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日常家事と表見代理(初級)


問題:(司法試験平成2年度第1問改題)Aは、夫であるBの事業が不振で家計にも窮するようになったため、Bに無断で、Bから預かっていたBの実印等を利用し、Bの代理人としてB所有の土地をCに売り渡した。Cは、Bに対し、その土地の所有権がCにあることを主張しようと考えている。この主張が成立するか否かの判断に際しては、日常家事に関する夫婦相互の代理権を基本代理権として、表見代理が成立するかが問題となる。では、この問題について、判例はいかなる場合に、表見代理が成立するという基準を採用しているか。40字程度で記述しなさい。

 

(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)

 

順序立てて考えていく。

 

まず、Aによる売却行為は、Bに無断で行われているため、無権代理行為であり、原則としてBには効果が帰属しない。(民法1131項)

 

761条本文は、夫婦が日常家事に関して債務を連帯する旨の規定であるが、これは裏から考えれば日常家事の範囲内では、夫婦相互に代理権を認めた規定であると考えられる。

 

もっとも、問題となっているAの行為は、不動産の売却であり、これは日常家事の範囲内ではないことは明らかなので、761条の上記解釈を勘案してもAの行為が無権代理行為であることは明らかなのである。

 

そこで、問題文にあるように、761条の解釈から導かれる日常家事の範囲内での夫婦相互の代理権を基本代理権とした表見代理の成立の可否が問題となるのである。

 

これは、

(①代理権授与表示による②権限外の行為の③代理権消滅後の)

表見代理であるため、110条の問題である。

 

さて、この問題について判例は、当該行為が当該夫婦の

(①行為であると信じることにつきことにつき②代理権の範囲内であると信じることにつき③日常家事の範囲内にあると信じることにつき)、

正当な理由があれば、相手方は保護されるとしている。

 

代理権の存在ではなく、日常家事の範囲内にあることが信頼の対象として設定されていることに注意すべきである。保護される者のハードルが高くなっていることが分かる。これは、夫婦財産の独立を守る趣旨である。

 

本事案のように不動産の売買であれば、ABが不動産のディーラーであり、かつ大金持ちであるといった相当特殊な事例でなければ、不動産の売買が日常家事の範囲内にあると信頼したとは評価できない。

 

そして、そのような事情の無い本事案においては、結局、正当な理由がないため、CBに対して所有権があることを主張できないことになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(解答)

②③

220点。均等配点。

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