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CSRとは(11/11)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

会社の経営陣や幹部候補の前で、クレーマー上がりの方が、「企業の社会的責任」について、ディスカッションや質疑応答を交えた講演をしたって状況でしょうね。

 

CSRは、法律用語ではありませんので、ざぁ~っと遠い目をしながらテキトーに解説を読んでください。

 

CSRは、Corporate Social Responsibilityの略です。「企業の社会的責任」と言われていますね。

 

1960年代後半に、公害問題が社会問題となった事を契機に、アメリカで登場した言葉です。

 

ですので、CSRの本来の意味は、企業は、(公害をまき散らすような)社会的に非難されるような事はやってはダメだよ~ということだったのです(企業は○○してはいけない、という消極的意味)。

 

しかし、時代が経ち、いやいやせっかく「社会的責任」というフレーズなんだし、もう少し対象を広げて用いましょうよ、という事になり、現在では、会社は株主の事ばかり考えるのではなく、従業員や消費者、地域住民や国民、果ては人類全体のために行動すべきだ、という意味をも有するようになったのです(企業は○○しなければならない、という積極的意味)。

 

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(もう一歩前へ)

 

CSRの中でも、上述した「積極的意味」につきましては、深く考えると泥沼に入りそうなくらい外延が分からないです。

 

しかし、ざっくり言えば、このような発想だと思います。私見が含まれておりますので、この点は注意して下さいね。

 

「自然人」(ヒト)は、「社会」の恩恵を預かりながら、自らもまた「社会」の構成員として、(例えば、次世代の社会の構成員である「子」を産み、あるいは選挙権・被選挙権を通じて「社会」を運営する、というような形で)「社会」に貢献しています。

 

他方、企業は本来、実在してはいない訳ですから、生まれながらの「社会」の構成員ではありません。また、ヒトのように、その存在ゆえに当然に「社会」に貢献しているとは言えない存在です。ところが、インフラ等を見てみれば一目瞭然であるように、「社会」から恩恵を受けています。「社会」を土台として、(特に営利法人は)営利活動しているわけです。

 

そこで、いやいや企業も「社会」に何らかの形で恩返しすべきなんじゃないの?貢献すべきなんじゃないの?という事で生まれたのが、CSRの「積極的意味」なのだと思います。
つまり、完全な自由主義(リバタリアニズム)ではなく、どちらかと言えば共同体主義(コミュニタリアニズム)的な発想な訳です。

 

ちなみに、「自然人」(ヒト)も当然には「社会」に貢献していない!企業に限らずヒトも「社会」への貢献についてもっと意識的になるべきだ!という発想から、SR(Social Responsibility、「社会的責任」)という用語も存在します。

 

社会への貢献方法は、無数にあり得ます。

 

政党への寄付も、「社会」運営に対する補助なのですから、(政治を歪めないのであれば)一つの貢献ですし、町おこしのアイデア(お祭りやイベントなど)の協賛をして、地元との結びつきを深め、新たな需要を発掘しようとするのも、「社会」に対する一つの貢献です。(積極的意味のCSR)。

 

もちろん、「社会」のルール(≒法)や秩序を守ることも「社会」に対する貢献と評価できます。(消極的意味のCSR)。

 

こんな感じでどうでしょうか。

ストックオプションとは(11/11)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

 

なかなか冷静な女の子ですね。

 

はてさて、実はストックオプションについては、「新株予約権」の用語解説において、かなり丁寧に説明しちゃったのですが、少しだけ異なる切り口で説明してみます。

 

ストックオプションというのは、業績連動型報酬(インセンティブ報酬)とされているものです。
役員さんや従業員など、実際に業務に携わっている人達に、「一定の価格で株式を買うことが出来る権利」である新株予約権を無料あるいは格安で配布し、自分が頑張れば頑張るほど、自分自身の財産が増えるぞ!頑張ろう!と思わせよう、というものです。

 

お堅い表現で言えば、ストックオプションの付与とは、「会社が役員や従業員などに、職務執行の対価として、株式を受け取る権利を付与することをいう」、ということになります。

 

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(もう一歩前へ)

 

ストックオプションを考える上で大事なのは、従業員に与える場合は、ある程度自由にできるけれど、取締役に与える場合は、慎重な手続きを経なければならない、ということです。

 

