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リーガル・ハイ面白いな・・・(3/1)

 

今年に入ってから、リーガル・ハイの1期と2期を借りてちょくちょく見ていたのですが、すごく面白いですね!!

リアルタイムでやっていた時は何となく敬遠していたのですが、こんなことならもっと早くから見ておけば良かった。

 

普段、テレビはスポーツ(特にテニス・・・錦織フェレール戦が実は今日なんですよね・・・)や将棋(実は今日A級順位戦最終日なんですよね・・・)中心に見ておりまして、ドラマ自体あまり見ないのですが、これは本当に面白かった。やっぱり堺雅人さんはすげぇなぁ。

生瀬勝久さんもTrickの頃から好きというにわかファンですが、改めて凄さを実感しました。

はてさて、来週中には刑法マンガ記事の公開作業を完了させたいところですね。

頑張ります。

 

当日追記:

錦織くん負けちゃいましたが、第2セットの粘りは格好良かったですね。

ファイターのフェレールも相当好きな選手なので、試合後の喜び様を見ていたらほっこりしました。

メール事故(2/16)

 

フリーの声優様の中には、日々のお仕事関連のメールの送受信状況をものすっごく事細かに自らのHPやツイッターに掲載している方が一定数いらっしゃって、凄いなぁプロ意識高いなぁとずっと感心していました。

ただ、その意味が最近やっと分かりました。

 

メール事故ってこんな頻度で発生するのですね。

メールの送受信状況のHP等への掲載は、メール事故で届いていなかったりしたら教えてね、ってことなのですね。

最近、「憲法☆日和」のコンテンツ作成のために、声優様方とメールでたくさん打ち合わせさせて頂いて、初めてメール事故の頻度と、たちの悪さを実感しました。

 

「憲法☆日和」のコンテンツ作成で、現在メールでやり取りさせて頂いている声優様方へ。

私は、どれだけ遅くとも2日以内には必ず返信致しますので、3日経っても返信が無ければ、メール事故の可能性がとても高いです。

お手数をおかけして大変恐縮ですが、もし3日経っても返信が無い場合は、メールの再送を宜しくお願い致します。

 

 

刑法マンガ記事公開方針2(2/11)

 

なんとか7つの記事を公開できました。

後は、「脅迫罪」、「正当防衛」、「逮捕罪」など3つ~5つ程度の記事を公開し、「厨二病棟」様から使用許諾を頂いたマンガを利用しての記事作成は、終了いたします。

この残りの記事は、2月中は公開を自粛すると決めておりますので、3月の頭に公開作業に入ろうと思っています。

 

色々なことに現在着手しておりますが、

本HPの記事作成に関しては、当面この「マンガ記事作成」が続きます。

私が利用できる「まんがで気軽に経営用語」様の会社法用語のマンガも少しずつ増えてきましたし、新たに使用をお願いさせて頂きたいな~と考えているマンガ家様がいらっしゃったりしますので、自分のペースでこれからも記事作成させて頂こうと考えております。

 

 

名誉毀損罪、侮辱罪とは(2/11)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆ : 誰でも読んで頂けます】

 

それでは、「名誉毀損罪」「侮辱罪」の解説をしますね。

前半で、「名誉毀損罪」、「侮辱罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「名誉毀損罪」、「侮辱罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

え~皆さんは、この二つの罪について、どのような認識をお持ちなんでしょうね。

悪口を言っちゃう罪ですかね? ほぼ正解です。

皆の前で悪口を言っちゃう罪とか? さらに正解に近づいてきました!

皆の前で、社会的な評判を下げる危険のある悪口を言っちゃう罪? 大正解!!

 

自作自演はこのあたりにして、さっさと解説に入りましょう(笑)。

名誉毀損罪は、刑法230条1項に載っています。見てみましょうか。

 

第230条

1項  公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した者は、その事実の有無にかかわらず、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 

ん~どこまで説明するべきやら。

この条文は、「皆の前で、人の社会的評価を落とすレベルの悪口(具体的な事実付き)を言ってはいけない」というルールを提示しています。

 

例えば、A男くんには、B子さんという妻がいました。C男くんは、A男くんか嫌いで、「【拡散希望】A男は、D子さんと不倫している」という噂を何度もツイートしました。

このC男くんの行為は、「A男は、D子と不倫している」という「事実を摘示」し、不特定多数が知り得る形で、即ち「公然と」、A男くんの名誉を毀損する行為ですので、名誉毀損罪です。

 

この結論は、A男くんとD子さんが不倫をしていなかった場合はもちろん、実はA男くんとD子さんが本当に不倫をしていた場合でも、変わりません。これが、「その事実の有無にかかわらず」という言葉の意味です。

違和感を持たれる方が多いですよねぇ、多分。

特に今のインターネットでは、「匿名での正義の代執行」行為が常態化していますので、何で本当の事を言うことが悪い事なの?と思われる方が多い気がします。

 

その行為の是非はともかくとして、どうかここでは事実に目を向けて下さい。

A男が暴力団員だろうが、不倫をしていようが、未成年なのに飲酒をしていようが、刑法は等しく保護の対象としています。

悪口の対象がどんな人であっても、(仮に国民の大半が、胸がスッとするような内容であったとしても、)その社会的評価を皆の前で貶める行為は、「皆の前で、人の社会的評価を落とすレベルの悪口(具体的な事実付き)を言ってはいけない」というルールに違反しています。

ですので、A男くんは社会的に非難されるべきであったとしても、それとC男くんの行為が犯罪かどうかは、全く関係ないのです。ルールに違反しているかどうか、という点に焦点を絞って冷静に判断して下さいね。

 

では、次に侮辱罪を見てみましょう。刑法231条です!

 

第231条  事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した者は、拘留又は科料に処する。

 

この条文が示しているルールは、「皆の前で、人の社会的評価を落とすレベルの悪口(具体的な事実ナシ)を言ってはいけない」というものです。

 

名誉毀損罪が示しているルールは、「皆の前で、人の社会的評価を落とすレベルの悪口(具体的な事実付き)を言ってはいけない」でした。

侮辱罪と名誉毀損罪の違いはもう分かりますよね?

