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株主代表訴訟とは(11/4)


 

kaisha08

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(マンガ:まんがで気軽に法律用語 様)

 

 

ガーンって何があったんでしょう・・・
ショックを受けている顔がコミカルで、いまひとつシリアスになりきれませんね。

 

さて、株主代表訴訟ですね。
これは、経営陣が株主を食いものにする行為(株価を結果的に下げるような行為)をした場合に、株主が経営陣を訴えることで、損害分の財産を会社に取り戻して、株価を元に戻そう!というものです。

 

マンガにもありますように、この訴訟は、経営陣は、会社にお金を返せ!損害賠償しろ!という訴訟であって、株主である自分にお金をよこせ!という訴訟ではありません。あくまで、「株主」が会社の立場を「代表」して起こす「訴訟」ですので、株主代表訴訟なのです。

 

正確に理解して頂くために、もう少し言葉を足します。

 

まず、経営陣は、「会社」との間で委任契約を結んでいます。だから、会社に対して善管注意義務を負うんでしたよね?
つまり、本質的には経営陣は、「株主」に対して直接に義務を負っているというよりは、「会社」に対して義務を負っているわけです。

 

ですので、会社法は、経営陣が「会社」に違法に損害を与えた場合、「会社」が経営陣を訴えるのが原則だと考えています(法386条1項参照)。

 

そして、「会社」といっても、会社を代表する立場である(経営陣トップの)「代表取締役」が、経営陣を訴えるというのでは、手抜きする危険度MAXですので、訴訟の際の「会社」を代表する者は、「監査役」設置会社であれば、「監査役」、そうでない会社であれば、(基本的には)「株主総会」が選んだ者ということになっています(法386条1項、353条、なお349条4項・364条も参照)。

 

しかし、です。「監査役」も経営陣の言いなりである事はよくあります。
そんな場合、「監査役」には「会社」を代表して提訴することが期待できません。違法行為は漫然と見逃され、刻々と時が経ち、株価は下がり続け、困るのは株主ばかり、と、このような状態になってしまいます。

 

そこで、そのような状態では困る立場の「株主」からも一定のアクションができるようにしたのが、この株主代表訴訟である、という訳です。

 

以上のような考え方が根本にあるからこそ、株主代表訴訟の手続として、(とても切迫した事態でない限りは、)株主はいきなり経営陣を訴えることはできず、まず会社に対して、経営陣を訴えてよ~と請求してから、「60日」経過後、それでも会社が経営陣を訴えない場合に、初めて株主が経営陣を訴えることができる、という回りくどいシステムになっているのです(法847条1項)。

 

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(もう一歩前へ)

 

株主代表訴訟を起こすことができる「株主」は、実は「株主」全員という訳ではありません。いわゆる原告適格の問題ですね。

 

非公開会社であれば、提訴時点で「株主」でさえあれば、誰でも訴えることができますが、公開会社の場合は、「六箇月前(定款で短縮は可能)から引き続き株式を有する株主」でなければ、訴えることができない、とされています(法847条1項)。

 

・・・これは、非公開会社では、所有者たる株主一人一人の立場が重視されるのに対し、公開会社では、株主一人一人の立場重視の要請と、一部株主の濫訴により経営が停滞する不利益(=株主が総体として被る不利益)回避の要請のバランスがとられている、ということです。

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