ざっくりと言えば、会社の利益が働き手の利益とは必ずしもならなかった状況を変え、会社の利益と働き手の利益のベクトルを同じにして、働き手のやる気を出させるツールがストックオプションでした。

 

しかし、取締役の場合は、ベクトルが同じとなったことを悪用して、度を超えて、他の株主の利益を蝕んでまで自分の利益を図るおそれがあります。

 

例えば、かなり有利な条件のストックオプションを自分に発行してみたり、短期的に株価を高くなるように操作し、付与されていたストックオプションを株式に換えて売り抜けようとしてみたり、というような具合です。

 

そこで、会社法は、ストックオプションも「職務執行の対価として株式会社から受ける財産上の利益」であり、「報酬等」に該当するものとして、「お手盛り防止」を旨とした取締役の報酬規制(会社法361条)をかけています。
報酬規制にかかってくるということは、取締役に付与するストックオプションの枠組みは、「株主総会の決議」によって決める必要がある、ということです。

従業員持株制度とは(11/7)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

社員のやる気の上昇度合いが凄い・・・

 

従業員持株制度というのは、「従業員」に株を買うチャンスを与えて、「株主」になってもらう制度です。
ホントそのまんまです。

 

強制的に「従業員」に株を買わせることなんて出来ませんから、従業員さんたち~いつでも株を買ってもいいからね~という制度を用意しておくって話です。
まぁでもお付き合いで半ば強制的に買わなければならない企業もあるでしょうけどね。

 

この従業員持株制度の目的は、
従業員から見れば、資金を株で運用することによる財産の形成
経営陣から見れば、経営陣の言うことを聞かせられる安定株主の形成、(自分の財産である「会社の株」の価値を高めようという動機によって)従業員の勤労意欲の向上などが挙げられます。

 

その反面、デメリットもあります。

 

従業員から見た場合、会社が上手くいっている時はいいです。
持っている株も上がるし、給料も増えるかもしれませんし。
しかし、会社の業績が悪化したら、どうなりますか?
保有財産の価値は下がるわ、給料は下がるわ、でダブルパンチです。つまり、リスクの分散が全くできていないのです。会社に自分の全てを託しちゃうことになるわけです。

 

経営陣から見た場合、従業員が働いている時はいいです。メリットの方が大きいです。
ですが、従業員が会社を辞めた後は、どうなります?
経営陣と従業員との間の指揮命令関係は、なくなる訳ですから、(OB・OGとしての愛社精神はあるかもしれませんが)必ずしも安定株主という訳ではなくなります
そのため、従業員持株制度のメリットを享受し続けようと思えば、新たな従業員にも株式を買ってもらう必要があり、従業員が入れ替わるたびに、発行する株式は膨れ上がります

 

経営陣の方は、このデメリットを防ぐ方法があります。
それについては、(もう一歩前へ)で扱う事にしましょう。

 

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(もう一歩前へ)

 

従業員持株制度を維持し続けると、発行する株式が膨れ上がってしまいます。
それを避けるには、会社としては、従業員持株制度の制度設計として、「従業員の退職時」に従業員の有していた株式を会社が強制的に買い取る制度にすればよい(正確には、資本維持の原則との関連で、会社自身がおいそれと買い取る訳にはいかないので、会社の息がかかった人間に強制的に売らせる制度、ということになります。)のです。

 

従業員に株式を強制的に買わせることが出来ないのと同様、会社が何の根拠もなく強制的に従業員に株式を売らせることはできません。
そこで、「取得条項付株式」という種類株式を従業員に売るか、あるいは、端的に従業員が株式を買う際に、退職時には会社が指定した人に売らなきゃダメだよ?それでも買う?と聞いた上で、同意した従業員だけに株式を売る制度にすればよい、ということになります。このようにすれば、契約の内容として、従業員は退職時に株式を会社に売る義務が発生します

 

学説の多くは、株式譲渡自由の原則との関連で、会社が当事者となるこのような契約の有効性を疑問視していますが、判例は認めています。

 

では、会社は自分たちにとって、もっと有利な条件で従業員に株式を売ることはできるのでしょうか?
例えば、現在1株100円とします。で、従業員に株を売る際に、「退職する際には、株式を売ってね。あなたが退職する際、株価がいくらになっていたとしても、1株100円で売ってね」という制度構築は可能なのでしょうか?
これでは、従業員はインカムゲイン(配当利益)は得られても、キャピタルゲイン(株式値上がり益)は全く得られていないですよね?

