(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)
いかにも教育マンガという感じの内容でしたね。
取締役会は、何となくイメージできますよね。会社のお偉いさん方が集まって、会社の運営の方針を決定しているところです。
厳密には、取締役会は、会社法で以下のように記述されています。
「取締役会は、すべての取締役で組織する」(会社法362条1項)
「取締役会は、次に掲げる職務を行う。
一 取締役会設置会社の業務執行の決定
二 取締役の職務の執行の監督
三 代表取締役の選定及び解職」(法362条2項)
・・・まぁ、読めばそりゃそうだろって感じですよね。
会社にA・B・C・D・Eの五人の取締役がいたとして、A&BとC&D&Eが仲悪いからといって、A・B派が真・取締役会、C・D・E派が本家・取締役会を立ち上げて各々活動するというのでは、正常な業務ができませんからね。
どんなに仲悪くても、取締役全員で組織された「取締役会」という一つの会議体だけが、経営の意思決定の最高機関だよ、と。その会議で多数派工作なり何なりして、「過半数」(法369条1項)で意思決定していってね、ということです。
あとは、マンガでも書かれている、「公開会社なら取締役会を置かなければならない」等の機関設計のお話に(「取締役会」が関わる範囲で)簡単に触れておきましょう。
まず、すべての株式会社は、「株主総会」と「取締役」という機関を置かなければなりません(法295条1項、326条1項)。これは絶対です。この二つの機関がない株式会社は存在しません。逆に、この二つの機関しかない株式会社はたっくさんあります。
そして、「公開会社」など一定の会社は、「取締役会」を置かなければなりません(法327条1項)。
ざっくりとだけ言いますと、ちゃんとした会社であれば、正式な意思決定機関もちゃんと設けておきましょう、ということになっている訳です。
(ちなみに、取締役会がない会社の場合、業務の意思決定は「取締役」が行います。取締役が複数いる場合は、原則として「過半数」で意思決定します(法348条2項)。)
「取締役会」設置が義務づけられていない会社も、「取締役会」を置きたければ別に置いてもいいです。
ただし、「取締役会」を置いた場合は、原則としてそれを監視する機関(「監査役」など)を必ず置かなければならないので、小さな会社にとっては、めんどくさいです。
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(もう一歩前へ)
取締役会の招集や決議について、株主総会と対比しながら簡単に見てみましょう。
ポイントは、取締役会を構成している取締役たちは、プロである、という点です。
取締役会は、原則として各取締役が招集できます(法366条1項本文)。
株主総会は、原則として取締役が招集します(法296条3項)。
共に、全員が同意すれば、招集手続なしで開催できます(法300条本文、368条2項)。
取締役会を招集する者は、取締役会の日の「一週間」前までに、各取締役に対してその通知を発しなければならない、とされています(法368条1項)。
株主総会を招集する者は、株主総会の日の「二週間」前までに、株主に対してその通知を発しなければならない、とされています(法299条1項)。
・・・取締役会の場合は、スケジュール調整のための「一週間」だと思って下さい。取締役はプロなので、そこまで会議の為の準備は必要ないからです。そのため、招集期間は定款で短縮できます。これに対し、株主総会の場合は、招集通知と一緒に送られてきた「株主総会参考書類」や「議決権行使書面」をチェックして、どうしよっかな~と考えるための時間が「二週間」とられているわけです。ですので、基本的には招集期間を短縮できません。
取締役会における決議について、取締役は議決権を代理行使することは認められません。その取締役のプロとしての知見を会議体に還元し、プロ同士が議論することを通じて、意思決定することが求められているからです。
これに対して、株主総会では、議決権の代理行使は、原則として認められています(法310条1項)。
・・・この他にも取締役会と株主総会の招集・決議には細かい差異がありますが、取締役はプロなんだ、という視点から整理すると綺麗に整理できると思います。