問題:(完全オリジナル問題)Aは、Bから1000万円を借り入れるに際して、Bのために自己所有の土地(1500万円相当)に抵当権を設定した。抵当権設定から5年が経過した現在、満期となった未払いの利息が3年分たまっている。この利息債権は登記で公示されてはいない。BはそろそろAが我慢の限界であり、抵当権を実行されるかもしれないと考え、会社から借金してお金を工面し、Aに1000万円と利息を返して抵当権を消滅しようと考えている。Bは、何年分の利息を支払えばよいか。理由と結論を40字程度で記述しなさい。
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判例の知識を問う問題である。2年分か否か迷うことができたならばそれだけで実力者である。質問の意図が分からなかった方も多いと思われる。
民法375条1項本文は、「抵当権者は、利息・・・を請求する権利を有するときは、その満期となった最後の2年分についてのみ、その抵当権を行使することができる。」と規定している。
この規定は、一般債権者や
(①債務者②保証人③物上保証人④後順位抵当権者)
保護の規定である。
先順位抵当権でカバーされている債務者の財産はどこまでか不明であれば、一般債権者や後順位抵当権者は、債権がどの程度回収できるか予測が立てられないため、利息債権等は2年を超えて抵当権でカバーできないものとしたのである。
このような趣旨だからこそ、375条1項但書は、利息債権等について、
(①その他の債権者への通知②債務者の承諾③登記④債務名義)
があれば、予測を立てることに支障がないため、2年分という規制は撤廃されることを定めているのである。
以上のように、この規定は一般債権者等の保護のための規定であり、債務者保護の規定ではない。
債務者としては、利息を支払うべきことも消費貸借契約を締結していたときから当然に覚悟していたのであり、2年分だけ払えば抵当権を消滅させることができるという虫の良い話はない。
そこで、判例は抵当権を消滅させるためには、利息全額を支払う必要があるとしている。
本問でいえば、現在のところ3年分の利息を支払う必要があるわけである。
(解答)
④③
・2問20点。均等配点。