(マンガ: 厨二病棟 様)
【難易度 ★☆☆: 誰でも読んで頂けます】
それでは、「強要罪」の解説をしますね。
前半で、「強要罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、
後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「強要罪」が成立するのか、という観点から解説します。
強要罪というのは、刑法223条に規定があります。
載せておきます。
第223条
1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
つまり、「ボコボコに殴った上で、もっとぶん殴られたくなかったら、パン買ってこい!」とか、「この数学の0点の答案を町中にばら撒かれたくなかったら、このバケツ持って廊下で立ってなさい!」とか、そんな感じで、やりたくもない事を、殴ったり脅したりして無理矢理やらせる行為が、この強要罪に該当する行為です。
条文の表現を用いて言いますと、
「ボコボコに殴った上で、もっとぶん殴られたくなかったら、パン買ってこい!」というのは、「ボコボコに殴る」という、「暴行を用いて」、「パンを買ってくる」という「人に義務のないことを行わせ」ているため、強要罪なのです。
「この数学の0点の答案を町中にばら撒かれたくなかったら、このバケツ持って廊下で立ってなさい!」というのは、「数学の0点の答案を町中にばら撒くぞ」という「名誉」「に対し害を加える旨を告知して脅迫し」、「バケツを持って廊下で立つ」という「人に義務のないことを行わせ」ているため、強要罪なのです。
これで、強要罪がいったいどんな罪であるのかは、分かって頂けましたよね。
「暴行」又は「脅迫」を手段として、義務もないのに、人にやりたくない事を無理矢理やらせる行為が、強要罪にあたるのです。
CMコーナーです。
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では、後半参りましょう。
前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか考えてみます。
罪が成立するかどうかは、刑法の条文に、今回のサドみちゃんの行為がぴったり当てはまるのかどうかで判断します。
裁判官になったかのような気分で読み進めてください。
もう一度刑法第223条1項を載せておきますね。
第223条
1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。
え~サドみちゃんは、銃を持っていますよね(笑)
人に銃口を向けた状態ではないとはいえ、銃を持って相手に迫る行為は、「生命」や「身体」に対する危険が高い行為です。
また、「告知」というのは、相手に「やってやるです!(byタ○ちゃん)」と口頭で伝える事だけを意味する訳ではありません。
例えば、ナイフを首元に突きつける行為や、銃口をこめかみに押し当てる行為も、態度による「害を加える旨」の「告知」と評価されます。「従わなければ、命はないぞ」と言っているのと同じだと評価できるということです。
であれば、今回の銃を持って相手に迫る行為は、口頭ではなく態度によって「害を加える旨を告知して脅迫」している行為と評価できるわけです。
そして、先生だからといって、生徒と昼休みにおにごっこで遊ばなければならないという義務はありません。先生は、一度断っているわけですから、おにごっこにムリヤリ巻き込むのは、「人に義務のないことを行わせ」た行為と評価できますよね。
ですので、223条1項に当てはまりますので、サドみちゃんには、強要罪が成立する、という結論となります。
あまり難しくありませんでしたよね。銃持って、ムリヤリおにごっこやらせたら、そりゃ日本語から考えてもおにごっこを「強要」してるんだから、強要罪になりますよね。
それをもう少しだけ正確に解説してみたのが、このコーナーでした。