自らの右腕を回し、トモみちゃんの身体の自由を(一定時間継続して奪っておりますので、テロみちゃんの行為は、「逮捕」です。

また、この行為を正当化する理由がありませんので、この「逮捕」行為は「不法」です。

よって、テロみちゃんの行為は、「逮捕罪」に該当することになります。

 

なお、友達同士がじゃれあって、例えばプロレスごっこをやっていたとしても、それは「逮捕」行為ではありますが、「逮捕罪」が成立することは通常ありえません。

そのような行為は、社会的に許容されていると考えられますし、フツーは相手の同意があり、違法性はないからです。

今回のテロみちゃん達の行為を、子供同士の誘拐ごっこと仮に見るのであれば、「逮捕罪」は成立しませんが、それはこのマンガの見方として誤りである気がいたします。

 

以上が、今回のテーマ「逮捕罪」に関係するお話でした。

 

 

ちなみに、以下は余談ですが、テロみちゃんが、トモみちゃんの「生命」「に対し」「害を加える旨を告知して」、サドみちゃんに「降伏しろ」という内容の「義務のないこと」を行わせようとしていますが、

テロみちゃんの今回の行為に強要罪って成立すると思います?

強要罪についてまだ学習されていない方は、コチラをご覧ください。

 

刑法223条全文を載せておきますので、考えてみてください。

 

第223条

1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

2項 親族の生命、身体、自由、名誉又は財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者も、前項と同様とする。

3項 前二項の罪の未遂は、罰する。

 

答えは、強要罪は成立しません

 

サドみちゃんが「いいとも」って言っているからじゃないですよ?

「人に義務のないことを行わせ」る(=今回で言えばサドみちゃんを降伏させる)ことに失敗した場合でも、それをやろうとして脅迫行為を開始した時点で、「未遂」となります

 

今回は、その未遂すら成立しないのです。

その理由は、サドみちゃんとトモみちゃんは、親族関係にはないから、です。

 

強要罪というのは、その人自身か、その人の親族を脅して、その人に無理矢理何かをやらせる犯罪です。

今回のケースでいえば、サドみちゃん自身か、サドみちゃんの親族を脅して、サドみちゃんに降伏させようとする行為が、強要罪です。

その人の友達を脅して、その人に何かをさせようとしても強要罪にはなりません。

刑法222条は、そのような場合に「強要罪」になりますよ、とは書いていないからです。

したがって、テロみちゃんに、サドみちゃんに対する強要罪は成立しません。トモみちゃんに対する脅迫罪は成立しますけどね。

 

この結論に違和感を覚えられる方もおられるかもしれません。

なんで、「親族」と「友達」を区別するんだよ、と。その人の親族を脅した場合は罪なのに、その人の友達を脅しても罪にならないのかよ、と。もっともな考え方です。正論です。

ですが、事件を処理する裁判官は、そのように考える訳にはいかないのです。

 

詳しくは、「(被告人に不利な形での)類推解釈禁止の原則」「罪刑法定主義」でググってみてください。

紙幅の関係上、ここで説明することはできませんが、刑法を学習するにあたって、一番重要な概念が、この「罪刑法定主義」です。

 

では、余談が長くなり過ぎましたので、この辺で。

 

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