問題:(完全オリジナル問題)AはBに建物を賃貸していた。賃貸借契約が期間満了によって終了した後、AがBに対して建物の明渡しを求めたところ、Bは契約締結時に支払った敷金20万円返還との同時履行を主張した。このようなBの主張は認められるだろうか。敷金返還請求権の発生時期を明らかにした上で結論を40字程度で記述しなさい。
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民法にいう「敷金」というのは、契約時に授受される金銭であり、契約終了時に返還されるものをいう。民法上では、例えば619条2項で「敷金」という言葉が使われている。
名称は問わない。「敷金」の定義にあてはまる限り、礼金や権利金という名称を当事者間で用いていたとしても、民法上の「敷金」である。
敷金は、賃料債務や建物に関する損害賠償債務について賃貸人のために担保することを目的として交付されている。
この目的を貫徹することが当事者間の合理的意思であると考えた場合、敷金返還請求権は
(①明渡時②賃貸借契約終了時)
に発生するものと考えられる。
明渡しまでに生じた一切の賃貸人の債権を担保することを敷金は目的としていると考えられるからである。そして、このような立場が判例の立場である。
別の角度から説明する。
敷金の交付は、賃貸借契約とは異なる敷金契約によってなされる。
敷金契約は、賃貸借契約に対して従たる契約ではあるが、賃貸人の権利を担保するという独自の目的を有する別個の契約である事をより強調すると、必ずしも賃貸借契約終了時に敷金契約も終了すると理解する必要はないことになる。
そのため、敷金返還請求権は、賃貸借契約終了時ではなく、明渡時に発生すると考えることができ、こう考える事こそ敷金の目的や当事者の意思に合致すると理解できるのである。
そして、明渡時に発生すると考えると、建物の明渡しと敷金返還請求とは同時履行の関係に
(①立つ②立たない)ことになる。
何故なら、建物の明渡しがなされることで、敷金返還請求権が発生するのであるから、論理的に必ず建物の明渡しが先履行されるべきだからである。
以上より、明渡時に敷金返還請求権が発生するため、同時履行の関係には立たず、Bの主張は認められないというのが答えである。
(解答)
①②
・2問20点。均等配点