問題:AはBに対して3000万円の貸金債権を有しており、この債権を被担保債権としてB所有の建物に抵当権の設定を受けた。ところが、この建物は、抵当権設定後、Cの放火により焼失してしまった。BがCに対して損害賠償の請求ができる場合に、Aは、どのような要件のもとであれば、この損害賠償請求権に対して抵当権の効力を及ぼすことができるか。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
抵当権者Aは、放火魔Cに対して抵当権侵害を理由に不法行為に基づく損害賠償請求権の存在を主張することも考えられる。
しかし本問において問われているのは、BのCに対する請求権に対してもAの有する抵当権の効力が及ぶか、という
(①転抵当②共同抵当③物上代位④債権者代位)
の問題である。そのため、抵当権侵害について頭によぎったとしても、言及してはいけない。
さて、物上代位とは、担保物権の目的物が賠償請求権や保険金請求権に姿を変えた場合に、これらの請求権に抵当権が及ぶことを認める制度である。
担保物権の目的物が火事等により消失した場合、目的物の所有者たる抵当権設定者は火災保険等により損害は一応填補されるのに、抵当権者は目的物についての優先弁済権がなくなって損するというのでは、
所有者以上に、抵当権者が抵当不動産の維持・管理に目を光らせなければならず、それは過度な負担であり、(抵当権は割に合わない権利だということで、抵当権の利用が控えられるおそれがあるため)妥当な結果ではない。
そのため法は、担保権者に対し、一定の場合には目的物が消失しても存続する優先権を認めたのである。
では、一定の場合とはいかなる場合か、民法304条に規定がある。
なお、この条文は先取特権という担保物権に関する規定だが、抵当権に関する規定である372条は、304条を準用しているため、同じ議論が妥当する。
304条によると、物上代位を主張するためには、担保物権者は、物上代位の対象の
(①払渡しの前②引渡しの前③払渡し又は引渡しの前④払渡しかつ引渡しの前)
に、
(① 明け渡し②差押え③口頭の提供④現実の提供)
をしなければならないものとされている。
本問における物上代位の対象は、BのCに対する損害賠償請求権なので、本問の解答としては、
(①払渡しの前②引渡しの前)
とのみ表現すればよい。
(解答)
③③②①
・4問20点。均等配点。