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従業員持株制度とは(11/7)


 

kaisha12

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

社員のやる気の上昇度合いが凄い・・・

 

従業員持株制度というのは、「従業員」に株を買うチャンスを与えて、「株主」になってもらう制度です。
ホントそのまんまです。

 

強制的に「従業員」に株を買わせることなんて出来ませんから、従業員さんたち~いつでも株を買ってもいいからね~という制度を用意しておくって話です。
まぁでもお付き合いで半ば強制的に買わなければならない企業もあるでしょうけどね。

 

この従業員持株制度の目的は、
従業員から見れば、資金を株で運用することによる財産の形成
経営陣から見れば、経営陣の言うことを聞かせられる安定株主の形成、(自分の財産である「会社の株」の価値を高めようという動機によって)従業員の勤労意欲の向上などが挙げられます。

 

その反面、デメリットもあります。

 

従業員から見た場合、会社が上手くいっている時はいいです。
持っている株も上がるし、給料も増えるかもしれませんし。
しかし、会社の業績が悪化したら、どうなりますか?
保有財産の価値は下がるわ、給料は下がるわ、でダブルパンチです。つまり、リスクの分散が全くできていないのです。会社に自分の全てを託しちゃうことになるわけです。

 

経営陣から見た場合、従業員が働いている時はいいです。メリットの方が大きいです。
ですが、従業員が会社を辞めた後は、どうなります?
経営陣と従業員との間の指揮命令関係は、なくなる訳ですから、(OB・OGとしての愛社精神はあるかもしれませんが)必ずしも安定株主という訳ではなくなります
そのため、従業員持株制度のメリットを享受し続けようと思えば、新たな従業員にも株式を買ってもらう必要があり、従業員が入れ替わるたびに、発行する株式は膨れ上がります

 

経営陣の方は、このデメリットを防ぐ方法があります。
それについては、(もう一歩前へ)で扱う事にしましょう。

 

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(もう一歩前へ)

 

従業員持株制度を維持し続けると、発行する株式が膨れ上がってしまいます。
それを避けるには、会社としては、従業員持株制度の制度設計として、「従業員の退職時」に従業員の有していた株式を会社が強制的に買い取る制度にすればよい(正確には、資本維持の原則との関連で、会社自身がおいそれと買い取る訳にはいかないので、会社の息がかかった人間に強制的に売らせる制度、ということになります。)のです。

 

従業員に株式を強制的に買わせることが出来ないのと同様、会社が何の根拠もなく強制的に従業員に株式を売らせることはできません。
そこで、「取得条項付株式」という種類株式を従業員に売るか、あるいは、端的に従業員が株式を買う際に、退職時には会社が指定した人に売らなきゃダメだよ?それでも買う?と聞いた上で、同意した従業員だけに株式を売る制度にすればよい、ということになります。このようにすれば、契約の内容として、従業員は退職時に株式を会社に売る義務が発生します

 

学説の多くは、株式譲渡自由の原則との関連で、会社が当事者となるこのような契約の有効性を疑問視していますが、判例は認めています。

 

では、会社は自分たちにとって、もっと有利な条件で従業員に株式を売ることはできるのでしょうか?
例えば、現在1株100円とします。で、従業員に株を売る際に、「退職する際には、株式を売ってね。あなたが退職する際、株価がいくらになっていたとしても、1株100円で売ってね」という制度構築は可能なのでしょうか?
これでは、従業員はインカムゲイン(配当利益)は得られても、キャピタルゲイン(株式値上がり益)は全く得られていないですよね?

 

この点が争われた判例があります。

 

本HPの下記記事において、詳しく載せてありますので、是非ご覧ください。
従業員持株制度と退職従業員の株式譲渡義務」。

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