(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)
会社の経営陣や幹部候補の前で、クレーマー上がりの方が、「企業の社会的責任」について、ディスカッションや質疑応答を交えた講演をしたって状況でしょうね。
CSRは、法律用語ではありませんので、ざぁ~っと遠い目をしながらテキトーに解説を読んでください。
CSRは、Corporate Social Responsibilityの略です。「企業の社会的責任」と言われていますね。
1960年代後半に、公害問題が社会問題となった事を契機に、アメリカで登場した言葉です。
ですので、CSRの本来の意味は、企業は、(公害をまき散らすような)社会的に非難されるような事はやってはダメだよ~ということだったのです(企業は○○してはいけない、という消極的意味)。
しかし、時代が経ち、いやいやせっかく「社会的責任」というフレーズなんだし、もう少し対象を広げて用いましょうよ、という事になり、現在では、会社は株主の事ばかり考えるのではなく、従業員や消費者、地域住民や国民、果ては人類全体のために行動すべきだ、という意味をも有するようになったのです(企業は○○しなければならない、という積極的意味)。
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(もう一歩前へ)
CSRの中でも、上述した「積極的意味」につきましては、深く考えると泥沼に入りそうなくらい外延が分からないです。
しかし、ざっくり言えば、このような発想だと思います。私見が含まれておりますので、この点は注意して下さいね。
「自然人」(ヒト)は、「社会」の恩恵を預かりながら、自らもまた「社会」の構成員として、(例えば、次世代の社会の構成員である「子」を産み、あるいは選挙権・被選挙権を通じて「社会」を運営する、というような形で)「社会」に貢献しています。
他方、企業は本来、実在してはいない訳ですから、生まれながらの「社会」の構成員ではありません。また、ヒトのように、その存在ゆえに当然に「社会」に貢献しているとは言えない存在です。ところが、インフラ等を見てみれば一目瞭然であるように、「社会」から恩恵を受けています。「社会」を土台として、(特に営利法人は)営利活動しているわけです。
そこで、いやいや企業も「社会」に何らかの形で恩返しすべきなんじゃないの?貢献すべきなんじゃないの?という事で生まれたのが、CSRの「積極的意味」なのだと思います。
つまり、完全な自由主義(リバタリアニズム)ではなく、どちらかと言えば共同体主義(コミュニタリアニズム)的な発想な訳です。
ちなみに、「自然人」(ヒト)も当然には「社会」に貢献していない!企業に限らずヒトも「社会」への貢献についてもっと意識的になるべきだ!という発想から、SR(Social Responsibility、「社会的責任」)という用語も存在します。
社会への貢献方法は、無数にあり得ます。
政党への寄付も、「社会」運営に対する補助なのですから、(政治を歪めないのであれば)一つの貢献ですし、町おこしのアイデア(お祭りやイベントなど)の協賛をして、地元との結びつきを深め、新たな需要を発掘しようとするのも、「社会」に対する一つの貢献です。(積極的意味のCSR)。
もちろん、「社会」のルール(≒法)や秩序を守ることも「社会」に対する貢献と評価できます。(消極的意味のCSR)。
こんな感じでどうでしょうか。