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ロゴを作っていただきました!(5/6)

 

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本当に素敵な素敵なロゴを作っていただきました!!

匠です。まさにプロの技です。

 

来宮りお様、本当に有難うございました!

 

 

 

民法575条について(4/24)

 

 

575条

1項 まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じたときは、その果実は、売主に帰属する。

2項 買主は、引渡しの日から、代金の利息を支払う義務を負う。ただし、代金の支払について期限があるときは、その期限が到来するまでは、利息を支払うことを要しない。

 

【ある程度勉強が進んでいる人向け(法学部3年生レベルくらい?)】です。

「果実」とは、「特定物」とは、という部分の理解が曖昧であれば、まず予備校本や学者本でそのあたりを読んでから見てくださいませ。

手持ちの基本書のみを参考に、後はちゃちゃっと自分の頭で考えてまとめたものなので、内容の正確性に関してあまり自信はありませんが、ご学習の一助となりましたら幸いです。

 

1、【5752項の「利息」を遅延損害と見る考え方(多数説)を前提にした世界観による説明】

 

1―0 575条1項の文言から見る575条の射程

 

「まだ引き渡されていない売買の目的物が果実を生じた」というのは、「目的物」が「特定」されていることを前提とした概念だということをまず確認しておきましょう。

①「特定物」売買か、②「不特定物」売買であっても目的物が「特定」されている状況を前提とした条文なのです

例えば、馬30頭引き渡すという(不特定物売買の)契約締結後、売主側があらかじめ40頭程度厩舎で飼育していた馬のうちの一頭が子供を産んだとしましょう。売主としては、その「子供を産んだ馬」を引き渡すべき義務はありません。引渡し期限がまだ先なのであれば、その子馬を育てて、引き渡すべき馬のうちの1頭にすることすら売主の自由なのです。

 

1-1 575条のない世界

 

ルール1:果実は、原則として元物の所有者のものである(89条)

ルール2:特定物売買においては、(特約のない限り)売買契約時に所有権が移転する(176条、555条、最判昭和33・6・20)

ルール3:不特定物売買においては、(特約のない限り)目的物を特定すれば、所有権が移転する(176条、401条2項、555条、最判昭和35・6・24)

 

この3つのルールからは、

 

帰結if:特定物売買契約締結(あるいは不特定売買において目的物の特定)後から、(特約のない限り)、果実は原則として買主のもの

 

・・・ということになります。

 

つまり、(特約のない限り)買主は、(575条が存在しない世界においては、)目的物引渡しの前から果実を手に入れることができるわけです。

しかし、そうだとすると、引渡しまでの間、売主は、買主という他人の物(果実)も一緒に管理する必要があります。

ここで大事なのは、契約の目的物(元物)を管理し、引き渡すのは売主の義務(400条)であり、果実を引き渡すのも買主の物なのですから売主の義務ですが、果実を管理するのは(特約のない限り)売主の義務ではない、という点です。

ということは、売主は、買主に対して、理由もないのに買主の物を保管してあげたんだぞ、ということで、管理・保存費用の償還請求が出来るのです。

575条が無ければ、こんな感じの処理になります。

 

1-2 575条がしたいこと(制度趣旨・存在理由)

 

上の処理でも誰かが困る訳ではないのですが、「買主が果実を得るけど、その果実の管理費用は買主が支払わなきゃダメなのか…あ~管理費用の算出がとても面倒!」ということで、「果実の管理費用の処理」を不要にする制度にしました。

 

すなわち、

 

帰結if:特定物売買契約締結(あるいは不特定売買において目的物の特定)後から、(特約のない限り)、果実は原則として買主のもの

 

・・・を修正して、

 

帰結true:引渡し後から、果実は買主のもの

 

・・・にしました。これを実現したのが、575条1項なのです。

つまり、買主の果実取得時期を、「引渡し」時に遅らせることで、「売主が他人(買主)の物を管理する」状態をなくし、「果実の管理費用」概念が出てこなくて済むことにしました。

ただ、このままだと(基本的には「引渡し時までに得た「果実」の価値」>>「その「果実」の管理費用」であるため、)帰結ifよりも買主が(果実の取得開始時期が遅れちゃうという形で)損しちゃいます。

処理が面倒という理由で、575条を設けているのに、買主が損をする結果は許容できません。

そこで、民法は575条2項を設け、買主は、「引渡し」時から代金の「利息(仮)」を支払えばよい、として買主にメリットを与え、利益の調整を図りました。

 

ここまでを一言でまとめますと、法律関係の簡便さを追求し、575条1項で、買主のデメリットとなる「果実取得時期を遅らせる」処理をする代わりに、575条2項で、買主にメリットを与えたのです。

 

(cf. は??575条2項で売主の買主に対する利息支払請求権が発生することが、買主のメリット??とお思いの方もおられるでしょうが、すぐ下で解説しておりますので、とりあえず読み進めてください。)

 

1-3 575条2項にいう「利息」って何?

