問題:(司法試験平成4年度第2問改題その2)A企業が、B行政庁の営業停止命令に従わない場合、B行政庁は、A企業に命令に従わせるために、行政上の強制執行をすることはできない。それはいかなる理由によるものか。行政上の強制執行には、行政上の代執行、執行罰、行政上の直接強制、行政上の強制徴収があるが、今回の場合、執行罰と直接強制は個別の法律に根拠規範がおかれておらず、一般的根拠規範も存在しないため、許されないことを前提に、40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
行政行為に問題文記載のような手法による自力執行力が認められているのは、行政が義務履行を促すために訴訟を利用しなければならないとすると、時間がいたずらに浪費され、公益上の支障が生じるし、
他方、行政の行為も取消訴訟制度等権利侵害への歯止めが用意されているため、一定程度信用に値するといえるからである。
もっとも、法律による行政の原理、ひいては自由主義の観点からは、義務履行の強制のような類型的に国民への利益侵害の大きな行為については、法律の根拠が不可欠であると考えられる。
そして、行政上の代執行については、行政代執行法が、強制徴収については、国税徴収法が一般的法規範として機能しているのである。
他方、執行罰や直接強制については、一般的法規範が存在せず、個々の法律においてもほとんど制定されておらず、ほぼ利用されていない。
さて、では行政代執行と強制徴収の可否について考える。
行政代執行は、
(①代替的作為義務②非代替的作為義務③不作為義務)
を対象とするので、
営業停止という不作為義務を対象とすることはできない。
対象者が営業しないことを代わりに行政が行うことは不可能であることを考えてみれば容易にわかるはず。
また、強制徴収は、
(①不作為義務②金銭納付義務③代替的作為義務)
を対象とするので、
営業停止という非金銭納付義務を対象とすることはできない。
よって、手段がないため、行政上の強制執行ができないのである。
(解答)
①②
・2問20点。均等配点