問題:(司法試験昭和50年度第2問改題)Aは飲食店を経営していたが、Aの店で飲食した客に中毒事故が生じたので、当該保険所の職員Bが、所定の証票を携帯してAの店に立ち入って検査を実施しようとしたところ、Aは、Aの店に立ち入るためには裁判官の令状が必要であるとして、Bの立ち入りを拒否した。この事案において、Bが、Aの店に令状がなくとも適法に立ち入る権限を有するか判断するにあたっては、憲法35条2項の令状主義が行政手続きにも及ぶのか検討する必要がある。この点について、判例はいかなる立場に立っているのか40字以内で記述しなさい。ただし、判例の示した具体的考慮要素までは書かなくてよい。
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問題文で聞かれている、「この点」とは、憲法35条2項の令状主義が行政手続きにも及ぶかどうかである。AやBといった事例判断は、「判例は」と聞かれている以上求められていない。
さて、Bの立ち入り検査は、行政機関によって行われる、行政目的達成のための調査活動であるので、
(①行政指導②行政調査③行政計画④行政契約)である。
行政調査は、当然ながら行政手続きであるが、刑事手続きを念頭に置かれて規定されている憲法35条2項の令状主義が適用されるだろうか。
この点について、判例は、憲法35条2項の令状主義の規定は、主として
(①刑事責任追及②民事責任追及③行政法上の責任追及)
の手続における規定であるが、刑事手続きにのみ排他的に適用されるものではない、としている。
つまり、行政手続きにも適用の余地を認めているのである。これは、行政権による人権侵害を防止する見地から、刑事手続きと同程度の侵害が行政権によってもありうることに着目したものと考えられる。
そのため、刑事手続きと同程度の侵害と認められるような場合に限って、判例は、行政手続きにも令状主義の適用の余地を認めている。
ちなみに、余談であるが、本件事案では、Bはきちんと所定の証票を携帯しているし、刑事責任追及目的でもなく、また食中毒事件が発生しているため、立ち入りの必要性合理性が認められるため、令状は不要で、Bは適法に立ち入る権限があると考えられる。
(解答)
②①
・2問20点。均等配点。