 

この点が争われた判例があります。

 

本HPの下記記事において、詳しく載せてありますので、是非ご覧ください。
従業員持株制度と退職従業員の株式譲渡義務」。

新株予約権とは(11/6)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

 

新株予約権というのは、ざっくり言えば、「新」しく「株」式を取得することを「予約」しておける「権」利です。

 

新株予約権とは、「株式会社に対して行使することにより当該株式会社の株式の交付を受けることができる権利をいう」(会社法2条21号)と定義されています。

 

そんなに難しくありませんよね?
マクドナルドのポテト無料券や、10円券みたいなものです。
「いつまでに、~~円払えば(あるいは無料で)、ポテトがもらえるよ!」という権利の、ポテトの部分を株式に変えたのが、新株予約権です。

 

さて、この新株予約権というのは、未だ株式ではない訳ですから、「議決権」もなければ、「配当を受ける権利」もありません
同じ100円で、「1株無料でもらえる新株予約権」と「1株」と、どちらかが買えるとしたら、どちらを買います?
さっさと株式を持っていた方が配当受けられるし、会社経営にもある程度口出せるのですから、フツーは「1株」を買いますよね?

 

ですので、この新株予約権というのは、特殊な使われ方をするために登場した権利です。

 

その使われ方というのは、(新株予約権付社債という資金調達の一手段(金融商品)としての使われ方を除けば、)主だったものとして、ストックオプション会社防衛の二種類の使われ方があります。

 

ここでは、マンガに沿ってストックオプションとしての使い方について軽く見ておきましょう。より正確に説明するために、少し事情を付け足します。

 

現在株価が「500円」で、社員には、「今から10年間の間、いつでも1株600円で100株分だけ株式を購入できる権利」(という内容の新株予約権)が「無料で」与えられていることにします

 

この「権利」は、「今から10年間」使える訳ですから、その権利をもらった社員は、どう思います?
今、この権利を使ったら、(600円×100株=)6万円払って、(500円×100株=)5万円分の株式を買う事になるわけですから、損しちゃいますね?
だから、今使うわけがありません。

 

そこで、何とか株価をこの10年間で少しでも高くして、600円を超えたらこの権利を使おう、600円を超えなかったら、この権利を使っても損するだけだから使わないでおこう。
こう考えるのです。
そして、社員が株価を少しでも高くする方法は、業務に励んで、会社の業績を良くすることです。

 

社員をこのように動かしたい(会社の業績向上へのインセンティブを与えたい)、という考えの下、新株予約権が使われているのです。

 

(株価が600円を超えなかったとしても、社員は1円たりとも損をしていない事に留意して下さい。新株予約権自体は、無料で手に入れていますし、新株予約権は、「使うことができる権利」であり、「使わない事もできる」ため、損するのであれば放棄すればそれでよいのです。)

 

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(もう一歩前へ)

 

上述のように、会社の防衛策としても新株予約権は使われます。
この点に、軽く触れておきます。

 

まず、経営陣の敵(余談ですが、これが会社の敵であるとは限りません)にとっては、いかなる方法であれ、株式を集めて議決権を一定割合保有し、経営陣に自分たちの手の者を送り込もう(あるいは、経営陣を刷新して自分達が経営権を握ろう)、というのが一つのゴールです。

 

そこで、防衛策としては、株式を集められても議決権は渡さないために、(「拒否権付株式」や「議決権制限株式」などの)「種類株式」を発行しておくか、そもそも株式を一定割合保有させないようにするのが、オーソドックスな防衛策の考え方です。

 

新株予約権発行は、後者の考え方に基づくものです。

 

公開されている株式を、経営陣のイニシアチブで、敵に一定割合保有させないようにするのは、容易ではありません。公開されているのであれば、基本的に誰がどれだけ買おうと自由だからです。

そこで、取引銀行やグループ企業に、あらかじめ一定割合の株を持っておいてもらうのが事前にできる一つの防衛手段です。

 

しかし、それには限界があります。
仮に銀行とグループ企業に合わせて34%保有してもらったとしても、残り66%は、買い集められる可能性が残るからです。

 

そこで、いざ敵が攻めてきました。株式を買い集めまくってます。
これに対し、経営陣は、株式を買い集めている行為には、やめろ!という訳にはいかず、全く手が出せませんから、全体の株式の量を増やすことで、敵の保有割合を下げ、一定割合保有されることを避けようとします