 

575条は、1項で買主にデメリットを与え、2項で買主にメリットを与える、という趣旨の規定でしたよね。

ですが、冷静に考えてみると、2項って買主のメリットになっていますかね?

そもそも、(特約もないのに)代金の利息を支払う義務って、どんな局面で発生するんでしょう。

 

債権総論・契約総論をフツーに学んだ者の理解からすれば、買主はフツーに取引する限りにおいて、(特約のない限り)代金以外の+αのお金を支払う義務なんてありません。

 

(取引がいずれ完了することを前提として、)例外的に、買主に+αのお金を支払う義務が発生するのは、(代金支払が先履行であるか、引渡し(の提供)を受け同時履行関係が無くなることによって、)履行遅滞に陥った場合の遅延損害金です。

そこで、学説の多数説は、「利息」という言葉をムリヤリ「+αのお金」と読み替え、この「利息」という言葉は「+αのお金」である「遅延損害金」を意味するのだ、と理解します。

そして、「遅延損害金」は、415条の原則から言えば、「違法な履行期限の徒過」により発生するのが原則であるところ、575条2項は「引渡し」をも発生の要件とすることで、「遅延損害金」が発生する時期を通常より後にズラす可能性を認めたのです。これが買主のメリットです。

 

つまり、575条2項は、「違法な履行期限の徒過」という要件から、「違法な履行期限の徒過+引渡し」という要件にすることで、遅延損害金発生時期を遅らせる可能性を認めた、415条の特則だと理解するのです。

 

(cf. 補足です。本来は、要件事実論の問題なのですが、なるべく要件事実論の言葉を使わずに説明します。

「違法な履行期限の徒過」という際の、「違法な」というのは、同時履行の抗弁権や留置権が存在しないのに履行期に履行をしない、という状況を指します。つまり、相手が同時履行の抗弁権を持っている状況では、いつまで経っても相手は「違法な」状態にはなりません。そこで、買主を履行遅滞にしたい売主としては、同時履行の抗弁権を消滅させるために、自分の債務の履行、すなわち「引渡し」(あるいは「引渡し」の提供)をすることになります。

とすれば、同時履行関係にある場合には、買主が「違法な履行期限の徒過」状態にあるのであれば、たいていの場合は売主は「引渡し」をしています。そして、この場合は、「違法な履行期限の徒過(引渡し含む)」=「違法な履行期限の徒過+引渡し」なのです。ということは、売主の義務と買主の義務が同時履行関係にある場合には、遅延損害金説からすれば、575条2項は、全く買主のメリットにはならない、ということです。

買主側の「代金支払」が先履行の場合や、売主側が、「引渡し」をせず、「引渡し」の提供にとどめたような場合にのみ、「履行遅滞」に陥るためには本来は売主の「引渡し」は不要なので、575条2項が買主にとって意味を持ってくることになります。)

 

2、【5752項の「利息」を法定利息と見る考え方(判例)を前提にした世界観による説明】

 

2-1 575条の前提とする世界観

 

さて、以上の考え方と、判例(大判昭和6・5・13)は異なる考え方です。

世界観からして異なります。

 

まず議論の前提として、1-1「575条のない世界」に、以下のような「金銭」に関する分析が加わります。

 

そもそもおよそ「金銭」というものは、同額であれば、貰うのが早ければ早いほど得をします。運用できるからです。「今日貰う100万円」と「1年後に貰う100万円」は、「今日貰う100万円」の方が、価値が高いのです。

今日貰った「100万円」を、1年後にどのくらいに出来るかは、実際には個人の才覚によりますが、それを計算する必要に迫られた場合は、(特約のない限り)「法定利息」(404条)で計算します。

 

さて、売主と買主との間で売買契約が結ばれたとしましょう。

特定物であれば、(特約のない限り、)契約締結時点で、所有権が買主に移るのでしたよね。

これとパラレルに考えると、(特約のない限り、)売主は「契約締結時点での代金額」を本来は手に入れるべきなのです。

あくまで空想のお話ですが、「契約締結時点」で買主が「目的物」について概念上オイシイ思いをするのであれば、売主も「契約締結時点」において、「代金」について概念上オイシイ思いをすべきなのです。

 

