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コーポレートガバナンスとは(11/3)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

天使と悪魔ならぬタキシードとやくざの戦い、という奇妙な絵面ですね(笑)
最後は、無事タキシードが勝ったようです。

 

コーポレート・ガバナンスは、会社法の学習上、さほど重要な用語でもないので、さくっと片付けちゃいましょう。
コーポレートは、ここでは「企業」、ガバナンスは「統治」を意味します。
ですので、コーポレート・ガバナンスは、別名「企業統治」とも言われています。

 

とはいっても、経営者がどのように「企業」を「統治」しよっかな~という話ではありません。字面から素直に考えると、こちらをイメージしてしまいますよね。

 

株主や立法者が、どのように経営者にきちんと「企業」を「統治」させようかな~というお話です。この言葉が、経営者目線ではなく、株主や立法者目線の言葉であることをきちんと押さえておいてください。

 

お堅い言葉でいえば、「会社経営の適法性を確保し、効率性を向上させるために、会社経営者に適切な規律づけを働かせる仕組み」ということになります。

 

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(もう一歩前へ)

 

もう少しだけ詳しく説明しますね。

 

所有と経営が必ずしも一致していない株式会社において、「株主」と「経営者」は、必ずしも利害が一致していません。さらに、経営者は経営のプロである上、会社に関する情報を一手に握っており、情報の非対称性が存在します。

 

これでは、「経営者」が好き勝手やって、「株主」の利益を害してしまう可能性が常に存在することになってしまいます。
それではマズイので、「株主・立法者」が「経営者」をどうにかコントロールしなきゃダメだよな~というお話がコーポレート・ガバナンスであったわけです。

 

このように利害が対立するおそれがあることくらい法律は分かっていますから、「株主」を一定程度、保護する法律を置いています。これをちゃんと「経営者」に守らせる、というのが「適法性の確保」です。

また、経営者が、「株主」を保護する法律を守っていたとしても、その法律の枠内で、最大限自分の利益を図り、「株主」の利益を犠牲にするおそれは拭えません。これを解消するには、「株主」と「経営者」間の情報の非対称性をなくすか、「株主」と「経営者」の利害を一致させる必要があるのです。

このような状況を理想として、できるだけ「経営者」に、「株主」と同じ方向を向いて真っ直ぐに走ってもらうシステムを作ろう、というのが「効率性の向上」です。

 

ここで留意して頂きたいのは、この文脈で語られる「適法性の確保」は、「株主」の利益を害するような違法行為の抑止、という側面が強く、およそ全ての「法」を意味する訳では必ずしもない、という点です。この点が、(社会が、企業や経営者に対して社会のルール(≒法)を守るように要請している)「コンプライアンス」という言葉と決定的に違う点です。

社債とは(11/3)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

・・・「お金を貸してください!」って言いにくいですもんね、「社債、引き取ってくださいよ~」ならサラっと言えちゃいますよね。

社債というのは、会社が会社法の定めに基づいて、(銀行ではなく)大衆からお金を借りるための手段です。

 

一応、会社法2条23号に定義が載っています。

 

この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう

 

・・・何とも分かりにくい定義ですよね。金銭債権の中でも、会社法において社債としたものを社債と呼ぶんだ!という実に形式的な定義です。

 

このような形式的な定義しかなされていないのは、金融自由化に伴い、資金調達方法がとてつもなく多様化したことで、社債という枠組みの外延が誰にも分からなくなっちゃったからです。

 

かつては、銀行からの金銭消費貸借と比較して、大衆を相手とした大量かつ長期になされるものという性格付けがなされていましたが、現在ではその性格づけも正確ではないようです。

 

ですので、社債は資金調達の一手段であり、銀行借り入れと同様の金銭消費貸借の一種だけれど、会社法が特別扱いしているモノ・・・くらいの認識でよいのだと思います。

 

なお、日本の会社法が「社債」という枠組みを何故設けて、金銭消費貸借の一部を特別扱いしたかというと、債権をペーパー化(有価証券化)し、(社債権者集会制度を設けるなど)集団的取扱いを可能にするため、というのが一つの説明です。

 

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(もう一歩前へ)

 

社債は、株式との異同を押さえることが重要です。

 

経営者側からしてみれば、資金調達をする際、各々のメリット・デメリットをきちんと把握した上で、どの手段で資金調達するかを選択する事が必要ですし、投資する側も、各々のリスクとリターンをきちんと把握した上で、投資をするかしないかを選択する事が重要だからです。

 