 

でも、攻め込まれてから、あわてて「株式」や「新株予約権」をそこで発行したのでは、経営陣が自分たちの経営権を守るために、資金調達の必要もないのに、株主の利益を犠牲にして、新株を発行しているという非難を免れず、新株の不公正発行の可能性もあるとして厳しい規制の対象となりますので、それはなかなかできません

 

そこで、敵が攻めてくる「前」に、グループ企業などに、いざとなったら、助けてね、これを株式にして、敵の保有割合を下げてね、と約束して「新株予約権」を配っておくのです。そして、敵が攻めてきたら、グループ企業にお願いしにいって、新株予約権を株式に変え、全体の株式の量を増やして、敵の保有割合を下げるのです。

 

これが、「新株予約権」による企業防衛の基本的な考え方です。

金庫株とは(11/5)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

何故購買の株を上げようと思ったのかが一番気になります・・・。

 

さて、金庫株ですね。
今では自己株式と呼ばれる方が多いですし、会社法上の正式名称は自己株式です。

 

簡単に言えば、自分の会社の株式です。
会社法においても、「株式会社が有する自己の株式」(会社法113条4項)と定義されています。そのままですよね。

 

この自己株式(金庫株)は、突っ込んで勉強するとホント難しいです。
ですので、基礎を押さえるのに終始しましょう。
基礎というのは、何故「株式」の中でも「自社の株式」を特別扱いするのか自己株式取得の取扱いは現在大体どんな感じになっているのか、を理解することです。

 

一から説明します。

 

そもそも株式会社というのは、「資本」「(資本を増やす)能力・労力」を結びつけるシステムでした(=所有と経営の分離)。しかし、他人に「資本」を任せて増やしてもらう際、その他人が失敗した全責任を「資本」の持ち主が負うのであれば、誰も「資本」を他人に任せようとはしません。
そこで、「資本」の持ち主は、出資した額以上の責任を取らなくてよいことにしました。これが、株式会社が間接有限責任たるゆえんです。(ちなみに、「間接有限責任」の意味については、「合資会社」の記事をご覧下さい。)

 

もっとも、企業が取引する際、いざとなったらいくら回収できるかは、最重要の関心事項です。それが分からないのであれば、怖くてそんな会社と取引したくないからです。
株式会社が取引社会のプレーヤーとしてやっていくためには、ここ(=責任財産)を明らかにする必要があるのです。

 

株式会社は間接有限責任ですので、社員である株主からは、取引先の企業はいざという時、全く回収できません。そこで、株主から入れられた「資本」こそが、いくら回収できるか(=責任財産)の指標となることになります。

 

ですので、「資本」はちゃんと入れなければならないし(=資本充実の原則)、一度入れた「資本」はそのままにしなければならない(=資本維持の原則)というルールが出来上がったのです。

 

さて、ここまでの説明で、大体私の言いたいことが分かってきたのではないでしょうか。

 

「資本」をそのままにしなければならない、というのは、株主に出資金の払戻しを認めない、ということです。(この表裏として、株主の投下資本回収の途を閉ざさないため「株式譲渡自由の原則」があります。)

 

では、会社が自己株式を取得するとどうなります?
会社のお金が株主に渡り、その対価としてその会社の株式が会社のものになりますよね?
これって、この「お金」が「資本」であれば、出資金の払戻しそのものじゃありませんか?

 

このように考えて、会社法は、自己株式の取得を、資本維持の原則に抵触しかねない存在として、他の株式の取得とは特別扱いしている訳です。

 

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(もう一歩前へ)

 

自己株式取得がマズイ理由として、①資本維持の原則に抵触する(=会社債権者を害する、ひいては株式会社の取引社会における地位を危うくする)というお話をしてきました。これが、最も大きな理由ではあります。

 

しかし、他にも、②会社(の経営陣)が、自己株式を持ってしまったら、それを支配の長期化などの経営陣の個人的な利益のために議決権を用いるおそれがあることや、③自己株式の取得はその方法と価格によっては、株主間の公平も害するおそれがある、という理由、④相場操縦やインサイダー取引の温床となってしまう、という理由も挙げられていました。

 

そのため、平成13年度の商法改正までは、自己株式の取得及び保有は原則禁止されていました。

 

