問題:(完全オリジナル問題)Aは、新たに事業を起こそうと考えたが、親戚や友人等から借りることができた資金では、予定していた額に100万円届かなかった。そのため、Aは10年以上会っていなかった、昔の上司であるBの自宅におしかけ、土下座して、成功の暁には返しますと頼み込んだ。BはAの説得により、しぶしぶ100万円を貸した。この場合、AB間の契約はどのような付款が付されたいかなる契約と評価できるか。40字程度で記述しなさい。
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少し難易度が高い問題といえるかもしれない。条件や期限などのように、法律行為にくっつける付随的な意思表示を付款と呼ぶ。
Aの「成功の暁には返します」という出世払いの約束は、法律行為の付款の中でも条件にあたるのか期限にあたるのか、という分析が出題の意図である。
大丈夫であるとは思うが、「しぶしぶ」という点に着目して、錯誤とか詐欺とか変な方向に走らないでほしい。本問の事情からは、Aの意思表示に瑕疵は見いだせない。
さて、本問を分析するために、少し本問とは離れた仮定から入る。
Bが、この問題から離れて、Aと親子関係であったとする。そして、Bは100万円貸したとはいいながら、返ってこなくても良いと考えていたとする。
この場合、実質的にはAB間の契約は、
(①贈与契約②消費貸借契約③賃貸借契約④委任契約)と評価できる。
この場合において、出世払いというのは、成功した場合のみ100万円を返還するという契約であることとなる。
ここで、成功した場合のみという部分は、
(①停止条件②解除条件③確定期限④不確定期限)として機能している。
成功という事象が生じれば、100万円の贈与の効力がなくなるのであるから、解除条件と分析できるわけである。
しかし、本問において、AB間はさほど仲の良い関係ではない。成功しない限り100万円は贈与したものと解釈するのは、合理的ではない。
むしろ、返済を予定していることが通常であるので、
(①贈与契約②消費貸借契約③賃貸借契約④委任契約)を締結したものと分析できる。
そして、出世払いというのは、成功した場合に100万円を返還するのは当然であるが、失敗し、事業を断念した場合にも返還しなければならないものと考えるべきである。
つまり、出世した場合のみ払うという意味ではなく、事業に必要な期間のみ返還を猶予してもらうという合意であると分析するのである。
判例はこのように分析し、このような場合の出世払いの約束は、
(①停止条件②解除条件③不確定期限④確定期限)の付款であると解釈した。
(解答)
①②②③
・4問20点。均等配点。