『物権総論>間違い指摘>その1』
・Aの所有する甲土地につきAがBに対して売却した後、Bが甲土地をCに売却したが、いまだに登記がAにある場合に、Bは、甲土地に対する①所有権を喪失しているので、Aに対して②移転登記を請求することはできない。
→②「移転登記を請求することはできない」。買主が不動産を転売した後であっても売主に対する物権変動的登記請求権を失わない。また、AB間の契約の履行請求としての移転登記請求も当然認められる。
『物権総論>間違い指摘>その2』
・Aの所有する動産とBの所有する動産が付合して分離することが不可能になった場合において、両動産について主従の区別をすることができないときには、AとBは、当然に①相等しい割合でその合成物を②共有するものとみなす。
→①「相等しい割合」。共有持分は、付合する前の価格の割合に応じて有することとされている。
『物権総論>間違い指摘>その3』
・BがAの所持する材料に工作を加えて椅子を完成させた場合に、その椅子の所有権は、①AとBとの取決めに関係なく、②Aに帰属する。
→①「AとBとの取決めに関係なく」。加工物の所有権は材料の所有者に帰属するというのは、あくまで任意規定である。当事者間で異なる内容の特約を結ぶことは可能である。
『物権総論>間違い指摘>その4』
・Bの所有する動産がAの所有する不動産に従として付合した場合に、AとBは、①AとBとの間に特約がない限り、Aの不動産の価格とBの動産の価格の割合に応じてその合成物を②共有する。
→②「共有する」。民法上は、Aに所有権が帰属するものとされている。もっとも、付合の規定は任意規定であり、特約は可能である。
『物権総論>間違い指摘>その5』
・土地の所有者が自己所有地を他人に賃貸して土地を引き渡した場合、土地の①占有権は賃借人に移転するから、所有者は土地の②占有権を失う。
→②「占有権を失う」。所有者は賃借人を通じて代理占有しているものと考えられる。直接占有という形の占有は移転するし、占有権は相続の対象ともなる権利であるため、占有権の移転を観念しても間違いとはいえない。
『物権総論>間違い指摘>その6』
・動産の質権者が占有を奪われた場合、①占有回収の訴えによって質物を取り戻すことができるほか、質権に基づく②物権的請求権によっても質物を取り戻すことができる。
→②「物権的請求権」。動産質権者が占有を奪われた場合、その回復方法は占有回収の訴えに限られている。
『物権総論>間違い指摘>その7』
・土地賃借人である被相続人が死亡した場合、その相続人は、賃借地を①現実に支配していた場合に限り、賃借人の死亡により②当然に賃借地の③占有権を取得する。
→①「現実に支配していた場合に限り、」。現実に支配しなくても、が正解。占有権の承継が認められている。占有の空白が生じるのを防ぐためである。
『物権総論>間違い指摘>その8』
・Aが横浜のB倉庫に置いてある商品をCに売却し、B倉庫の経営会社に対して以後はCのために商品を保管するように通知した場合、①B倉庫会社がこれを②承諾したときに占有権はAからCに移転する。
→①「B倉庫会社」。指図による占有移転は、B倉庫会社の意思はどうでもよく、Cが承諾したときに占有が移転する。
『物権総論>間違い指摘>その9』
・A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、Bに所有権がないことについて善意・無過失であるCが同カメラを買い受けた。Cがカメラを即時取得するのは、Bの①占有に公信力が認められるからであり、その結果、Bがカメラの②所有者であったとして扱われるので、Cの所有権はBから③承継取得したものである。
→③「承継取得した」。即時取得による所有権取得は、原始取得であると解されている。
『物権総論>間違い指摘>その10』
・A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、Bに所有権がないことについて善意・無過失であるCが同カメラを買い受けた。Cは、カメラの占有を平穏、公然、善意、無過失で始めたときにカメラの所有権を①即時取得するが、その要件としての平穏、公然、善意は②推定されるのに対して、無過失は③推定されないので、Cは無過失の占有であることを自ら立証しなければならない。
→③「推定されない」。占有者が占有物について行使する権利は、適法に有するという規定から、即時取得者を主張する占有者が無過失であることも推定されるものと理解されている。
『物権総論>間違い指摘>その11』
・A所有のカメラをBが処分権限なしに占有していたところ、Bに所有権がないことについて善意・無過失であるCが同カメラを買い受けた。Bは、Cにカメラを売却する前にカメラをDに寄託していたが、その後、BがCにカメラを売却するに際し、Dに対して以後①Bのためにカメラを占有することを命じ、②Cがこれを承諾したときは、たとえ③Dがこれを承諾しなくても、Cは即時取得によりカメラの所有権を取得する。
→①「Bのために」。Cのために、が正解。
『物権総論>間違い指摘>その12』
・Aは、B所有の甲土地について地上権の設定を受けて、同土地上に乙建物を建築した。Aが死亡し、Aの相続人EおよびFが遺産分割により乙建物を共有することになった場合において、EおよびFは、①特約がない限り、相互に5年間は乙建物の分割を請求することは②できない。
→②「できない」。各共有者は、いつでも共有物の分割を請求することができる、とされている。共有状態というのはあくまで一時的な状態と民法は位置付けているからである。
『物権総論>間違い指摘>その13』
・Aは、B所有の土地をBの所有であると知りつつ所有の意思をもって平穏かつ公然に①10年間占有した場合に、その土地の所有権を②取得する。
→①「10年間」。Bの所有であることについて占有開始時点で悪意であったAは、20年間占有しないと所有権を時効取得できない。
『物権総論>間違い指摘>その14』
・要役地である甲地をA・B・Cの3人が共有しているが、承役地である乙地の通行地役権について消滅時効が進行している場合に、Aのみが通行地役権を行使して消滅時効を中断したときは、時効中断の効力は①Aには及ぶが、②B・Cには及ばない。
→②「B・Cには及ばない」。要役地が数人の共有に属する場合において、1人のための消滅時効の中断又は停止は、他の共有者のためにも、その効力を有する。
『物権総論>間違い指摘>その15』
・AがB所有の土地をCに売却した場合において、Cは、①悪意または有過失であっても、②20年間、③占有の意思をもって平穏かつ公然とBの土地を占有継続すれば、Cは土地の所有権を時効取得する。
→③「占有の意思」。所有の意思が正解。
『物権総論>間違い指摘>その16』
・各共有者は、①不分割の特約の有無にかかわらず、いつでも共有物の分割を請求することが②できる。
→①「不分割の特約の有無にかかわらず」。共有物の不分割の特約は5年以内であれば有効であるため、特約があれば分割を請求することはできない。