しかし、これらのマズイ理由をある程度払しょくできる自己株式を観念できるのであれば、金融の手段はできるだけ多様であった方がよいのではないか、という考え方に変わってきました。

 

まず、①資本維持の原則に抵触する、という点に対しては、自社株を「剰余金配当可能額の範囲内」で取得できることにすれば、「資本」には手を付けていない訳ですから、資本維持の原則には反しないです。また、②議決権の濫用のおそれに対しては、自己株式の議決権を停止すれば解決します。③株主間の公平については、自己株式の取得方法と価格を法で規制すれば、一定程度は懸念を払しょくできますし、④相場操縦等の危険は、金融商品取引法で規制すれば、これまた一定程度は危険を減らせます。

 

このように考えられているため、現在では、規制はきちんとかけられてはいますが、かなり広範に自己株式の取得は容認されています。

執行役とは(11/5)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

 

・・・何もかもが軽い会社ですね(笑)

 

執行役は、委員会設置会社に置かれる業務執行を担当する役員さんです。

 

委員会設置会社というのは、基本的にはグローバル企業が採用する会社形態で、「取締役会」の業務執行者に対する監視監督機能をパワーアップする代わりに、「監査役」や「監査役会」を置かないようにした会社です。

 

そして、この「取締役会」が、業務執行を担当する「執行役」を選任・解任します(会社法402条2項、403条1項)。
ここに、委員会設置会社の業務執行監視システムの哲学があります。

 

フツーの会社で業務執行を担当しているのは基本的には「取締役」ですよね?

 

そして、その「取締役」を選任・解任するのは、「株主総会」です(法329条1項)。
しかし、「株主総会」は経営の素人の集団ですので、よほど小さな会社でない限り、監視監督は期待できません。
そこで、経営陣からは独立した地位が保障されたお目付け役として、「監査役」が設置されたのでした。これがフツーの会社の業務執行監視システムです。

 

これは、「取締役」ではなく、「代表取締役」や「業務執行取締役」が業務執行を担当する取締役会設置会社においても異なるところはありません
「取締役会」は、業務執行側の機関として位置付けられており、せいぜい出来ることと言えば、「代表取締役」や「業務執行取締役」の代表権・業務執行権を奪うことくらいだからです。

 

これに対して、委員会設置会社においては、業務執行を「取締役」ではなく、「執行役」のみが出来ることとし(法415条、418条。ただし、取締役が執行役を兼ねることはできる(法402条6項))、「取締役会」がその「執行役」に対して選任・解任権を有することを最大の武器として、業務執行を監視する、というシステムになっている訳です。

 

実際に監査を担うのは(「取締役会」の決議で選ばれた委員で構成される)「監査委員会」ですが、大きな哲学としては、このようになっています。

 

国家組織に例えるなら、「監査役」による業務の適法性の監視は、「裁判所」による監視であるのに対し、委員会設置会社における「取締役会」による監視は、(内閣不信任決議によって内閣総辞職させる権利を背景とした)「国会」による監視である、と例えることができます。

 

「執行役」は、業務執行を担当する役員さんなのですが、それだけ覚えてもあまり意味はなく、「執行役」が、委員会設置会社のシステムの中でいかに位置付けられているかを知る事こそが大切なのだと思います。

 

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(もう一歩前へ)

 

マンガにもありましたが、執行役と執行役員の違いに軽く触れておきましょう。

 

執行役は、上述のように、会社法が、委員会設置会社における業務執行担当者として位置付けている者を言うんでしたね。

 

これに対し、執行役員というのは、会社法の制度ではありません。
執行役員って聞くと何かお偉いさんっぽいですよね?
執行役員制度というのは、業務執行を実際に担当する者のトップに、お偉いさんっぽい肩書を与えるための制度です。

 

言い方を変えてみます。

 

経営のトップは、「取締役」です。
この「取締役」は、数に限りがあります
定款で取締役の員数が定まっているところもありますし、そうでなくとも「取締役」が多すぎると「船頭多くして船山に登る」ということになりかねません。

 

しかし、他方、上が空かないと幹部候補の方々はやる気が出ません。
そこで、執行役員という、業務執行の意思決定には関与できないけど、業務執行の実務ではお偉いさんなんだぞ、という肩書をつけることで、上が空かない不満を吸収しようとした制度です。

 

これを別の角度から説明すると、お偉いさんのポストは増やす一方、経営の意思決定をする「取締役」の員数を絞り込むことで、社内に不満を蓄積しない形で、意思決定の迅速化を図った、ということです。