もっとも、社債の定義は上述したように曖昧ですので、どの基本書においても、「株式と社債との異同」は、実際には「株式と会社に対する貸金債権一般との異同」、もっといえば「株式」の特殊性を語るにとどまるものとなっています。

この点は、以下の説明においても同じですので、留意しておいて下さい。

 

共通点は、「大衆を相手とする資金調達の手段となりうる」ことです。銀行のような貸金業者ではなく、広く一般大衆を相手とする資金調達が共にメインであるということです。

 

これに対し、本質的な違いは、「会社の負債であるか否か」(=返すべきお金か否か)です。
社債は、銀行借り入れに比べて一般に低金利とはいえ、「時期が来れば返すべきお金」であるのに対し、株式は「返す必要のないお金」です。

 

また、本質的ではありませんが、差異は他にもあります。
株式は経営に参加する権利がありますが、社債にはありません。
会社が清算手続に入った場合、社債は会社債権者と同順位ですが、株式の残余財産の分配を受ける権利は、それに劣後します。

 

・・・いずれも、実は株式の特殊性を語っているにすぎないのですが、それはそれで重要ですので、正確に押さえておいてください。

社外取締役とは(11/2)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

 

・・・仕事をバリバリこなしてくれそうな、社外取締役さんですね。

 

今回は、社外取締役ですね。
取締役の中でも、会社とは深い関係にはない人の中から選ばれるべき取締役です。

 

何故、社外取締役という存在が必要だと思います?
マンガでは、会社のしがらみに囚われない、自由な意思決定の主体だから必要な存在だ、と書かれていますね。

 

これは、会社運営に新しい視点をもたらしてくれる、という話ではありません。
しがらみに囚われた曇った眼ではなく、澄んだ瞳で業務執行者の経営を(取締役会の一員として)監視できるから必要な存在だ、という点こそが本質です。

 

もう少しだけ、詳しく説明します。

 

社外取締役の設置が主として想定されているのは、「所有と経営の分離」が徹底的になされている委員会設置会社です。

「所有」と「経営」が分離しているということは、「経営」者(執行役)の個人的利益と「所有」者たる株主の利益が必ずしも一致しないため、株主が食いものにされる可能性が常に存在している、ということです。

また、経営者が会社の利益最大化を追求するあまり、法を食い破る可能性も否定できません。

 

そこで、このような経営者の独善的な業務執行に対するブレーキ役のアイデアの一つとして登場したのが、「業務執行を監視する機関の過半数を、社外取締役にしなければならない」というルールを作ることなのです(法400条3項参照)。

 

これは、「監査役会設置会社では、半数以上を社外監査役にしなければならない」(法335条3項)というルールと哲学は全く同じです(「半数以上」か「過半数」かは、程度の差にすぎません。しかし、実は程度の差として、かなり大きな差だったりします。)。

 

異なるのは、社外取締役の設置が主として想定されているのは、委員会設置会社なので、「取締役会」が経営監視のメインプレーヤーであり、「監査役」は存在しないことです。
だから、社外「取締役」という名称なのです。

 

このように理解した上で、非委員会設置会社における社外取締役についても見てみると、視点がブレずに済むはずです。

非委員会設置会社においても、社外取締役を置いてもいいですし、(経団連などの反対で義務化まではされませんでしたが、)置くことが期待されています。一定の場合(特別取締役による取締役会決議をしたい場合など)には置かなければならない局面もあります。

非委員会設置会社における社外取締役は、委員会設置会社の場合ほど明確な位置付けをされているわけではありませんが、基本的には委員会設置会社におけるものと同様、(「取締役会」の制度上の位置付けはやや異なるものの)「取締役会」の監督機能を強化しよう!という文脈でのお話であるわけです。

 

 

 

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(もう一歩前へ)

 

上では、社外取締役を、取締役の中でも会社とは深い関係にはない人の中から選ばれるべき取締役、と表現しましたが、正確な定義を押さえておきましょう。

 

正確な定義は、会社法2条15号に載っています。

 

株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人ではなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。

 

・・・です。

 

子会社も含まれていること
② 現在のみならず、過去も対象であること
③ (使う側であれ使われる側であれ)業務執行に関わっている者のみが対象であること
・・・の三点さえ意識すれば、そう苦も無く覚えられるのではないでしょうか。

 

 

 

 

取締役とは(11/2)

 

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(マンガ: まんがで気軽に経営用語 様)

 

 

