問題:(完全オリジナル問題)Aは、Bの宅地・建物に抵当権を有していた。ある時、Bの一般債権者Cが、B宅の庭園にある庭石を差し押さえた。この庭石は、Aの抵当権が設定される前からBが庭に持ち込んだものであった。庭石も含めて宅地の担保価値を把握していたはずのAは不服であり、Bの差押手続に対し、庭石には抵当権が及んでいるとして、第三者異議の訴えを提起した。これが認められるか否かは、庭石に抵当権の効力が及んでいるか否かにかかっている。果たしてBの主張は認められるだろうか。理由と結論を40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
抵当権の効力の及ぶ範囲という超重要論点である。
370条は、「抵当権は、抵当地の上に存する建物を除き、その目的である不動産に
(①付合されている物②従たる物③付加して一体となっている物)に及ぶ」と規定している。
この「付加して一体となっている物」又は「付加一体物」という単語が解答欄に必ず必要になる。これが、範囲を画定する基準だからである。
次に、では付加一体物とは具体的にどのような場合を指すのかが問題となる。
ここで、民法の他の場所で出てくる概念である「従物」や「付合物」「構成部分」が「付加一体物」にあたるのか、という思考方法を解釈学はとっている。
すなわち、370条でのみ出てくる概念である付加一体物の判断にあたって、ある具体的な物(例えば宅地の屋根)が「付加一体物」にあたるかを一つ一つ判断するのではなく、
370条に言う「付加一体物」概念と「従物」「付合物」等の概念の関係を明らかにし(例えば、「付合物」は「付加一体物」に含まれる)、ある具体的な物が「付加一体物」にあたるか(屋根は「付合物」であるから「付加一体物」に含まれる)を判断している。
換言すれば、370条でしか出てこない概念である「付加一体物」の定義を積極的にはしていないのである。
そして、「付合物」「構成部分」も「従物」も「付加一体物」に含まれることに争いはあまりない。
本問類似の事案において、判例は、取り外しの困難な庭石については、
(①不動産の構成部分②従物)と分析し、
取り外しの容易な庭石については、
(①不動産の構成部分②従物)と分析し、
「構成部分」も「従物」も「付加一体物」にあたるため、庭石すべてに抵当権の効力が及ぶことを示した。
よって、庭石には抵当権の効力が及ぶため、Bの主張は認められることとなる。
(解答)
③①②
・3問20点。均等配点。小数点第一位四捨五入。