ここから、売主は、本来「代金の支払期限到来時」や、「買主が履行遅滞に陥った時点」ではなく、「契約締結時点」の「代金額」を手に入れるべきですから、(特約のない限り)「契約締結時点」から法定利息を請求することができる、とも言えるわけです。これを具体化する民法の条文はありませんから、このような利息請求権はありませんが、概念上このように考えることも可能、ということです。

このような世界観が、おそらく理解の前提になっています(全て私見)。

 

2-2 575条がしたいこと(制度趣旨・存在理由)

 

上のような分析を前提にすると、買主は、「契約締結時点」からの「(法定)利息」を取られない分、常に少し得をしている、と考えられます。

そこで、575条1項は、(本来、所有者である買主に帰属するはずの)「果実(-果実の管理費用)」を「引渡し」までは売主に帰属させ、売主に利益を与えることで、バランスを取りました。

 

内田先生の「民法Ⅱ債権各論」に載っている

 

〔果実〕-〔管理費用〕=〔代金の利息〕

 

とみなした、というのは、このような意味です。

なお、これは1、【遅延損害説】で述べた利害調整とは、「利息」の中身が異なる訳ですから、利害調整の内容が全く異なります。

 

そして、575条2項は、概念上のみ存在した「利息請求権」を制度化することで、「引渡し」後は、「売主」が利息を得、「買主」が果実を得るという本来の形に戻し、この技巧的な利害調整を終了することを基本的には宣言しているわけです。

 

大村先生の「基本民法Ⅱ債権各論」に載っている、

「引渡時に、果実収取権と利息債権とが、それぞれ相手方に移転する」というのも、このような意味に理解できると思います。

 

(cf. 補足です。制度上、買主は利息債権なんて持っているはずがないのですから、売主に移転しようがありません。ここでいう利息債権は、「契約締結時から運用していれば、少なくとも法定利息分くらいは稼げたんだ」という運用利益こそが、その内実なんだと思います。)

 

2-3 575条2項にいう「利息」って何?

 

以上の説明から分かる通り、文字通りの「利息」です。

575条2項は、売主が潜在的に有していたとも考えられる利息請求権を実体法化したものです。

買主が履行遅滞に陥っているか否かを問わず、売主が「引渡し」をした時点で、売主は「利息請求権」を有することになります。

 

3、【5751項の帰結の説明】

 

この世界観の違いは、575条2項の解釈や、要件事実には大きな差を生み出します。

しかし、どちらの世界観を前提にしても、575条1項の帰結に差が生じる理由はあまりありませんので、判例の処理を前提に、帰結だけ書いておきます。

 

① 買主「代金支払」未履行、売主「引渡し」未履行

⇒575条1項のルール通り、果実は「売主」に帰属

 

② 買主「代金支払」履行済み、売主「引渡し」未履行

⇒575条1項のルールからは、引き渡されていない以上、果実は「売主」に帰属するように見えるが、買主側が既に履行を終えてメリットを得る機会がなくなっているのに、売主側にのみ果実の帰属というメリットを与える理由はないので、575条1項が適用されない局面と考え、89条・176条の原則に戻り、果実は「買主」に帰属する(大判昭和7・3・3)。

 

③ 買主「代金支払」未履行、売主「引渡し」履行済み

⇒89条・176条の原則通り(あるいは575条1項の反対解釈により)、果実は「買主」に帰属

 

④ 買主「代金支払」履行済み、売主「引渡し」履行済み

⇒89条・176条の原則通り(あるいは575条1項の反対解釈により)、果実は「買主」に帰属

 

※ この理屈は、売主が引渡し債務の履行遅滞に陥っている場合でも変わりません

買主が代金支払いをしたのであれば、果実は「買主」に帰属するし(上の区分の②)、代金支払いをしていないのであれば、(売主が履行遅滞であっても)果実は「売主」に帰属します(上の区分の①、大連判大13・9・24)。

 

――― 終 ―――

 

頭の中でまとめるの凄くめんどくさかった・・・。

手元にある基本書の内容を、ちゃちゃっと半日でムリヤリ整理してみたら、こうなった、という内容ですので、どこかに色々誤認があるかもしれません。

 

行政書士民法クイズの誤り箇所について(4/24)

 

昨日、Androidアプリ「行政書士民法クイズ」の解答について、誤りでは?とのご指摘を頂き、私も確認させて頂きましたところ、ご指摘の通り誤りでしたので、ご報告させて頂きます。

「債権各論>契約総論・売買型契約>その20」(民法575条関連の問題です)について、正答は「×」であり、解説も「×」が正答であることを前提とした記述をしているにも関わらず、「○」を選べば正解となり、「×」を選べば不正解となるプログラムとなっておりました。

 

この誤りへの対策として、

① 本HPでの誤りのご報告

② GooglePlayの「行政書士民法クイズ」アプリ紹介文での誤り箇所の明記

・・・をさせて頂きます。

本記事の内容が、①であります。

 