 

そうです!悪口に「具体的な事実」がくっついているかどうかが違うのです!

例えば、「お前は本当にバカだなぁ!」と皆の前で言うのは、具体的な事実の指摘を伴っておらず、単に軽蔑の価値判断を示しているだけですので、侮辱罪です。

それとは異なり、「お前、高校の時は英語の成績悪すぎて、留年しかけてたよな、評価1だったし。ホントバカだよな。」と皆の前で言うのは、具体的な事実の指摘を伴っているので、(その事実がウソかホントかに関わらず、)名誉毀損罪となります。

 

どっちの方が言われたら社会的な評価が傷つくと思います?

フツーは、具体的な事実を指摘された方が、より傷つく気がしますよね?

刑法もそのように考えているため、名誉毀損罪の刑罰は、「三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金」というそこそこ重いものであるのに対し、侮辱罪の刑罰は、「拘留又は科料」というかなり軽いものとなっているのです。

 

(法学部生向けの補足。以上の記述は、名誉毀損罪と侮辱罪を「事実の摘示の有無」で区別する、通説・判例の立場を前提に記述してきました。この立場に反対する有力説の考え方として、プライドを傷つけるだけの行為(=名誉感情を傷つける行為)が侮辱罪で、プライドを傷つけるにとどまらず社会的評価を下げる行為(=外部的名誉を傷つける行為)が名誉毀損罪である、というものもあります。この有力説からは、事実の摘示の有無は重要なメルクマールではなくなります。)

 

以上で、前半の解説を終わります。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、侮辱罪か名誉毀損罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

さて、サドみちゃんの行為を分析するにあたって、まずどちらの罪っぽいでしょう?

侮辱罪と名誉毀損罪は、「具体的な事実」付きで悪口を言っているかどうかが違うんでしたよね?

侮辱罪は、単なる侮蔑の価値判断や評価を表明する行為であるのに対し、名誉毀損罪は、本人に不利益な事実を社会的評価が落ちるレベルで具体的に指摘する行為なのです。

 

今回のサドみちゃんは、侮蔑の価値判断を表明していますか?

表明していませんよね。「けっこんおめでとうございます」は、よほど特殊な状況ではない限り、侮蔑の価値判断の表明とは捉えられません。

そこで、「結婚した」という事実を指摘しているものと捉え、名誉毀損罪の検討に入ることになります。

 

そして、結論としては、これでは社会的評価が落ちるレベルの悪口とは評価できず、「名誉を毀損した」とは言えないため、名誉毀損罪は成立しません。

今回サドみちゃんは、結婚していない事を分かりながら、先生の心にダメージを負わせることを目的として、「けっこんおめでとうございます」という呪いの言葉を、皆の前で花束と共に言いました。

しかし、その行為によって、先生の名誉感情(プライド)は傷ついたでしょうが、「結婚した」という事実は、(修行僧とかでない限り、)フツーは人に不利益な事実ではないため、先生の社会的評判が落ちたとは言えないのです。

よって、今回のサドみちゃんの行為には、侮辱罪も名誉毀損罪も成立せず、無罪だと思います。

 

公務執行妨害罪とは、業務妨害罪とは(2/5)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆ : 誰でも読んで頂けます】

 

それでは、「公務執行妨害罪」「業務妨害罪」の解説をしますね。

前半で、「公務執行妨害罪」、「業務妨害罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「公務執行妨害罪」、「業務妨害罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

公務執行妨害罪は、公務員のお仕事を妨害する罪です。警察官に対する抵抗行為が典型ですよね。なんちゃら警察24時という番組で良くやってます。

パトカーを蹴っ飛ばしたり、警官をどついたり、被疑者の行為が一線を超えた場合に、急にそれまで穏やかだった警官が豹変し、被疑者に対して怒鳴りながら、「○時○分、公務執行妨害で現行犯逮捕!」と言っているアレです。

ただ、警察官に対する妨害だけが、公務執行妨害罪ではもちろんありません。

警察官という職種が、色々な人々と関わる仕事であり、妨害を受けやすいから目立っているだけで、「公務員」の仕事を妨害すれば、それは公務執行妨害罪です

 

では、公務執行妨害罪の条文である刑法95条1項と、公務員を定義している刑法7条1項を見てみましょうか。

 

第95条

1項  公務員が職務を執行するに当たり、これに対して暴行又は脅迫を加えた者は、三年以下の懲役若しくは禁錮又は五十万円以下の罰金に処する。

 

第7条

1項  この法律において「公務員」とは、国又は地方公共団体の職員その他法令により公務に従事する議員、委員その他の職員をいう。

 

・・・まぁ、こんな感じです。「公務員」とは、というこの定義を正確に覚えて頂く必要など全くありません。皆さんが一般的にイメージする「公務員」です。

先程より少しだけ正確に言えば、「公務員」に対して「暴行又は脅迫」することにより、職務執行の邪魔をすれば、公務執行妨害罪となるのです。

 

では、次に(偽計)業務妨害罪が載っている刑法233条を見てみましょう。

 

第233条  虚偽の風説を流布し、又は偽計を用いて、人の信用を毀損し、又はその業務を妨害した者は、三年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

平たく言えば、不特定多数にウソをばらまいたり(=「虚偽の風説を流布」)、特定人を騙したり(=「偽計」)して、「業務を妨害」する犯罪です。

 

ちなみに、これは日本語の問題ですが、233条の読み方が分かるでしょうか。

この条文は、大きく4パターンについて規定しています。

 

1、虚偽の風説を流布し、人の信用を毀損する行為 ⇒ 信用毀損罪

2、偽計を用いて、人の信用を毀損する行為 ⇒ 信用毀損罪

3、虚偽の風説を流布し、業務を妨害する行為 ⇒ 業務妨害罪

4、偽計を用いて、業務を妨害する行為 ⇒ 業務妨害罪

 

・・・このうち、3と4を今回取り扱っています。釈迦に説法でしたかね。

 