・・・おそらく夢オチだとは思いますが、最後のコマ目が開いていますからね、違う解釈も可能なのかもしれません。

取締役は、ホント一言でいえば、経営者です。
おっきな会社では、経営のプロとして、一般の株主ではない人がやっている事が多いですし(=所有と経営の分離)、ちっちゃな会社では、株主が取締役を兼ねていることがほとんどです。

あとは、細かい知識を少し確認しておきましょうか。

取締役の任期は、原則として2年です(会社法332条1項本文)。
この2年という期間は、公開会社では伸ばすことはできませんが、(定款又は株主総会の決議によって)短縮することはできます。非公開会社では、伸ばすことも短縮することもできます(ただし、伸ばす場合は最大10年です)。

取締役は、原則として株主総会の普通決議によって選任・解任されます(法329条1項、339条1項、341条の存在&読み方に注意)。

取締役が2人以上いる場合は、定款で別段の定めがある場合を除いて、過半数で業務執行について決定します(法348条2項)。また、(代表取締役を定めない限り)各自が会社を代表することになります(法349条2項)。

 

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(もう一歩前へ)

 

取締役の義務について見ておきましょう。
このテーマは、一般的には、役員等(=取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人を指す)の義務、として取り上げられています。

 

まず、役員等は、会社から、こんな事務をやってくれませんか?と言われて引き受けている人たちですよね。取締役の場合であれば、経営をやってくれませんか?と会社に言われて引き受けているわけです。
このような役員等と会社の間の契約は、民法上の契約類型で言うと、委任契約です。役員等は受任者なのです。

 

法律で裏付けておきましょうか。
会社法330条は、「株式会社と役員(=取締役、会計参与、監査役)及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」と規定しており、会社法402条3項は、「委員会設置会社と執行役との関係は、委任に関する規定に従う」と規定してあります。

 

そして、受任者が民法上負う義務が、民法644条に規定されている善管注意義務です。これが、役員等の負う義務の本質です。ここを理解しておくことが最も重要です。

 

例えば、利益相反取引・競業取引の禁止などは、善管注意義務の一内容にすぎません。
また、会社法355条・419条2項は、取締役・執行役は忠実義務(=会社の為に忠実に職務を行うべき義務)を負うと書いていますが、忠実義務も善管注意義務を敷衍して明確化したものにとどまり、注意義務とは別個の高度な義務を課したものではない(最大判昭和45・6・24)と理解されています。

つまり、取締役を含めた役員等の負う義務は、会社との間の委任の関係に基づく善管注意義務であるということこそが本質なのです。

 

 

 

 

所有と経営の分離とは(11/1)

 

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(マンガ: まんがで気軽に経営用語 様)

 

右の社長秘書みたいな人から小者臭が・・・

 

さて、このマンガは、本来カネを出して会社の所有者であるはずの株主が、経営者である社長に邪険に扱われている状況が描かれていますね。
このように、出資者(所有者)が経営に関与できない場合がありうる、という株式会社の特徴を「所有と経営の分離」(資本と経営の分離所有と経営の制度的分離)といいます。

 

持分会社においては、出資者である社員のみが経営(業務執行)を行います。
これと比較して、株式会社においては、出資者である株主ではない者が、取締役や執行役という経営(業務執行)を担当する者となりうるため、このような株式会社の法制度上の特徴(=機関を分化できちゃうぞ、という特徴)を「所有と経営の分離」と呼んでいるのです。

 

ちなみに、機関が分化された結果として、「取締役が株主の言う事を聞いてくれないよ~、株主は所有者の筈なのに~」という状況が生じることがあります。株主が所有者ゆえに会社を「支配」すべきはずなのに、経営陣が「支配」しちゃっているよ~、という状況です。このような状況を指して、ネガティブな意味で、この「所有と経営の分離」という用語が用いられることもあります。

 

しかし、あくまで、本来の「所有と経営の分離」という言葉は、機関の分化が可能であるという株式会社の制度的特徴を(ポジティブ・ネガティブひっくるめて)言い表している言葉であり、上述のようなネガティブな意味だけに使用する場合は、「所有と支配の分離」と表現する方が適切である、という論者が多いです。

 

 

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(もう一歩前へ)

 

 何故、株式会社においては、「所有」と「経営」が分離されているのだと思います?
答えは、「資本」と「(資本を増やす)能力・労力」を結びつけるためです。
世の中には、活用されずに余っているお金がいくらでもあります。