また、これを機に、民法575条という理解するのにかなり厄介な条文について、昨日の夜、頭の中で手元の基本書を参考に整理して、先程、私自身の理解を書いてみましたので、後ほど小欄において、記事として載せさせて頂きます。

 

不注意なミスで申し訳ありませんでした。

また、ご指摘頂き、本当にありがとうございました。この場にて改めて感謝申し上げます。

もし何か他にも問題等ございましたら、どうぞお気軽にお問い合わせくださいませ。

 

一本化作業その4(4/19)

 

一本化作業についての報告です。

本日、Androidアプリ「憲法ゼミ」及び「政治経済ゼミ」の公開を終了いたしました。

これにより、「法律用語ゼミ」、「憲法ゼミ」、「政治経済ゼミ」のiTunes音声作品への一本化作業は完了したことになります。

 

今後は、「民法ゼミ1・2」、「刑法ゼミ」をiTunesに移植し、その後有料アプリの販売を停止するという同様の作業を行う予定ですが、まだ移植作業を始めてもおりませんので、今年の夏あたりになると思います。

停止する場合は、また事前に小欄において予告させて頂こうと思います。

 

それでは、今後とも宜しくお願いいたします。

 

 

 

4月・5月の作業予定(4/12)

 

本HPの更新は、4月・5月は、久しぶりに判例解説の記事作成を行う予定です。

分野は、会社法です!!

あとは、本HP関連で言いますと、せっかく行政書士試験関連のコンテンツがたくさんありますし、これをもっと色々な方に見て頂く為のtwitterのbot制作でもしようかなぁと考えております。

 

他は、音声作品への一本化作業や、HP「憲法☆日和」関連の作業が色々あったり、宅建を題材とした新HP・音声作品の準備をゆ~ったり進めていたり、(年単位で新記事を書いていない)HP「法・税・会計研究室」に民事訴訟法の逐条解説コーナーを作る準備だったり、ですかね。

自分のペースでこれからも頑張ります!

 

 

一本化作業その3(4/12)

 

本日、Androidアプリ「法律用語ゼミ」の公開を停止いたしました。

それに伴い、マーケット上の体験版のアプリ紹介文、及び本HPのアプリ紹介文において、

「※ 製品版のアプリは、2015年4月に公開を終了いたしました。
すなわち、完成品はアプリ(apkファイル)での公開を終了し、音声作品(mp3ファイル)としてのみ公開しております。本体験版は、引き続きご利用頂けます。 ※」

・・・という表現を追加いたしました。

 

非公開にするのは、「このアプリを非公開にする」ボタンをポチっと押すだけですので、とても簡単でしたね。

「再公開する」ボタンが登場したので、おそらく再公開もボタン一つでポチっと出来る気はいたします。何か問題等ございましたら、「お問い合わせ」欄より問題の詳細をご連絡頂ければ、場合によっては一時的な再公開も検討いたします。

ですが、基本的には、「法律用語ゼミ」・「法律用語ゼミ2」のアプリは、公開を終了し、iTunesの音声作品「法律用語ゼミ」への一本化が一応は完了したことになります。

(なお、音声作品「法律用語ゼミ」は、アプリ「法律用語ゼミ2」のデータも入っております。)

 

来週末には、「憲法ゼミ」・「政治経済ゼミ」においても同様の公開停止作業を行います。

焦らずゆっくり一本化作業を進めたいと考えております。

 

 

一本化作業その2(4/7)

 

最も影響が少ないであろう、Androidアプリ「法律用語ゼミ2」の配信を停止してみました。

停止する際に、

「アプリの公開を停止してもよろしいですか?

アプリの公開を停止した場合でも、既存のユーザーは引き続きアプリを使用し、アプリのアップデートを受け取ることができます。ただし、新しいユーザーは Google Play でのアプリの検索やダウンロードはできなくなります。」

 

・・・という表記が出ましたので、既存のユーザー様にはやはり大きな影響がないようですね。

まぁapkファイルをそのまま販売していますし、サーバー通信を必要とするアプリって訳でもないので、影響出るはずはないですよね。

 

しかし、念には念を入れて、色々様子を見ながら段階的に公開停止していきます。

とりあえず、本日「法律用語ゼミ2」を公開停止しました。

何も問題なければ、今週末に「法律用語ゼミ」を公開停止いたします。

「憲法ゼミ」と「刑法ゼミ」はその後ですね。いずれも、無料体験版はそのまま残します。

そして、いずれの作品も、iTunes上の音声作品としてのみ販売する形となります。

 

twitterの憲法判例bot作ってみました(4/4)