さて、「公務」も基本的には「業務」ですから、「公務」を妨害する行為は、(公務執行妨害罪のみならず)業務妨害罪にもなり得るのです。

 

※ 法学部生向けの補足です。「公務」が「業務」に該当するか否かについて、判例は、強制力を行使する権力的公務と、それ以外の公務に分けて考えています「権力的公務」は、「権力」を背景としており、妨害に対する耐久力を有しています。そのため、わざわざ業務妨害罪で保護する必要はない、と考えられています。しかし、「それ以外の公務」には、そのような耐久力はないため、業務妨害罪によって保護する必要がある、と考えられているのです。

つまり、「公務」の中でも「権力的公務以外の公務」が、業務妨害罪にいう「業務」なのです。

 

以上です。

公務執行妨害罪及び業務妨害罪の概要と、「公務」に対する妨害であれば両罪(観念上は)成立する可能性があるぞ、ということが分かって頂けたのではないでしょうか。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

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では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、犯罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

まず、サドみちゃんが、実際に爆弾を仕掛けたのかどうかによって、大きく変わります。

どっちでしょうねぇ。サドみちゃんなら仕掛けていてもおかしくないですねぇ。

 

仮に、爆弾を仕掛けていたとしましょう。

そしたら、もう公務執行妨害だ業務妨害だ、というような小さい話ではありません。

 

激発物破裂罪(刑法117条1項)です。

 

第117条

1項  火薬、ボイラーその他の激発すべき物を破裂させて、第百八条に規定する物又は他人の所有に係る第百九条に規定する物を損壊した者は、放火の例による。第百九条に規定する物であって自己の所有に係るもの又は第百十条に規定する物を損壊し、よって公共の危険を生じさせた者も、同様とする。

 

・・・この条文を読んでも全然分からないと思います。

この条文は、爆弾を爆発させる行為は、放火と同じだけ悪い行為だから、放火罪と同じ基準で処罰するね、と書いてあります。

そして、結論だけ申しますと、サドみちゃんの行為は、現住建造物等放火罪(刑法108条)と同等の罪ですから、「死刑又は無期若しくは五年以上の懲役」ということになります。

公務執行妨害罪や業務執行妨害罪とはレベルが違います。

 

次に、仕掛けていなかったとします。

マンガ的には、こっちの可能性の方が小さいですが、一応検討しましょう。

 

公務執行妨害罪は成立するでしょうか。

「爆弾を仕掛けた」というのは、授業を妨害するのに十分な「脅迫」です。

では、この「授業」は「公務」でしょうか。

すなわち、この先生は「公務員」でしょうか。

どちらの可能性もありえます。

私立の先生なら、「公務員」ではありませんし、市立の先生等であれば、「公務員」です。

ですので、ここでさらに場合分けです。

この先生が、「公務員」であれば、授業は「公務」となり、公務執行妨害罪は成立します

「公務員」でなければ公務執行妨害罪は成立しません

 

次に、業務妨害罪は成立するでしょうか。

これは、先生が「公務員」であろうがなかろうが、成立します

「爆弾を仕掛けた」という嘘の情報を先生に対して伝え(=「偽計」)、先生の授業という「業務」を「妨害」しているからです。

 

したがって、結論としては、

 

1、爆弾を本当に仕掛けた場合、主として激発物破裂罪が成立

2、爆弾を本当に仕掛けていなかった場合で、先生が「公務員」ならば、公務執行妨害罪及び業務妨害罪が成立(ただし、観念的競合)

3、爆弾を本当に仕掛けていなかった場合で、先生が「公務員」ではないならば、業務執行妨害罪のみ成立

 

・・・という感じですかね。

実は、「2、」の方が「3、」より成立する犯罪は1つ多いですが、必ずしも「2、」の方が「3、」よりも重い刑罰を受ける訳ではありません。

そのあたりを説明するには、「観念的競合」や「法定刑・処断刑・宣告刑」といった概念を説明する必要があり、紙幅が足りませんので、気になる方は、この単語で検索してみてください。

 

強要罪とは(2/4)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆: 誰でも読んで頂けます】

 

それでは、「強要罪」の解説をしますね。

前半で、「強要罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「強要罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

強要罪というのは、刑法223条に規定があります。

載せておきます。

 

第223条

1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

 

つまり、「ボコボコに殴った上で、もっとぶん殴られたくなかったら、パン買ってこい!」とか、「この数学の0点の答案を町中にばら撒かれたくなかったら、このバケツ持って廊下で立ってなさい!」とか、そんな感じで、やりたくもない事を、殴ったり脅したりして無理矢理やらせる行為が、この強要罪に該当する行為です。

条文の表現を用いて言いますと、

「ボコボコに殴った上で、もっとぶん殴られたくなかったら、パン買ってこい!」というのは、「ボコボコに殴る」という、「暴行を用いて」、「パンを買ってくる」という「人に義務のないことを行わせ」ているため、強要罪なのです。

「この数学の0点の答案を町中にばら撒かれたくなかったら、このバケツ持って廊下で立ってなさい!」というのは、「数学の0点の答案を町中にばら撒くぞ」という「名誉」「に対し害を加える旨を告知して脅迫し」、「バケツを持って廊下で立つ」という「人に義務のないことを行わせ」ているため、強要罪なのです。

 

これで、強要罪がいったいどんな罪であるのかは、分かって頂けましたよね。

「暴行」又は「脅迫」を手段として、義務もないのに、人にやりたくない事を無理矢理やらせる行為が、強要罪にあたるのです。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか考えてみます。

罪が成立するかどうかは、刑法の条文に、今回のサドみちゃんの行為がぴったり当てはまるのかどうかで判断します。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

もう一度刑法第223条1項を載せておきますね。

 

第223条

1項 生命、身体、自由、名誉若しくは財産に対し害を加える旨を告知して脅迫し、又は暴行を用いて、人に義務のないことを行わせ、又は権利の行使を妨害した者は、三年以下の懲役に処する。

 

え~サドみちゃんは、銃を持っていますよね(笑)

