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傷害罪とは(2/2)


 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆ : 誰でも読んで頂けます】

 

疾走感のあるマンガでしたね(笑)

それでは、「傷害罪」の解説をしますね。

前半で、「傷害罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「傷害罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

傷害罪は、おそらく皆さんもよくご存じですよね。

人を傷つける犯罪です。

 刑法第204条に載っていますので、見てみましょうか。

 

第204条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

そのままですね。人の身体を攻撃して、何らかのダメージを与えたら、その行為は「傷害」行為として、「傷害罪」の対象となるのです。

ちなみに、ダメージは目に見えるものに限られません

殴打攻撃によって、血が出た、青アザが出来た、というのが、「傷害」の典型例ですが、それだけでなく、例えば食べ物にノロウイルスを混入させて、内臓にダメージを与える、というのも「傷害」です。

 

さて、傷害罪の解説は以上で終わりですが、これだけだと少し寂しいので、似たような犯罪との区別についてお話させて頂きますね。暴行罪との区別です。

条文を見てみましょう。暴行罪は刑法208条です。

 

第208条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

AさんがBさんに何らかの攻撃をします。その攻撃はとりあえず「暴行」と呼ばれることになります。

その攻撃によって、Bさんがダメージを受けますと、その「暴行」は、「傷害」に進化します。そのため、Aさんの攻撃は傷害罪になります。

その攻撃によって、Bさんがダメージを受けなかったのであれば、その「暴行」は「暴行」のままです。そのため、Aさんの攻撃は暴行罪になります。

 

人にダメージを与える「傷害」の方が、「暴行」より悪い行為だという事は分かりますよね?

それが、刑罰にも反映されています。

刑法204条と208条の刑罰を見比べてみて下さい。

204条の傷害罪は、「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」ですが、208条の暴行罪は、「二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。

どちらが重い罪なのかは一目瞭然ですよね?

 

以上で、傷害罪についての概略の説明を終わります。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

条文を3つ載せておきますので、どれに当たりそうかを少し考えてみて下さい。

 

第204条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

第208条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

第209条

1項 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。

 

どれに当たると思います?

まぁどう考えても204条の傷害罪ですよね(笑)

 

209条というのは、過失傷害罪です。

結果的に相手にダメージ与えちゃったけど、そもそも相手に攻撃するつもりは無かったんだ、という場合の犯罪です。

例えば、料理教室でお鍋を誤って倒してしまい、横の人に熱々のビーフシチューがかかって、その人が火傷を負ったような場合ですかね。

フツーは、そのようなケースでは、警察に逮捕されたりしませんけど、一応、場合によっては処罰するために、刑法は規定を置いています。

 

とはいえ、今回のサドみちゃんは、勢いつけてガッシャーン!ベゴシャ!とやっていますし、4コマ目の手が、放り捨てる手をしておりますので、わざとだと判断できますね。

つまり、相手を攻撃するつもりがなかったとはいえないため、「過失」ではない、ということです。

 

そして、4コマ目のように頭が下になるくらい吹っ飛べば、通常は身体のどこかを強打するでしょうから、これはダメージがあると認定してよさそうです。

つまり、暴行罪ではなく、傷害罪が成立すると思われるのです。

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