 

twitterのbot作成サービスを利用して、憲法判例の争点・結論、事実の概要、暗記フレーズをまとめた「憲法判例定義bot」を作ってみました。

現在166判例を取り扱ってまして、大体240ツイートくらいの中からランダムに、1時間に1回呟く設定となってます。

ついでに、朝と夜の9時に一言申す設定です。

 

最終的には、311判例を取り扱う予定ですし、憲法定義も呟く予定ですが、まぁとりあえずはこんな感じです。

140字以内にまとめるのは、苦行でした(笑)

たまに、判例の年月日が書いてなかったりしますが、それは他に削るものがなくて泣く泣く削ったものだったりします。

 

このHPと「憲法判例定義bot」を連動させましたので、 ↓ のウィジェット欄からアカウントをご覧頂けるはずです。

このHPの動作が予想以上に重くなったら、連動を解除しますが、しばらくは様子見ですね。

 

お気が向いた際に、ご利用頂けますと幸いです。

 

残余財産とは(4/1)

 

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(マンガ: まんがで気軽に経営用語 様)

 

残余財産というのは、会社清算時において、「会社の総財産から、契約で定められた債権者の取り分を除いた、株主の取り分となるべき残りの財産」を指す言葉です。

会社法上は、「残余財産の分配を受ける権利」という用語として登場しますね。

株主の権利は、未確定である上、会社債権者の権利に劣後するがゆえに、会社清算時には、「会社の債務一切を弁済した後で残った会社財産」の分配を受ける権利しか株主は持っていないのです。

一応、条文を確認しておきましょう。会社法502条本文です。

 

502条本文 清算株式会社は、当該清算株式会社の債務を弁済した後でなければ、その財産を株主に分配することができない。

 

しかし、会社債権者に劣後するとはいえ、株主に認められている本質的な権利ですので、「自益権」の記事で既に述べた通り、「残余財産の分配を受ける権利」は、自益権の一内容として重要なのです(105条1項2号、なお2項も参照)。

 

(また、余談ですが、「ステークホルダー」の記事で少し述べた通り、「残余権者」としての株主の利益状況が最も端的に表れるのが、この会社清算局面でしたね。「残余権者」と「残余財産」の意味の違いは、この「ステークホルダー」の記事をご参照ください。)

 

そして、残余財産の分配は、基本的には「株主の有する株式の数に応じて」割当てられることになります(会社法504条3項)。頭割ではない、ということですね。

以上で、「残余財産」という用語について知っておくべき基礎知識は全て述べた気がいたします。

 

【商品紹介コーナー】

『法律用語ゼミ』

色んな法律用語の解説をしている音声作品です。各種資格試験や法学部の定期試験対策の入門として、雑学を増やすツールとして、あるいは単なる息抜きにいかがでしょうか?

下記は、iTunes内の商品紹介へのリンクです。各トラックの最初の30秒ほどが、サンプルとして聞けるようになっています。

https://itunes.apple.com/jp/album/fa-lu-yong-yuzemi/id858331309

商品紹介コーナーでした!

 

(もう一歩前へ)

 

「残余財産」に関する説明は上述の内容で必要十分であると思います。

以下では、「ステークホルダー」の記事を前提に、「経営者」と「株主」の利害状況をもう少し見てみますね。

 

簡単におさらいします。

「株主」は「剰余権者」であるがゆえに、会社の利益状況と密接に関わりを持っており、「株主」と「会社」の利益は基本的に正の相関関係にあります。

 

これに対し、「経営者」は委任契約に基づいて報酬債権を持っており、会社に対する「債権者」ですから、「経営者」と「会社」の利益は連動しません。債権が回収できなくなるくらい会社が傾いた時にのみ(「会社」の利益が減れば、「経営者」の回収できる額も減る訳ですから)「経営者」と「会社」の利益は正の相関関係となります。

また、他人に仕事を任せた時には必ずエージェンシーコストがかかるのでしたよね。

 

さて、これだけの情報から言いますと、会社経営は「株主」こそが担うべきです。利害関係の薄い上に、利用するには必ずコストが発生する「経営者」に経営を委ねるのは非合理的です。

 

しかし、「株主」の数が増え、経営規模が大きくなってきますと、そう単純にはいきません。

「株主」の数が増えるということは、意見集約に新たなコストが発生する、ということです。経営判断は迅速であればあるほど効果を発揮します。その観点から言えば、経営判断の意見集約のために、時間というコストがかかるのは時として致命的です。

また、経営規模が大きくなるということは、経営が難しくなるということです。必ずしも経営の専門家ではない「株主」より経営の専門家である「経営者」の方が適切な判断ができるでしょう。言い方を変えれば、大きな会社を経営する際に、経営判断をする者が「経営について素人である」という事実は、リスクとなる、ということです。