お金を持っている人が活用する能力がない場合もあれば、能力があっても活用する時間がない場合もあるでしょう。このようなお金を「遊休資金」と呼びます。

この「遊休資金」を活用できたら、世の中上手く回ると思いませんか?
お金を持て余している「資本」家は、「能力」ある者に資本を委ね、得られた利潤により「資本」を増やす。お金がないが「能力」ある者は、「資本」を増やし、その増加分の一部のお金を得る。
これを可能にするのが、「資本」は、それを有する者しか使えない、という当然と思われたルールを取っ払って、「資本」を他人が使えるようにすることです。

このような形で、「資本」を他人(経営者)が使えるようにし、「遊休資金」を上手く活用する為のシステムが、「所有と経営の分離」であり、株式会社であるわけです。

 

 

定款とは(10/31)

 

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(マンガ: まんがで気軽に経営用語 様)

 

じょ、状況が気になりますね・・・
将棋部をサボってバケツドラムをしようとしていたけど、メガネ君に見つかっちゃったぁ~><; って感じでしょうか?

定款は、組織のルールブックとマンガに書いてありましたね。その会社にとっての憲法みたいなものというわけです。お堅い言葉でいうと、「会社の組織と活動に関する根本規則(又はそのような規則を記載した書面・電磁的記録)」と定義されています。

会社は、自然人ではなく法人ですから生まれながらの個性はありません。どんな目的のどういうタイプの会社である、という個性をつけるのが、この定款なのです。

友達を選ぶときって、相手の個性をもとに判断しますよね?
それと同じように、法人の信用のキソも、どんな目的のどんな会社である、という個性が書かれている定款です。

それゆえ、この定款は、そんな簡単に変更できません。こういう個性だと思ったから付き合ってきたのに違ったんだ!という事になっちゃうからです。
このような考慮から、定款変更は、原則として、株主総会の特別決議という、とても重い決議がないと出来ない、ということになっています(会社法466条、309条2項11号)。

 

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(もう一歩前へ)

 

定款規定の内容の話をします。

定款規定の内容には、「絶対的記載事項」、「相対的記載事項」、「任意的記載事項」があります。
この区別ができるようになりましょう。
だいたいどういうものなのか記載する(しない)事でどのような効果があるのかに着目して下さい。

絶対的記載事項」というのは、定款に必ず記載しなければならない事項をいいます。
その会社が取引社会の主体として登場する上で欠かせないものが中心です。自然人でいえば、名前・住所とかですね。①目的、②商号、③本店の所在地などが例に挙げられています

この「絶対的記載事項」は、文字通り「絶対」に記載しなければならず、この記載がない定款は、無効となります。

相対的記載事項」というのは、定款に必ず記載しなければならない訳ではないけれど、定款で定めないとその事項の効力が認められないような事項をいいます。
つまり、会社が嘘ついたり、自分に都合よく捻じ曲げたりしちゃうおそれのある事をもし会社がやりたければ、会社のルールブックである定款にちゃんと載せておいてね、じゃないと効力認めないからね、という感じです。

相対的記載事項」の例は、変態設立事項です。これさえ覚えておけばオッケーです。

会社設立の際、会社に取引における信用のキソ(=取引の相手方が、この会社はこのくらいの規模のお金を持っているのか、いざとなったらこのくらいは回収できるかな、と判断できる材料)となるお金が現実にちゃ~んと入ってくる事はものすっごく重要なのですが(資本充実の原則、と言われています)、設立しようとする人が、これをあの手この手でごまかそうとする(=本当は全然お金が入っていないのに、入っているように見せかけようとする)場合がありました。過去のそのような行為を類型化したものが、この変態設立事項です。

この「相対的記載事項」は、対象事項をそもそもやらないのであれば、記載する必要はないし、対象事項をやっているくせに記載しなかったのであれば、その事項は無効となるけれど、定款が無効となるわけではない、ということになります。

任意的記載事項」というのは、定款に必ず記載しなければならない訳でもないし、定款で定めなくても有効だが、定款に定めてもよい、という事項です。簡単にいえば、およそ定款に記載できる事項から、絶対的記載事項と相対的記載事項を除いたすべての事項、ということです。

定款で定めなくても有効なのに、わざわざ定款で定めるのはなぜ?と思われるかもしれません。ある事項を一度定款に定めると、その事項に関するルールを変えるには、定款変更という重大な手続を経る必要があります。これを利用して、ある事項を変えにくくする(固定性を持たせる)ために定款に定めるのです。
この例としては、①取締役の員数、②決算期などがポピュラーなものとして挙げられます。

 

 

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