 

また、これによって、業務執行の意思決定の責任者である「取締役」と、その意思決定に基づく実務の責任者である「執行役員」、という形で(社内での)責任の明確化が図れるという利点もあり、こちらを主目的として執行役員制度を導入する会社もたくさんあるようです。

株主代表訴訟とは(11/4)

 

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(マンガ:まんがで気軽に法律用語 様)

 

 

ガーンって何があったんでしょう・・・
ショックを受けている顔がコミカルで、いまひとつシリアスになりきれませんね。

 

さて、株主代表訴訟ですね。
これは、経営陣が株主を食いものにする行為(株価を結果的に下げるような行為)をした場合に、株主が経営陣を訴えることで、損害分の財産を会社に取り戻して、株価を元に戻そう!というものです。

 

マンガにもありますように、この訴訟は、経営陣は、会社にお金を返せ!損害賠償しろ!という訴訟であって、株主である自分にお金をよこせ!という訴訟ではありません。あくまで、「株主」が会社の立場を「代表」して起こす「訴訟」ですので、株主代表訴訟なのです。

 

正確に理解して頂くために、もう少し言葉を足します。

 

まず、経営陣は、「会社」との間で委任契約を結んでいます。だから、会社に対して善管注意義務を負うんでしたよね?
つまり、本質的には経営陣は、「株主」に対して直接に義務を負っているというよりは、「会社」に対して義務を負っているわけです。

 

ですので、会社法は、経営陣が「会社」に違法に損害を与えた場合、「会社」が経営陣を訴えるのが原則だと考えています(法386条1項参照)。

 

そして、「会社」といっても、会社を代表する立場である(経営陣トップの)「代表取締役」が、経営陣を訴えるというのでは、手抜きする危険度MAXですので、訴訟の際の「会社」を代表する者は、「監査役」設置会社であれば、「監査役」、そうでない会社であれば、(基本的には)「株主総会」が選んだ者ということになっています(法386条1項、353条、なお349条4項・364条も参照)。

 

しかし、です。「監査役」も経営陣の言いなりである事はよくあります。
そんな場合、「監査役」には「会社」を代表して提訴することが期待できません。違法行為は漫然と見逃され、刻々と時が経ち、株価は下がり続け、困るのは株主ばかり、と、このような状態になってしまいます。

 

そこで、そのような状態では困る立場の「株主」からも一定のアクションができるようにしたのが、この株主代表訴訟である、という訳です。

 

以上のような考え方が根本にあるからこそ、株主代表訴訟の手続として、(とても切迫した事態でない限りは、)株主はいきなり経営陣を訴えることはできず、まず会社に対して、経営陣を訴えてよ~と請求してから、「60日」経過後、それでも会社が経営陣を訴えない場合に、初めて株主が経営陣を訴えることができる、という回りくどいシステムになっているのです(法847条1項)。

 

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(もう一歩前へ)

 

株主代表訴訟を起こすことができる「株主」は、実は「株主」全員という訳ではありません。いわゆる原告適格の問題ですね。

 

非公開会社であれば、提訴時点で「株主」でさえあれば、誰でも訴えることができますが、公開会社の場合は、「六箇月前(定款で短縮は可能)から引き続き株式を有する株主」でなければ、訴えることができない、とされています(法847条1項)。

 

・・・これは、非公開会社では、所有者たる株主一人一人の立場が重視されるのに対し、公開会社では、株主一人一人の立場重視の要請と、一部株主の濫訴により経営が停滞する不利益(=株主が総体として被る不利益)回避の要請のバランスがとられている、ということです。

取締役会とは(11/4)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

いかにも教育マンガという感じの内容でしたね。

 

取締役会は、何となくイメージできますよね。会社のお偉いさん方が集まって、会社の運営の方針を決定しているところです。

 

厳密には、取締役会は、会社法で以下のように記述されています。

 

「取締役会は、すべての取締役で組織する」(会社法362条1項)

「取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職」(法362条2項)

 

・・・まぁ、読めばそりゃそうだろって感じですよね。

 

会社にA・B・C・D・Eの五人の取締役がいたとして、A&BとC&D&Eが仲悪いからといって、A・B派が真・取締役会、C・D・E派が本家・取締役会を立ち上げて各々活動するというのでは、正常な業務ができませんからね。