 

このようにしてみると、「株主」の数が一定数以上となり、あるいは経営規模が一定以上となりますと、「経営者」を利用するためのコストを、「株主」が経営判断することにより生じるコストが上回り、「所有と経営が分離」し、会社の経営を「経営者」に委ねた方が得になる局面に変化することが分かりますね。

 

このような観点から会社法を見てみると、よく出来た法ルールだなぁと分かると思います。

基本的には、「株主総会」こそ最高の意思決定機関ですが(会社法295条1項)、「公開会社」(無個性の株主がうじゃうじゃ出てくる可能性のある会社)であれば、専門家で構成される「取締役会」を置かなければならないし(会社法327条1項1号)、(資本が5億円以上あるか、負債が200億円以上ある会社を意味する)「大会社」も「取締役会」を置く必要があります(会社法2条6号、328条1項、327条1項2号)。そして、「取締役会」が設置された場合には、「株主総会」は、最高の意思決定機関から、法律・定款に定めのある事だけを決定する機関にランクダウンするのでした(会社法295条2項)。

一応、少し説明しておくと、無個性の株主がうじゃうじゃ出てくる可能性は、「意見集約にコストがかかる」事を意味し、資本の規模や負債の規模が大きいということは、そのような会社の「経営が難しい」ことを意味するがゆえに、「経営判断をする者が素人である事のリスクが高い」事を意味します。ね、よく出来た法ルールですよね?

 

そして、「経営者」に経営を委ねた場合に発生するエージェンシーコストに対処するために数多くの法ルールが用意されている事は、もう既にステークホルダーの記事で述べました。

この点に関連して、少し異なる視点の分析も加えておきましょうか。

「経営者」は「債権者」でしたね。「債権者」はローリスク・ローリターン経営を志向しがちである旨、前の記事で述べました。つまり、「経営者」は基本的にローリスク・ローリターン経営をしがちなのです。いくら儲けてもリターンは自分にあまりない(もっとも、経営者として箔がつくため、経営者市場で自分に高値がつくという考え方は出来るかもしれませんが。)上、リスクが実現化したら債権が回収できなくなるわ、株主からの責任追及が待ってるわ、職を失うわ、で散々だからです。

 

しかし、それではリスクをとってでも前に進むべき時に進めません。

そこで経営者のリスクを一定程度和らげてあげるために出てきた判例法理が「経営判断の原則」(簡単にだけ言いますと、取締役の損害賠償責任を判断する際、取締役の業務執行がダメダメなものであったか否か(=任務懈怠があったか否か)の判断を、裁判官が事後的になすのは困難なので、原則的には、経営判断の是非には裁判所は立ち入らず、情報収集やそれに基づく選択決定に「著しい不合理」がなかったか、という形で(あくまで例外的な形で)裁判所は判断するのだ、という考え方です。)なのです。

 

色々な制度が繋がって面白いですよね。

今回は、以上です。

 

ステークホルダーとは(4/1)

 

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(マンガ: まんがで気軽に経営用語 様)

 

ステークホルダーというのは、利害関係者の事ですね。

 

――――― 完 ―――――

 

……では、寂しいですよね(笑)

法律用語ではありませんので、あまり重要な用語ではありませんが、少し詳しく見てみることにしましょうか。

以下は、「法と経済学」の観点からの分析を推し進めている(と、私が勝手に位置づけている)落合誠一先生の『会社法要説(初版)』(有斐閣、2010年)21頁以下のご分析に負うところが大きいです。

 

さて、ステークホルダーという用語は、利害関係者の事を指す言葉でしたね。

上記のマンガでは、株主・従業員・客(消費者)・債権者が出てきています。どの人も、その企業と大なり小なり利害関係がありますので、ステークホルダーです。

のみならず、他にも地域社会やら官公庁やらもステークホルダーの例として挙げることができます。

その企業と何らかの(直接又は間接の)利害関係を有していれば、ステークホルダーと呼ぶことができるのです。

 

では、具体的に、各類型の人達は、どのような内容の利害関係を有しているのでしょうか。

この利害の絡み合いを解き明かし、時として発生する利害対立を適切に調整するための法ルールが、「会社法」のあるべき姿です。

逆から言えば、「会社法」の制度設計の構築やその理解の為には、どのような利害関係を持つプレーヤー(=ステークホルダー)がいるのかの適切な把握が不可欠なのです。

 

落合先生は、上記書籍において、「株主」、(取引先や銀行等の通常の)「債権者」、(健康被害の被害者等の)「不法行為債権者」「従業員」「経営者」というプレーヤーを主として想定され、ご分析されています。以下の記述もそれに従っております。

