問題:Xは、A県B市内に土地を所有していたが、B市による市道の拡張工事のために、当該土地の買収の打診を受けた。Xは、土地を手放すこと自体には異議がなかったものの、B市から提示された買収価格に不満があったため、買収には応じなかった。ところが、B市の申請を受けたA県収用委員会は、当該土地について土地収用法48条に基づく収用裁決(権利取得裁決)をした。しかし、Xは、この裁決において決定された損失補償の額についても、低額にすぎるとして、不服である。より高額な補償を求めるためには、Xは、だれを被告として、どのような訴訟を提起すべきか。また、このような訴訟を行政法学において何と呼ぶか。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
土地収用法に基づくA県の収用裁決は、行政処分であるので、取消訴訟の対象となる。
しかし、Xは、より高額な補償のみを求めており、収用裁決の効力否定までは問題文においては主張していない。従って、取消訴訟は答えとして適切ではない。
収用裁決のうち補償額に関する訴訟については、土地収用法133条2項3項に定めがあり、
(①「起業者」②「事業者」③「国」④「所属する国又は公共団体」)
を被告として損失の補償に関する訴えを提起することとなっている。
本件において、起業者とは、市道の拡張工事をなそうとしている者であるため、
(①A県②B市③A県知事④B市市長)をいう。
この訴えは、本来、A県を被告とした取消訴訟で争うべきところ、補償の金額については、便宜上、実際の当事者であるXと、B市との間で争わせることにしたものである。
このような訴えを(①形式的当事者訴訟②実質的当事者訴訟③住民訴訟④実際的当事者訴訟)と呼ぶ。
(解答)
①②①
・3問20点。均等配点。小数点第一位を四捨五入。