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相続と登記(初級)


問題:(完全オリジナル問題)甲土地を所有するAが死亡しBCが共同相続したが、Cが相続放棄したため、甲土地はBの単独所有となった。しかし、Bが登記を備える前に、Cの債権者DCの持分を差し押さえたという事案において、BDに対し、甲土地の単独での所有権を主張できる。他方、甲土地を所有するAが死亡しBCが共同相続したところ、Bが甲土地を単独所有するという遺産分割協議が成立した。しかし、Bが登記を備える前に、CDに甲土地を譲渡し、登記もDが備えてしまったという事案においては、BDに対し、甲土地の単独での所有権を主張できない。この結論の差異はいかなる理由によるものか、40字程度で記述しなさい。

 

(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)

 

問題自体の難易度も、何を解答してよいかという意味での難易度も高い問題である。

 

本問は、いわゆる「相続放棄と登記」と、「遺産分割と登記」では、判例は結論を異にしているが、その理由を問うている問題である。

 

相続放棄は939条により、遡及効を(①有する②有しない)

 

遺産分割は909条本文により遡及効を(①有する②有しない)

 

共に遡及効を有するということは、どちらの場合においても、Aの死亡時からBが甲土地の所有者であることになるということであるから、

 

どちらの場合においてもCは遡及的に無権利者であったこととなり、Dは所有権を取得できない結果、BD間は対抗関係には立たず、Bは登記なくDに所有権を主張できるはずである。

 

しかし、「相続放棄と登記」においては、BDに登記なく所有権を主張できるが、「遺産分割と登記」では、BDに登記なく所有権を主張できないという結論となっている。

 

そこで、答え方としては、「遺産分割と登記」が何故遡及効を貫いた結論となっていないのか、という点に絞った解答をすればよい。

 

さて、判例のフレーズを使いながら、「相続放棄と登記」と「遺産分割と登記」の内容の説明に入る。

 

「相続放棄と登記」において、重視されている考え方は、相続放棄者保護の為に遡及効を貫徹すべきというものである。

 

判例は、この点について「相続人は相続開始時に遡って相続開始がなかったと同じ地位におかれることとなり、この効力は絶対的」と表現している。

 

他方、「遺産分割と登記」において、遡及効があるのは、税法との関係や親から直接受け継いだという体裁を重んじる国民感情を重視しただけであり、相続人の保護は重視されていない。

 

判例は、「第三者に対する関係においては、相続人が相続によりいったん取得した権利につき分割時に新たな変更を生ずるのと実質上異ならない」と表現している。つまり、177条の適用があるというのである。

 

これが、解答であるが、余談としてより実質的な理由について説明しておきたい。

 

相続放棄は、相続開始を知った時から3か月以内になさなければならず、期間が短いため、第三者が出現する可能性は小さいが、遺産分割協議は長期間にわたるため、第三者が出現する可能性が高く、第三者保護の必要性があるのである。(必要性の観点からの実質的理由)

 

また、相続放棄があっても、直ちに相続財産の帰属が終局的に決定するわけではないので、相続人に登記を要求するのは酷だが、遺産分割の場合は、帰属が終局的に決定するので、権利者に登記を要求しても酷ではない、と考えられている。(許容性の観点からの実質的理由)

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(解答)

①①

220点。均等配点。

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