人に銃口を向けた状態ではないとはいえ、銃を持って相手に迫る行為は、「生命」や「身体」に対する危険が高い行為です。

また、「告知」というのは、相手に「やってやるです!(byタ○ちゃん)」と口頭で伝える事だけを意味する訳ではありません。

例えば、ナイフを首元に突きつける行為や、銃口をこめかみに押し当てる行為も、態度による「害を加える旨」の「告知」と評価されます。「従わなければ、命はないぞ」と言っているのと同じだと評価できるということです。

であれば、今回の銃を持って相手に迫る行為は、口頭ではなく態度によって「害を加える旨を告知して脅迫」している行為と評価できるわけです。

そして、先生だからといって、生徒と昼休みにおにごっこで遊ばなければならないという義務はありません。先生は、一度断っているわけですから、おにごっこにムリヤリ巻き込むのは、「人に義務のないことを行わせ」た行為と評価できますよね。

ですので、223条1項に当てはまりますので、サドみちゃんには、強要罪が成立する、という結論となります。

あまり難しくありませんでしたよね。銃持って、ムリヤリおにごっこやらせたら、そりゃ日本語から考えてもおにごっこを「強要」してるんだから、強要罪になりますよね。

それをもう少しだけ正確に解説してみたのが、このコーナーでした。

 

窃盗罪、強盗罪とは(2/4)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★★☆ : 基本的には誰でも読んで頂けますが、少し難しい部分があるかもです。後半は、難易度★★★レベル(法学部1・2年生レベル)になってしまっています。】

 

それでは、「窃盗罪」、「強盗罪」の解説をしますね。

前半で、「窃盗罪」、「強盗罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「窃盗罪」、「強盗罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

窃盗罪が、物を盗む罪であることは、おそらく皆さん分かりますよね。

スーパーやコンビニでの万引きが典型例です。

刑法235条に窃盗罪が載っていますので、見ておきましょう。

 

第235条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

条文に書いてある「窃取」というのは、他人の物を、その他人の意に反して自分や第三者の物にすることです。日常用語の「盗む」と同じと考えて頂ければ、とりあえずそれでオッケーです。

要は、他人の物を盗んだら「窃盗の罪」になるよ~、と書いてあるわけです。

では次に、強盗罪が載っている刑法236条を見てみましょう。

 

第236条  暴行又は脅迫を用いて他人の財物を強取した者は、強盗の罪とし、五年以上の有期懲役に処する。

 

「他人の財物」を対象としていることは、窃盗罪と同じです。

違うのは、「窃取」じゃなくて「強取」となっている点ですよね。

「強取」というのは、被害者が加害者に対して歯向かう気もおきないようなヤバいレベルの暴行・脅迫によって財物を奪うことをいいます。

「窃取」と「強取」は、「財産を奪う」点では同じですが、ヤバいレベルの「暴行・脅迫」を手段としているかどうかが違うわけです。

具体例で説明した方が、分かりやすいと思います。

① 不良のAくんが、前を歩いていたBさんのポケットから財布をスろうと、Bさんに軽く肩をぶつけ、思わずBさんが身体を守るために上半身を手でガードする態勢になったところを、すかさずポケットに手をつっこみ、財布をスって逃げた。

⇒ Aくんが、Bさんの財布をスった行為は、「窃盗罪」です。この「肩をぶつける」という暴行は、Bさんが抵抗できなくなるようなヤバいレベルではありませんので、強盗罪にいう「暴行」ではありません。ですので、財布の取得行為は「強取」とはいえないのです。

② 不良のAくんが、前を歩いていたBさんを後ろから羽交い絞めにし、右手で首根っこをつかみながら、Bさんを地面に押し付け、右足でBさんの背中を踏みつけ、左手で地面に這いつくばっているBさんのポケットをまさぐり、財布を取って逃げた。

⇒ Aの行為は、「強盗罪」です。この一連の暴行は、Bさんが完全に抵抗できないレベルのものですので、強盗罪にいう「暴行」であり、財布の取得行為は「強取」です。

③ 不良のAくんが、前を歩いていたBさんを急に殴って金を要求した。これにビビったBさんは、逃げてもどうせ後が怖いと考え、財布を自ら差し出した。

⇒ これは余談です。Aの行為は、「恐喝罪」です。Aくんの暴行は、Bさんが完全に抵抗できないレベルではありません。現に、Bさんには逃げるという選択肢もありました。しかし、Bさんは、脅されながらとはいえ、自分の意思で財布を出しています。

⇒ 基本的には、相手の意思とは無関係に奪うのが、「窃盗罪」や「強盗罪」ですので、相手をビビらせることで相手の意思を誘導して奪う「恐喝罪」や、相手を騙すことで相手の意思を誘導して奪う「詐欺罪」と区別できるようになりましょう。

 

さて、これで窃盗罪と強盗罪の大枠は理解して頂けたのではないでしょうか。

ここから少しだけ話が複雑になります。

 

窃盗罪にしても、強盗罪にしても、基本は「他人の物を盗んじゃダメ」というルールです。

では、他人の物を盗んじゃダメ、とはいうものの、少しの時間拝借するくらいならどうでしょう?

例えば、友達の家に遊びに来て、「あ、3DS忘れた!ちょっと取ってくるわ!」と言って、自分の家に3DSを取りに帰る際、(友達の靴と分かりながら)友達の靴を履いて帰った場合、これは靴の窃盗でしょうか?

