問題:(完全オリジナル問題)債権者代位権は、責任財産の保全という目的の限度で債務者に属する権利を行使する事が認められる権利である。しかし、現実には事実上の優先弁済が肯定され、代位債権者の得る利益は責任財産の保全による利益にとどまらない。では、どのような方法で代位債権者は事実上の優先弁済を得ているのだろうか。代位債権者が主張する請求の内容として債務者ではなく自己への給付が認められるか否かという観点も踏まえた上で、40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
少し難問だったかもしれない。事実上の優先弁済として機能しているのは、債権者代位権や詐害行為取消権、そして本問とは異なる形で(民事執行手続との関係で事実上の優先弁済効が認められている)留置権など複数あるが、そのメカニズムを丁寧に説明できる人は意外に少ないのではないかと考え、出題した。
問題文中の「代位債権者が主張する請求の内容として債務者ではなく自己への給付が認められるか否か」というのは、無論ヒントなので、ここから考えを進めていってほしい。
代位債権者は、債務者に属する権利を代位行使するわけだが、その権利行使によって返還されるべき目的物(動産)を債務者に返せ!ということは第三債務者に対して当然言える。そして、目的物を代位債権者である自分に返せ!ということは第三債務者に対して
(①言える②言えない)。
これは、債務者のところに返せ!と言ったところで、自分の権利も行使しなかった債務者であるから、受け取らない事も考えられ、債権者代位権の実効性がなくなってしまうことが危惧されたからである。
もっとも、代位債権者が受け取った目的物は、あくまで債務者の物であり、これを自分の物にしてしまっては、横領である。
代位債権者としては、受け取った目的物を債務者に返還する義務があるのである。
ところが、この債務者への返還義務と、代位債権者が債務者に対して有している債権を
(①更改②相殺③執行④契約)
することが許容されている。これが、事実上の優先弁済の肝である。
結果的に、目的物から債権を回収しているため、これを指して優先弁済が許容されていると表現されているのである。
(解答)
①②
・2問20点。均等配点。