 

どんなに仲悪くても、取締役全員で組織された「取締役会」という一つの会議体だけが、経営の意思決定の最高機関だよ、と。その会議で多数派工作なり何なりして、「過半数」(法369条1項)で意思決定していってね、ということです。

 

あとは、マンガでも書かれている、「公開会社なら取締役会を置かなければならない」等の機関設計のお話に(「取締役会」が関わる範囲で)簡単に触れておきましょう。

 

まず、すべての株式会社は、「株主総会」「取締役」という機関を置かなければなりません(法295条1項、326条1項)。これは絶対です。この二つの機関がない株式会社は存在しません。逆に、この二つの機関しかない株式会社はたっくさんあります。

 

そして、「公開会社」など一定の会社は、「取締役会」を置かなければなりません(法327条1項)。

 

ざっくりとだけ言いますと、ちゃんとした会社であれば、正式な意思決定機関もちゃんと設けておきましょう、ということになっている訳です。

(ちなみに、取締役会がない会社の場合、業務の意思決定は「取締役」が行います。取締役が複数いる場合は、原則として「過半数」で意思決定します(法348条2項)。)

 

「取締役会」設置が義務づけられていない会社も、「取締役会」を置きたければ別に置いてもいいです。
ただし、「取締役会」を置いた場合は、原則としてそれを監視する機関(「監査役」など)を必ず置かなければならないので、小さな会社にとっては、めんどくさいです。

 

 

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(もう一歩前へ)

 

取締役会の招集決議について、株主総会と対比しながら簡単に見てみましょう。

ポイントは、取締役会を構成している取締役たちは、プロである、という点です。

 

取締役会は、原則として各取締役が招集できます(法366条1項本文)。
株主総会は、原則として取締役が招集します(法296条3項)。
共に、全員が同意すれば、招集手続なしで開催できます(法300条本文、368条2項)。

 

取締役会を招集する者は、取締役会の日の「一週間」前までに、各取締役に対してその通知を発しなければならない、とされています(法368条1項)。
株主総会を招集する者は、株主総会の日の「二週間」前までに、株主に対してその通知を発しなければならない、とされています(法299条1項)。

 

・・・取締役会の場合は、スケジュール調整のための「一週間」だと思って下さい。取締役はプロなので、そこまで会議の為の準備は必要ないからです。そのため、招集期間は定款で短縮できます。これに対し、株主総会の場合は、招集通知と一緒に送られてきた「株主総会参考書類」や「議決権行使書面」をチェックして、どうしよっかな~と考えるための時間が「二週間」とられているわけです。ですので、基本的には招集期間を短縮できません

 

取締役会における決議について、取締役は議決権を代理行使することは認められません。その取締役のプロとしての知見を会議体に還元し、プロ同士が議論することを通じて、意思決定することが求められているからです。
これに対して、株主総会では、議決権の代理行使は、原則として認められています(法310条1項)。

 

・・・この他にも取締役会と株主総会の招集・決議には細かい差異がありますが、取締役はプロなんだ、という視点から整理すると綺麗に整理できると思います。

コーポレートガバナンスとは(11/3)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

天使と悪魔ならぬタキシードとやくざの戦い、という奇妙な絵面ですね(笑)
最後は、無事タキシードが勝ったようです。

 

コーポレート・ガバナンスは、会社法の学習上、さほど重要な用語でもないので、さくっと片付けちゃいましょう。
コーポレートは、ここでは「企業」、ガバナンスは「統治」を意味します。
ですので、コーポレート・ガバナンスは、別名「企業統治」とも言われています。

 

とはいっても、経営者がどのように「企業」を「統治」しよっかな~という話ではありません。字面から素直に考えると、こちらをイメージしてしまいますよね。

 

株主や立法者が、どのように経営者にきちんと「企業」を「統治」させようかな~というお話です。この言葉が、経営者目線ではなく、株主や立法者目線の言葉であることをきちんと押さえておいてください。

 

お堅い言葉でいえば、「会社経営の適法性を確保し、効率性を向上させるために、会社経営者に適切な規律づけを働かせる仕組み」ということになります。

 

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(もう一歩前へ)

 

もう少しだけ詳しく説明しますね。

 

所有と経営が必ずしも一致していない株式会社において、「株主」と「経営者」は、必ずしも利害が一致していません。さらに、経営者は経営のプロである上、会社に関する情報を一手に握っており、情報の非対称性が存在します。