条文にそのまま当てはめてみてください。

友達という「他人」の、靴という「財物」を、自分で履いて帰るという形で「窃取」していますよね。

そのまま当てはめてみると、窃盗罪になりそうです。

でも、この人は、一時的に使わせて貰うだけのつもりで、必ず靴を返すつもりでした。

当たり前ですよね。自分自身の靴は、友達の家に残っていますし。

このような場合に、窃盗罪となるなんて、私たちの常識に反していますよね。

刑法学もそう考えています。

このような「無断での一時使用」行為は、「相手の物を自分の物にしてやろう」って悪い意思が、事実上ないため、「窃盗」ではなく、「使用窃盗」と呼び、褒められた行為ではないものの、刑罰を課すべき行為とはしない、と考えているのです。

 

つまり、

 

原則 : 「相手の物を、相手の意に反して自分の物にした」という事実があれば、それは「窃盗」であり、窃盗罪となる

 

例外 : 「相手の物を、相手の意に反して自分の物にした」という事実があっても、「相手の物を自分の物にしてやろう」って悪い意思が事実上認められない行為は、「使用窃盗」として、窃盗罪の対象ではない

 

・・・というルールとなっているわけです。

なお、分かりやすいように窃盗について話をしていますが、強盗についても、考え方は全く同様です。

 

以上が、後半に繋がる基礎知識です。

後半は、この基礎知識を前提としながら、さらにもう少し難しくなります。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

ただし、とても難しいので、分からなくてもあまり気にしないで下さいね。

 

刑法235条をもう一度載せておきましょう。

 

第235条  他人の財物を窃取した者は、窃盗の罪とし、十年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

また、

 

原則 : 「相手の物を、相手の意に反して自分の物にした」という事実があれば、それは「窃盗」であり、窃盗罪となる

 

例外 : 「相手の物を、相手の意に反して自分の物にした」という事実があっても、「相手の物を自分の物にしてやろう」って悪い意思が事実上認められない行為は、「使用窃盗」として、窃盗罪の対象ではない

 

・・・というルールを思い出してくださいね。

 

今回の事例は、どちらでしょうかね。

確かなのは、サドみちゃんの(他の4コマも含めた先生に対する)一連の行為は、基本的に先生に構ってもらう為の行為ですので、その後も車を自分のものとして使う意図が、サドみちゃんにあるとは思えない、ということです。

つまり、車を自分の物にしようとした、というよりは、一時使用目的なのです。

では、上のルールにあてはめて、「使用窃盗」だから窃盗罪の対象とはならないのか、というとそう単純ではないのです。話が複雑になってきましたね。

 

裁判所(最決昭和55・10・30)は、他人の「自動車」を夜中に4時間程度無断で乗り回していた行為について、弁護側の「元の場所に戻すつもりであり、使用窃盗だから無罪だ」という主張を斥け、「たとえ、使用後に、これを元の場所に戻しておくつもりであったとしても、」自動車を「数時間にわたって完全に自己の支配下に置く意図」があったとして、窃盗罪が成立する、としました。

この裁判所の判断を前提とすると、サドみちゃんが車を乗り回した時間などにもよるのですが、「自動車」を既に「完全に自己の支配下に」置いている上、「完全に自己の支配下に置く意図」を否定する事情は見当たりませんので、窃盗罪が成立する可能性は決して低くない、ということは言えそうです。

つまり、盗まれた物が「自動車」である場合は、理由を裁判所は明言してくれていないものの、「例外ルール」は当てはまらず、「使用窃盗」とはされない可能性が高いのです。

なお、この「例外ルール」が当てはまらない理由について、一般的には、「自動車」は高価なものであり、そのような高価なものを自分の物とする行為を、「相手の物を自分の物にしてやろう」って悪い意思が事実上認められない行為と評価するわけにはいかない、と説明されることが多いです。

この裁判所の判断を「上述のような例外ルールの消滅」と考えるか、「例外の例外ルールが設定された」と考えるかは、学者によっても区々ですので、これ以上は立ち入らない方がよさそうです。

 

※ 法学部生向けの補足です。窃盗罪が不成立となる「例外」が存在すべきことは、どの学者も一致しています。前者の「既存の例外ルールの消滅」と考える立場も、そうはいっても友達の靴を一時使用するような行為を処罰する訳にはいかず、例えば「可罰的違法性」のような概念を持ち出して、「新たな例外ルール」を作ることになります。後者は、「例外の例外ルール」を設定しますので、要は既存の「例外ルール」を残したまま微修正を図るということです。従って、結局1ブロック上の表現は、「既存の例外ルール」(「権利者排除意思が不存在」であれば、窃盗罪が成立しない「例外」となる、というルール)を認めるか否かで、学者が分かれているよ、というお話であるわけです。「不法領得の意思」の議論の中でも、権利者排除意思の要否にスポットを当てていた記述ということです。

 

こんな感じですかね。

最後は、複雑怪奇になりましたが、これは今回のサドみちゃんの行為を分析するのが、かなり難しかったからです。

 

※ 再び、法学部生向けの補足です。サドみちゃんが先生に銃をつきつけて、「けーどろ」をムリヤリさせた事が、強盗罪の「脅迫」に該当するか否かは、結論を出すのが困難なので、あえて後半では強盗罪に触れませんでした。引き金に指をかけながら銃を手に持っていることが、反抗を抑圧するレベルの『態度による「脅迫」』であることは間違いありません。ですが、強盗罪の「脅迫」は、財物奪取に向けられたものである必要がありましたよね?

一方で、サドみちゃんが先生に銃で子供っぽい遊びを強要することは、今までのマンガで何度もありまして、この銃での脅迫は、「けーどろの泥棒が本当に泥棒した」というギャグがやりたいサドみちゃんが、先生にけーどろの警察役をさせたかっただけで、財物奪取に向けた「脅迫」とは評価できない、と考えることが可能です。

他方で、「けーどろ」の警察役をさせ、先生の位置を一定時間固定することで、自動車の奪取を容易にしており、銃での「脅迫」が結果として財物奪取に向けたものであったと評価することも十分可能です。

窃盗か強盗かでいえば、強盗が成立する可能性の方が高いと私は判断していますが、便宜上、本文は窃盗について記載してきました。

 

結論としましては、これだけの事情からは本当は判断できませんが、まぁ「自動車」だし、窃盗罪又は強盗罪が成立する可能性がそこそこあるよ、という感じです。

今回は難しすぎでしたね・・・。

 

器物損壊罪とは、緊急避難とは(2/3)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★★☆ : 基本的には誰でも読んで頂けますが、少し難しい部分があるかもです】

 