 

(1) 株主

 

株主の特徴は、「間接有限責任」のみを負い、「剰余権者(残余権者)」であることです。

株主は、既に投下した資本を失っちゃうかも、という限度で責任を負っており、これを間接有限責任と言うんでしたよね?(「間接有限責任」が、あまりピンとこない方はコチラの記事をご覧ください。)

また、株主の権利は、未確定であり、会社債権者に劣後するため、株主の取り分は「会社のその時点での資産から、契約で定められた債権者の取り分を除いた、残りの部分」ということになります。この「残りの部分」の権利者である、という株主の特徴を「剰余権者」あるいは「残余権者」と(経済学では)呼ぶのです。(「株主の権利が未確定」という意味がピンとこない方はコチラの記事のラストをご覧ください。)

 

(補足です。この「剰余権者(残余権者)」という用語と、「残余財産の分配を受ける権利」という際の「残余財産」とは少しだけニュアンスが異なります。「残余財産」という用語は、会社がコケて清算手続に入った際、(債権者の取り分を除いた)「残余」部分しかお金貰えませんよ、という言葉です。これに対し、今回登場した「残余権者」という用語は、会社の平常運転時も清算時もひっくるめて、株主の利害は、「残余」部分と連動していますよ、という言葉です。意識的に区別して下さいね。もちろん、会社の平常運転時には、株主には「残余」部分を受け取る「請求」権はありません。「剰余金の配当を受ける権利」は、配当決議がない限り具体化しない未確定な権利だからです。とはいえ、利益状況としては(配当としてインカムゲインになるにせよ、内部留保に回ってキャピタルゲインになるにせよ)「残余部分」は間違いなく株主の利益と連動していますので、株主は会社の平常運転時においても「残余権者」なのです。会計的に見れば、より簡単に分かるはずです。貸借対照表の「資産」から、債権者の取り分である「負債」を除いた部分こそが、株主の取り分である「純資産」でしょう?)

 

この株主の特徴から、次の事が言えます。

「剰余権者」であれば、合理的に行動する限り、剰余部分を増加させる行動をとるはずですので、企業の業績向上に対して一番インセンティブを本来的に有しているプレーヤーです。つまり、利害状況から言えば、(利益の最大化を目指すべき)企業運営に一番向いているプレーヤーですので、基本的には株主こそが企業運営の中心的存在となるべきなのです。

また、「間接有限責任」のみを負担しているということは、いざという時の被害が限定されているという事なので、ハイリスク・ハイリターンの企業運営をするインセンティブが存在します。もっと言えば、企業が債務超過の状態であれば、株主としては小さな利益を上げても、どうせ自分の取り分に大した変更はないので、大博打を打つインセンティブが存在するということになります。

 

一番重要なステークホルダーである「株主」の利害状況分析が終わりました。

少し長くなりましたので、他のプレーヤーの分析は、(もう一歩前へ)ですることにいたしましょう。

 

(補足です。「株主」をもう少し細かく分析することも可能です。株主を「現在の株主」と「将来の株主(潜在的な株主)」とに分類すると、「現在の株主」は現在の配当を優先するのに対し、「将来の株主」は、現在の配当ではなく、利益の留保を優先する、ということが言えます。このような視点からは、経営者として、「現在の株主」に力点を置き、(敵対的TOB対策に一定の効果を有する)安定株主確保の為の増配路線で行くのか、「将来の株主」に目線を据え、留保利益を設備投資などに回し、配当を控える路線で行くのかの分岐が見えてくることになります。)

 

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商品紹介コーナーでした!

 

(もう一歩前へ)

 

では、続きです。

 

(2) (通常の)債権者

 

債権者は、「一定額の支払いを請求する権利」を有しています。

ここから、株主とは異なり、企業がどれだけ利益を伸ばしても、債権者の関心事項は「一定額が回収できるか否か」だけですから、債権者に企業の業績向上のインセンティブはあまりない、と言えます。自分の債権がしっかり回収できる程度の利益が出たのであれば、たくさん儲かっていても、ちょっとしか儲かっていなくても、債権者にとっては一緒です。

つまり、(利益の最大化を目指すべき)企業運営にはあまり向いていないプレーヤーです。

また、株主がハイリスク・ハイリターン経営へのインセンティブがあったのに対し、債権者にはローリスク・ローリターン経営へのインセンティブがあります。リターンが大きくても、債権者はその分け前がもらえる訳ではないし、リスクが現実化してしまえば、債権が回収できなくなる可能性が高まるからです。

 

(3) 不法行為債権者

 

