【平成25年度 行政書士試験 第44問 40字記述解説(行政法)】
問題:Aが建築基準法に基づく建築確認を得て自己の所有地に建物を建設し始めたところ、隣接地に居住するBは、当該建築確認の取消しを求めて取消訴訟を提起すると共に、執行停止を申し立てた。執行停止の申立てが却下されたことからAが建設を続けた結果、訴訟係属中に建物が完成し、検査済証が交付された。最高裁判所の判例によると、この場合、①建築確認の法的効果がどのようなものであるため、②工事完了がBの訴えの訴訟要件にどのような影響を与え、③どのような判決が下されることになるか。40字程度で記述しなさい。
(解説)
本問は、最判昭和59・10・26(仙台市建築確認取消請求事件)を題材とした問題である。この判例を正確に覚えていた方にとっては、簡単であったと思われるが、そうではない方にとっては、②③はかろうじて答えられるかもしれないが、①はおそらく解答することができなかったように思われる。
判例の言葉をそのまま引用すると、
「建築確認は、建築基準法6条1項の建築物の建築等の工事が着手される前に、当該建築物の計画が建築関係規定に適合していることを公権的に判断する行為であって、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果が付与されており、建築確認規定に違反する建築物の出現を未然に防止することを目的としたもの」である。
しかし、工事が完了した後の手続上、建築確認はさほど意味をもつものではなく、「建築確認は、それを受けなければ右工事をすることができないという法的効果を付与されているにすぎない」とされている。ここが①において解答すべき部分である。
そして、判例は、「当該工事が完了した場合においては、建築確認の取消しを求める訴えの利益は失われる」としている。これが②において解答すべき部分である。
その結果、門前払いを意味する訴え却下の判決をすべきことになる。これが③である。
要は、建築確認は、工事が終わるまでの間意味を持つものであって、工事が終わっちゃったら、建築確認の効力を争ったって意味ないよって事である。
解答例:適法に工事ができるという法的効果であるため、訴えの利益が失われ、却下の判決がなされる。