問題:(完全オリジナル問題)民法94条2項の規定によれば、「前項の規定による意思表示の無効は、善意の第三者に対抗することができない」とあるところ、判例によれば、同規定中の「第三者」とは、いかなる意味を包含しているか。40字程度で記述しなさい。
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平成21年民法第46問が、民法177条の「第三者」について問うているが、これを少し変えて94条2項について問うた問題である。
177条と考え方は一緒であるので、併せて理解して記憶してほしい。
まず、契約当事者以外の者を広く第三者という。これは、いかなる第三者概念においても同様であるし、日常用語においてもそうである。
そして、当事者が死亡した場合の相続人が典型例である
(①特定承継人②包括承継人)は、
当事者の地位をそのまま引き継ぐため、当事者と同視できる。そのため、第三者を当事者又はその包括承継人以外の者と定義できる。
ここまで、94条2項も177条も同様である。
そして、所有権の対抗の可否を決める177条も、無効の対抗の可否を決める94条2項も、共に当事者の一人に重大な不利益を生ぜしめるので、さらに保護されるべき「第三者」を絞り込む必要がある。
そこで、177条においては、正当な利益を有する者という形で絞り込みをかけ、94条2項においては、
(①正当な利益②利害関係③重要な利益)を有する者
という形で判例は絞り込みをかけている。
177条においては、登記の欠缺を主張するにつき正当な利益を有する者が後半部分の正確な定義であるが、これは「正当な利益」に177条の局面にあわせた修飾語がついたに過ぎない。
同様に、94条2項においても、利害関係を有する者に、94条2項の局面にあわせた修飾語がついた結果、虚偽の意思表示の目的につき法律上利害関係を有する者という定義になっている。
なお、法律上のという部分は、事実上の利害関係では足りないことを意味するため、修飾語の中でも重要な語句である。
(解答)
②②
・2問20点。均等配点。