それでは、「器物損壊罪」、「緊急避難」の解説をしますね。

前半で、「器物損壊罪」、「緊急避難」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、先生に、「器物損壊罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

器物損壊罪というのは、今回のマンガの窓ガラスを割る行為のように、他人の物を壊しちゃう犯罪です。刑法261条に規定があるので、さっそく見てみましょう。

 

第261条  前三条に規定するもののほか、他人の物を損壊し、又は傷害した者は、三年以下の懲役又は三十万円以下の罰金若しくは科料に処する。

 

対象は、「前三条に規定するもののほか、他人の物」と書いてあります。

「前三条」とは、第258条(公用文書等毀棄罪)、第259条(私用文書等毀棄罪)、第260条(建造物等損壊罪)を指し示しています。

ですので、「前三条に規定するもののほか、他人の物」というのは、およそ他人が所有する「物」の中で、258条・259条・260条が対象にしていないあらゆるもの、を指すわけです。

 

窓ガラスもそうですし、筆箱も時計もカバンもそうです。

「飼育している金魚」や「飼い犬」、「飼い猫」も実はそうです。

 

少し不快に思われた方もいるかもしれません。

ですが、刑法は「人間以外の動物」は、人間が所有し得る「物」と位置付けています

刑法261条をもう一度見て下さい。

「他人の物を損壊」する行為と、「他人の物を傷害」する行為が処罰の対象ですよね?

「物を傷害する」って表現に違和感を覚えませんか?

「傷害」という言葉が使われているのは、「物」の中に「動物」が含まれることを前提にしているからなのです。

他人の所有する動物を傷害する行為は、器物損壊罪と呼ばれることもあれば、動物傷害罪と呼ばれることもありますが、いずれにせよ刑法261条に違反する罪です。

 

他方、「人間」を「傷害」した場合は、傷害罪(刑法204条)で、遥かに重い罪になります。

この不条理な格差は、刑法は人間が作り上げた人間のためのルールだから、ということで目をつぶる他はありません。

 

以上で、器物損壊罪の解説を終わります。

次に、「緊急避難」について簡単に説明します。

 

これは、完全なる刑法用語であり、初めてこの言葉を聞いたよって方は、少し理解されるのに時間がかかると思います。

「緊急」に安全なところに「避難」するわけではありません。

「正当防衛」って知っていますよね?

それと似た概念です。

 

不良のAさんが、急に襲いかかってきました。慌てたBさんが、Aさんに反撃しました。このBさんの反撃は、正当防衛ですよね?

 

不良のAさんが、急に襲いかかってきました。慌てたBさんが、横にいたCさんを突き飛ばして攻撃を避け、あわてて逃げました。このBさんが、Cさんを突き飛ばした行為が、「緊急避難」行為と呼ばれているのです。

 

つまり、悪い奴の攻撃に対して、危険から自分を守るため、その悪い奴に反撃するのが正当防衛でした。

それとは異なり、何らかの攻撃に対して(悪い奴の攻撃だけに限りません、自然災害の場合などもあります)、危険から自分を守るため、無関係の人やモノを犠牲にしちゃう場合が緊急避難です。

この正当防衛と緊急避難との差を一言で上手いこと表した言葉があります。

正当防衛は、「不正vs正」の関係であるのに対し、緊急避難は、「正vs正」の関係だといわれています。先程の例で言えば、正当防衛は、不正なAと、正義のBとの関係であったのに対し、緊急避難は、可哀想な正義のBと、これまた可哀そうな正義のCとの関係なのです。

「正義の反対は、また一つの正義」ってやつですかね、違いますね(笑)

 

では、条文を見てみましょう。刑法37条1項です。

 

第37条

1項  自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

 

まぁ細かい話は抜きにしましょう。

この条文は、何らかのピンチから自分を守るために、「やむを得ずにした」のであれば、それは「緊急避難」行為として、何らかのルールを破っていたとしても、無罪にしましょう、刑罰を課しませんよ、ということを書いています。

『「緊急」にピンチから「避難」するために行った仕方ない行為』が、緊急避難行為だとそんな感じで覚えて頂ければ覚えやすいのではないでしょうか。

 

以上で、「緊急避難」の解説を終わりますね。

 

CMコーナーです。

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全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、先生に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

サドみちゃん(ピンク髪の女の子)ではなくて、分析の対象は、先生ですからね、気を付けて下さい。

それでは、裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

さて、まずは先生の行為を客観的に表現してみましょう。

先生は、いつ爆弾が爆発するかも知れない、という自分の命が危うい状況下で、爆弾が入っていると思われる箱を窓に向かって投げ捨て、窓ガラスを割っています。

 

その後、どうなったのかは分かりません。

下の通行人が降ってきた窓ガラスの破片でケガをしたかもしれませんし、もしかすると爆弾が外で爆発して外で遊んでいた子が怪我をしたかもしれません。

しかし、それはただの仮定の話ですので、窓ガラスを割った行為だけに着目して、分析することにいたしましょう。

 

窓ガラスを割る行為は、どんなルールを破っていますか?

これは、簡単ですよね。「他人の物を壊しちゃダメ」というルールです。

つまり、器物損壊罪(刑法261条)にあたるように思えるわけです。

 

ですが、箱は、「チッチッ」と機械音がしており、危険物を普段から持ち歩いているサドみちゃんから受け取った物なのですから、爆弾と判断しても全くおかしくありません。先生は、この箱を爆弾と判断し、自分の生命を守るため、やむをえず窓に投げつけたのです。

 

第37条

1項  自己又は他人の生命、身体、自由又は財産に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした行為は、これによって生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった場合に限り、罰しない。ただし、その程度を超えた行為は、情状により、その刑を減軽し、又は免除することができる。

 

つまり、「自己の生命に対する現在の危難を避けるため、やむを得ずにした」わけです。

また、これによって生じた害は、「窓ガラスが割れたこと」で、避けようとした害は、「先生の生命が危うくなること」なのですから、「生じた害が避けようとした害の程度を超えなかった」と言えます。

先生が、この先生きのこるには、やむをえなかったのです!!