 

これでは、「経営者」が好き勝手やって、「株主」の利益を害してしまう可能性が常に存在することになってしまいます。
それではマズイので、「株主・立法者」が「経営者」をどうにかコントロールしなきゃダメだよな~というお話がコーポレート・ガバナンスであったわけです。

 

このように利害が対立するおそれがあることくらい法律は分かっていますから、「株主」を一定程度、保護する法律を置いています。これをちゃんと「経営者」に守らせる、というのが「適法性の確保」です。

また、経営者が、「株主」を保護する法律を守っていたとしても、その法律の枠内で、最大限自分の利益を図り、「株主」の利益を犠牲にするおそれは拭えません。これを解消するには、「株主」と「経営者」間の情報の非対称性をなくすか、「株主」と「経営者」の利害を一致させる必要があるのです。

このような状況を理想として、できるだけ「経営者」に、「株主」と同じ方向を向いて真っ直ぐに走ってもらうシステムを作ろう、というのが「効率性の向上」です。

 

ここで留意して頂きたいのは、この文脈で語られる「適法性の確保」は、「株主」の利益を害するような違法行為の抑止、という側面が強く、およそ全ての「法」を意味する訳では必ずしもない、という点です。この点が、(社会が、企業や経営者に対して社会のルール(≒法)を守るように要請している)「コンプライアンス」という言葉と決定的に違う点です。

社債とは(11/3)

 

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(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)

 

・・・「お金を貸してください!」って言いにくいですもんね、「社債、引き取ってくださいよ~」ならサラっと言えちゃいますよね。

社債というのは、会社が会社法の定めに基づいて、(銀行ではなく)大衆からお金を借りるための手段です。

 

一応、会社法2条23号に定義が載っています。

 

この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう

 

・・・何とも分かりにくい定義ですよね。金銭債権の中でも、会社法において社債としたものを社債と呼ぶんだ!という実に形式的な定義です。

 

このような形式的な定義しかなされていないのは、金融自由化に伴い、資金調達方法がとてつもなく多様化したことで、社債という枠組みの外延が誰にも分からなくなっちゃったからです。

 

かつては、銀行からの金銭消費貸借と比較して、大衆を相手とした大量かつ長期になされるものという性格付けがなされていましたが、現在ではその性格づけも正確ではないようです。

 

ですので、社債は資金調達の一手段であり、銀行借り入れと同様の金銭消費貸借の一種だけれど、会社法が特別扱いしているモノ・・・くらいの認識でよいのだと思います。

 

なお、日本の会社法が「社債」という枠組みを何故設けて、金銭消費貸借の一部を特別扱いしたかというと、債権をペーパー化(有価証券化)し、(社債権者集会制度を設けるなど)集団的取扱いを可能にするため、というのが一つの説明です。

 

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(もう一歩前へ)

 

社債は、株式との異同を押さえることが重要です。

 

経営者側からしてみれば、資金調達をする際、各々のメリット・デメリットをきちんと把握した上で、どの手段で資金調達するかを選択する事が必要ですし、投資する側も、各々のリスクとリターンをきちんと把握した上で、投資をするかしないかを選択する事が重要だからです。

 

もっとも、社債の定義は上述したように曖昧ですので、どの基本書においても、「株式と社債との異同」は、実際には「株式と会社に対する貸金債権一般との異同」、もっといえば「株式」の特殊性を語るにとどまるものとなっています。

この点は、以下の説明においても同じですので、留意しておいて下さい。

 

共通点は、「大衆を相手とする資金調達の手段となりうる」ことです。銀行のような貸金業者ではなく、広く一般大衆を相手とする資金調達が共にメインであるということです。

 

これに対し、本質的な違いは、「会社の負債であるか否か」(=返すべきお金か否か)です。
社債は、銀行借り入れに比べて一般に低金利とはいえ、「時期が来れば返すべきお金」であるのに対し、株式は「返す必要のないお金」です。

 

また、本質的ではありませんが、差異は他にもあります。
株式は経営に参加する権利がありますが、社債にはありません。
会社が清算手続に入った場合、社債は会社債権者と同順位ですが、株式の残余財産の分配を受ける権利は、それに劣後します。

 

・・・いずれも、実は株式の特殊性を語っているにすぎないのですが、それはそれで重要ですので、正確に押さえておいてください。

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