問題:(司法試験昭和51年度第2問改題)ある建築物の所有権についてAとBとの間に争いがあり、その事件は裁判所に係属中であるが、AもBも、その建築物を使用して飲食店営業をしようとして、A、Bの順番でそれぞれX行政庁に対して食品衛生法52条1項に基づき、手続としては適法に飲食店営業の許可を申請した。この場合、Xはいかなる対応をすべきか、理由と結論を40字程度で記述しなさい。
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まず、許可を判断する際に、Xは裁量をどの程度有しているのか考える必要がある。なぜなら、裁量が広く認められるのであれば、Xが許可を与えたい方に与えることも可能となりうるからである。
そこで、飲食店営業の「許可」の法的性質について考える必要がある。飲食店営業の「許可」は、法律上「許可」という文言が使われている。
もっとも、法律上「許可」という文言が使われていたとしても、講学上の許可である場合と、特許である場合、認可である場合の3通りありうる。
私人が本来的に自由にできたはずの行為を全面的にいったん禁止し、個別に解除するものが許可であるので、講学上の許可の場合は、本質は国民の自由への侵害的作用であり、行政の恣意が介在する可能性を否定すべきであるから、行政庁の自由裁量は認められない。
特許や認可である場合は、私人に本来的に認められていない行為を国家が特別に認めるものであるから、本質は国民への受益的作用であり、行政庁の自由裁量が認められるのである。
本件のような飲食店の開設は、憲法22条1項にいう営業の自由として保障されるべき行為であるため、その規制を解除する行政の行為は、
(①許可②特許③認可)である。
従って、行政に自由裁量は認められない。そして、食品衛生法上の許可要件において、(建物を賃借して店を開いてもいいだろう、という事を想像すれば分かるように、)所有権の所在は要件となっていないわけであるから、
判例の考え方によれば、行政庁は所有権の所在には関知せず、
(①先願者に許可を与えるべき②申請者両者に許可を与えるべき)である。
なぜなら、先願者との間には、適法な申請である限り、許可を為すべき法律関係が成立しており、後の申請者との間には、先願者の申請が許可に至らなかったときにはじめて許可を為すべき法律関係が成立するにすぎないと考えられるから。
よって、XはAにのみ許可を与えるべきである。
(解答)
①①
・2問20点。均等配点。