すみません、言いたかっただけです(笑)

ですので、「緊急避難」が成立し、先生の行為は、「罰しない」こととされます。

よって、結局、器物損壊罪は成立せず、先生は無罪となります。

 

なお、余談ですが、仮にこの箱の中身が爆弾ではなく、ただの時計だったとしても、先生に器物損壊罪は成立せず、先生は無罪です。

この場合、実際は、先生の命はヤバくなかった訳ですから、「緊急避難」ではありませんが、先生が「緊急避難状況だと錯覚していた」ことの意味が問題となり、「違法性阻却事由の錯誤」という難しい議論を経て、先生の行為は、そのような場合でも仕方ない行為だよね、非難されるような行為じゃないよね、無罪だよね、という結論に落ち着きます。

 

被害者の同意とは(2/2)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆ : 誰でも読んで頂けます】

 

・・・難易度的には、誰でも読んで頂けますが、マンガ的にはR-15くらいな気もしますね(笑)

さて今回は、「被害者の同意」の解説をしますね。

前半で、「被害者の同意」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、何らかの罪が成立するのか、という観点から解説します。

 

「被害者の同意(承諾)」というのは、ある意味刑法用語です。

「○○をしてはならない」という刑法が定めたルールがあったとして、それは被害者自身がやってもいいよって言っている場合でも、なお罪になるの?っていう問題状況を「被害者の同意」と表現しています。

例えば、住居侵入罪(刑法130条)について考えてみます。

 

第130条  正当な理由がないのに、人の住居若しくは人の看守する邸宅、建造物若しくは艦船に侵入し、又は要求を受けたにもかかわらずこれらの場所から退去しなかった者は、三年以下の懲役又は十万円以下の罰金に処する。

 

まぁ簡単にいえば、「プライベート空間に侵入してはならない」というルールになっています。

このように「プライベート空間に侵入してはならない」というルールを刑法が定めていますが、それは被害者自身がいいよって言っていた場合は、罪になりません。

当たり前ですよね。

友達にお呼ばれされて、私が友達の家に遊びに行く行為は、住居侵入ではありません。

これは、住居権者である友達が許している以上、「侵入」とはいえなくなるからです。

つまり、「被害者(住居権者)の同意」のパワーによって、私が友達の家に入る行為が、違法な「侵入」から、適法な「おじゃましま~す」になったわけです。

 

次に、強制わいせつ罪(刑法176条)について考えてみます。

 

第176条  十三歳以上の男女に対し、暴行又は脅迫を用いてわいせつな行為をした者は、六月以上十年以下の懲役に処する。十三歳未満の男女に対し、わいせつな行為をした者も、同様とする。

 

ここから、二つのルールが導けることがお分かり頂けるでしょうか。

「13歳以上の者に、無理矢理わいせつな行為をしてはならない」というルール1と、

「13歳未満の者に、わいせつな行為をしてはならない」というルール2です。

 

ルール1は、逆に言えば、「無理矢理」じゃなくて合意の上であれば、やってオッケーなのです。つまり、上で述べた住居侵入罪と同じで、「被害者の同意」があれば、違法な「わいせつ行為」が、適法な「いちゃいちゃ」になるわけです。

これに対し、ルール2は、無理矢理だろうが、合意の上だろうが、「13歳未満の子にわいせつな行為をすることそのもの」が認められていません。ここでの「被害者の同意」には、何の効力もないわけです。

 

さて、以上から、「被害者の同意」があれば、そりゃ犯罪なんて成立しないだろう、と思ってしまいがちですが、「被害者の同意」があったとしても犯罪が成立する場合もある、という事が分かって頂けたと思います。

「被害者の同意」があれば犯罪が不成立となる場合もたくさんありますし、「被害者の同意」があっても犯罪が成立する場合も実はたくさんあります。

以上が、「被害者の同意」を考える上での、基礎知識でした。

 

CMコーナーです。

ニュースでよく聞く刑法用語や民法用語について、キャラが解説している音声作品をiTunesにて公開しております。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

全ファイルにつき、最初の30秒試聴できますので、上記リンク先より、一度お試し下さいませ。

 

では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

まず、サドみちゃんが、どんなルールを破っていそうか考えてみてください。

分かりますでしょうか。

二つ条文を載せてみました。

 

第204条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

第208条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

傷害罪(刑法204条)と暴行罪(刑法208条)です。

この区別の仕方は、コチラで既に述べておりますので、ご参照くださいませ。

 

正解は、傷害罪です。

具体的にどうなっているのかは少し良くわかりませんが(笑)、背中の皮膚が火傷なり裂傷なりを負っているのは間違いなさそうですので、これは「暴行」の進化系である「傷害」なのです。

 

ですが、この校長、他のマンガからも明らかなのですが、完全に同意しています

「被害者の同意」があるわけです。

では、傷害罪の「人を傷つけてはならない」というルールには、「被害者の同意」って効力を発揮するのでしょうか?

 

別に自分が傷ついても良いって言ってるんだから、いいんじゃないの?って思われる方が多いのではありませんか?

刑法学者の多くもそう考えています。

「人を傷つけてはならない」というルールは、被害者の身体を守ってあげるためのルールです。その被害者自身がいいって言ってるんだから、「被害者の同意の上で、その人を傷つける行為」は、適法と考えればいいんじゃないの、というわけです。

 

ところが、裁判所(最決昭和55・11・13)の見解は、少しだけ異なります。

「被害者が身体傷害を承諾した場合に傷害罪が成立するか否かは、単に承諾が存在するという事実だけでなく、右承諾を得た動機、目的、身体障害の手段、方法、損傷の部位、程度など諸般の事情を照らし合わせて決すべきである」とされているのです。

簡単に言えば、「被害者の同意」は、適法に傾く判断要素ではあるけれど、それだけで適法になるわけじゃなくて、適法か違法かは色んな事情を考えて裁判所が判断するぞ、と言っている訳です。

う~ん、判断が明快に出来ない分、やきもきしますよね。

 

