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賃借権と妨害排除(初級)


問題:(完全オリジナル問題)ABから甲土地を賃借しており、その賃借権は登記している。もっとも、Aは住居を別に有していたため、甲土地には半年以上にわたって訪れていなかった。その間、実は第三者Cが甲土地上にプレハブ小屋を勝手に建てて生活していた。その事実を知ったAが、Cを甲土地から排除するため、Bの同意なしに単独で採りうる賃借権を根拠とする法的手段が判例上2つ認められている。どのような手段であるか40字程度で記述しなさい。

 

(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)

 

Aは、Cと何らの契約関係にもない訳であるから、Cを排除するための手段としては、基本的には、債権的請求ではなく、物権的請求について検討するしかない。なお、不法行為を理由とする請求はありうるが、問題文に賃借権と明記されているので除外すべきである。

 

さて、判例は、

(①対抗力のある②正当な③適法に成立した④賃貸人の同意がある場合)

賃借権に基づく妨害排除請求権の行使を肯定している。

 

そもそも賃借権というのは、民法601条以下に、賃貸借が契約の一種として位置付けられていることからも分かるように、日本民法は債権として位置付けている。

 

もっとも、特に不動産の賃借は、生活の基盤を形成するものであり、その重要性から物権として扱われる国もある。日本国においても、当初は物権として規定することも検討されていたが、地主の抵抗により債権として規定されたという経緯がある。

 

このような不動産賃借権の重要性から、借地借家法の制定等を経て、賃借権が物権化していると評されるようになった。対抗力のある賃借権に基づく妨害排除請求権の行使が肯定されたこともこの物権化の流れの一つと位置付けることができる。

 

ちなみに、学説は、不法占拠者に対しては、対抗力のない賃借権に基づく妨害排除請求権の行使も肯定するべきだと主張しているが、未だ判例の採用するところではない。

 

もう一つの方法としては、Bの所有権に基づく妨害排除請求権を利用することが考えられる。

 

すなわち、Bは、甲土地を使用・収益させるという債務をAに対して負っており、このAがBに対して有する債権を被担保債権として、

(①債権者取消権②債権者代位権③相殺権④債務執行権)を行使し、

 

Bの有する妨害排除請求権を代位行使することができる。

 

以上の二つが、Aの採りうる方法である。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(解答)

①②

・2問20点。均等配点。

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