このプレーヤーが、「債権者」と区別されているのは、意図的に利害関係を有した訳ではない、という点にあります。通常の債権者が、企業がこけることによって損をするのは、事前の情報収集やリスク分析・対策が甘かったね、自己責任だね、ということで基本的には片づけることができます。

しかし、意図的に利害関係を有した訳ではない「不法行為債権者」は、そのような理屈は通用せず、特別に保護する法ルールを構築する必要があるからです。

 

(4) 従業員

 

従業員は、雇用契約に基づいて給料をくれ!という権利を持っているのですから、「債権者」としての地位を持っています。ただし、それのみならず、雇用契約により、会社に対して指揮・命令に服すべき従属的な地位に立たされているのですから、その点にも配慮した法ルールが構築される必要があります。日本では、この法ルールは、労働法の関心事ですね。

 

また、従業員には(成果給ではなくて定額の給料であれば)、業務に励むインセンティブがありません。四六時中従業員を監視することは不可能なので、従業員がサボる可能性は常に存在してしまうことになります。このような問題をエージェンシー問題と言います。

 

この問題への対応としては、例えばストックオプションを付与したり、優秀な社員を表彰してみたり、会社業績が上向いたら臨時ボーナスを出す制度にしたり、様々な対応がありえます。(ストックオプションについては、こちらの記事をご覧ください。)

 

(5) 経営者

 

経営者は、委任契約に基づいて報酬をくれ!という権利を持っているのですから、「債権者」としての地位を持っています。また、仕事を任されているのですから、当然会社と経営者との間にもエージェンシー問題は存在します。それも、経営者にはとても広範な裁量権があるのですから、かなり深刻なエージェンシー問題が存在していますサボるだけじゃなくて、会社を食い物にして自分の利益を図る事すら容易だからです。

 

経営者と会社との間のエージェンシー問題に対する対応としては、経営者にストックオプションをあげる方法の他に、会社を食い物に出来ないように株主と経営者との間に存在する情報ギャップ(=情報の非対称性)を埋める方法(いわゆるIRです)、そして、法ルールが会社を裏切った場合の不利益や罰則を用意する、という方法などが取られています。ラストは具体的には、会社法355条の忠実義務やら(受任者としての)善管注意義務やら、会社法423条の任務懈怠責任やら様々な法ルールが用意されています。

 

(補足です。エージェンシー問題を一から簡単に説明しますね。とある経済主体が、他の経済主体にお金や仕事を任せる場合、任せる側を「プリンシパル」、任される側を「エージェント」と呼びます。(所有と経営が分離した)会社と経営者の場合は、会社が「プリンシパル」で経営者が「エージェント」です。そして、「プリンシパル」は「エージェント」の活動を逐一監視することは出来ませんし、監視する能力にそもそも欠けている場合もあります。このように考えますと、「エージェント」は機械ではなく人間ですので、自己の利益(ex.プリンシパルを食い物にしてお金が欲しい、楽するためにサボりたいなどなど)を「プリンシパル」の利益よりも優先させてしまうインセンティブが存在することになります。これは、「プリンシパル=エージェント関係」にあれば、必然的にこのインセンティブが存在してしまう、ということです。これが「エージェンシー問題」です。これでは、任せる側の経済主体に、(お金を横領される、サボられる等の)何らかの損失が発生してしまいます。この損失を「エージェンシーコスト」と呼び、このコストを最小限にする方法を「経済学」やら「金融論」やらは模索し続けているのです。)

 

(なお、会社と経営者との間の「エージェンシー問題」であれ、会社(や経営者)と従業員との間の「エージェンシー問題」であれ、エージェンシーコストを最小にするための、プリンシパルの最も効果のある対策の一つが、「信頼のおける人をエージェント(従業員・経営者)にする」事であるのは疑いを容れないはずです。法学も経済学も金融論も、「(人間を均一化して)どのような法システム・配当政策・資源の配分が最適か」などという議論をやっていますから、上のような話となりますが、上述の文脈で言っても、「人の役に立ちたい」、「誠実でありたい」、「この人の信頼に応えたい」という思いが、「エージェント」個人の「自己の利益」として重要なのだとしたら、それは「自己の利益」の内容が「プリンシパルの利益」に近づいているのですから、「エージェンシーコスト」は小さくなるはずです(私見)。まぁこのあたりは「人を動かすには」みたいな自己啓発本的な内容になりそうですので、このくらいにしておきますね。)

 

これで一応、主要5プレーヤーの利害状況の簡単な説明が終了しました。

「残余財産」の記事の後半で、「経営者」と「株主」の関係に絞って、この分析を前提にもう少しだけ話を進めてみようかな、と思っております。

それでは、今回は以上です。

 

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