でも、このような裁判所の立場に立っても、今回のようないわゆる「SMプレイ」については、傷害の程度が、被害者が事前に想定している程度にとどまるなら、問題なく適法となるでしょう。

そうじゃなきゃそういうプレイのお店、全部摘発されていなければオカシイですからね。

というわけで、今回のサドみちゃんの行為は、無罪でした~。

 

ここから先は、余談です。

「SMプレイ」関連で、究極の事案です。

 

被害者は、ドMでした。被害者は、究極のSMプレイとして、派遣されてきた男性のSMを専門とされている方に、800万円あまりの報酬と引き換えに、サバイバルナイフで下腹部を刺して殺してもらいたい旨依頼しました。男性は、金欲しさから依頼を承諾し、実際にナイフで下腹部を刺して殺害した、という事案がありました。

裁判所の判断を見る前に、殺人罪と同意殺人罪について確認しておきましょう。

 

第199条  人を殺した者は、死刑又は無期若しくは五年以上の懲役に処する。

 

第202条  人を教唆し若しくは幇助して自殺させ、又は人をその嘱託を受け若しくはその承諾を得て殺した者は、六月以上七年以下の懲役又は禁錮に処する。

 

どのようなルールになっているか分かりますか?

199条は、「人を殺してはならない」というルールを提示しています。

202条は、「承諾を得ても人を殺してはならない」というルールを提示しています。

 

ただ、罪の重さが全然違いますよね?

つまり、「被害者の同意」によって、重い殺人罪が、軽い同意殺人罪になるのです。

「被害者の同意」があっても、「人を殺す」行為は、依然として犯罪だけれども、罪は軽くなるのです。

 

さて、この究極のSMプレイの事案では、重い殺人罪なのか、軽い同意殺人罪なのかが争われました。本題から外れるので詳しくはやりませんが、被害者が本当に死ぬことに同意していたのかどうかが争われたのです。

そして、第1審では、本当に死ぬことに同意していた訳ではない、として男に殺人罪の成立が認められましたが、控訴審(大阪高判平成10・7・16)では、本当に死ぬことに同意していた、と理解する余地が十分ある、として男に同意殺人罪の成立が認められました。

まぁ、世界は広いんだな~という感じの余談でした。

傷害罪とは(2/2)

 

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(マンガ: 厨二病棟 様)

 

【難易度 ★☆☆ : 誰でも読んで頂けます】

 

疾走感のあるマンガでしたね(笑)

それでは、「傷害罪」の解説をしますね。

前半で、「傷害罪」について、基本的な内容をお伝えした上で、

後半で、今回の4コマのような事例において、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、「傷害罪」が成立するのか、という観点から解説します。

 

傷害罪は、おそらく皆さんもよくご存じですよね。

人を傷つける犯罪です。

 刑法第204条に載っていますので、見てみましょうか。

 

第204条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

そのままですね。人の身体を攻撃して、何らかのダメージを与えたら、その行為は「傷害」行為として、「傷害罪」の対象となるのです。

ちなみに、ダメージは目に見えるものに限られません

殴打攻撃によって、血が出た、青アザが出来た、というのが、「傷害」の典型例ですが、それだけでなく、例えば食べ物にノロウイルスを混入させて、内臓にダメージを与える、というのも「傷害」です。

 

さて、傷害罪の解説は以上で終わりですが、これだけだと少し寂しいので、似たような犯罪との区別についてお話させて頂きますね。暴行罪との区別です。

条文を見てみましょう。暴行罪は刑法208条です。

 

第208条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

AさんがBさんに何らかの攻撃をします。その攻撃はとりあえず「暴行」と呼ばれることになります。

その攻撃によって、Bさんがダメージを受けますと、その「暴行」は、「傷害」に進化します。そのため、Aさんの攻撃は傷害罪になります。

その攻撃によって、Bさんがダメージを受けなかったのであれば、その「暴行」は「暴行」のままです。そのため、Aさんの攻撃は暴行罪になります。

 

人にダメージを与える「傷害」の方が、「暴行」より悪い行為だという事は分かりますよね?

それが、刑罰にも反映されています。

刑法204条と208条の刑罰を見比べてみて下さい。

204条の傷害罪は、「十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金」ですが、208条の暴行罪は、「二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料」です。

どちらが重い罪なのかは一目瞭然ですよね?

 

以上で、傷害罪についての概略の説明を終わります。

 

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では、後半参りましょう。

前半の内容を踏まえて、サドみちゃん(ピンク髪の女の子)に、罪が成立するのかどうか判断していきます。

裁判官になったかのような気分で読み進めてください。

 

条文を3つ載せておきますので、どれに当たりそうかを少し考えてみて下さい。

 

第204条  人の身体を傷害した者は、十五年以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。

 

第208条  暴行を加えた者が人を傷害するに至らなかったときは、二年以下の懲役若しくは三十万円以下の罰金又は拘留若しくは科料に処する。

 

第209条

1項 過失により人を傷害した者は、三十万円以下の罰金又は科料に処する。

 

どれに当たると思います?

まぁどう考えても204条の傷害罪ですよね(笑)

 

209条というのは、過失傷害罪です。

結果的に相手にダメージ与えちゃったけど、そもそも相手に攻撃するつもりは無かったんだ、という場合の犯罪です。

例えば、料理教室でお鍋を誤って倒してしまい、横の人に熱々のビーフシチューがかかって、その人が火傷を負ったような場合ですかね。

フツーは、そのようなケースでは、警察に逮捕されたりしませんけど、一応、場合によっては処罰するために、刑法は規定を置いています。

 

とはいえ、今回のサドみちゃんは、勢いつけてガッシャーン!ベゴシャ!とやっていますし、4コマ目の手が、放り捨てる手をしておりますので、わざとだと判断できますね。

つまり、相手を攻撃するつもりがなかったとはいえないため、「過失」ではない、ということです。

 

そして、4コマ目のように頭が下になるくらい吹っ飛べば、通常は身体のどこかを強打するでしょうから、これはダメージがあると認定してよさそうです。

つまり、暴行罪ではなく、傷害罪が成立すると思われるのです。

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