(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)
・・・「お金を貸してください!」って言いにくいですもんね、「社債、引き取ってくださいよ~」ならサラっと言えちゃいますよね。
社債というのは、会社が会社法の定めに基づいて、(銀行ではなく)大衆からお金を借りるための手段です。
一応、会社法2条23号に定義が載っています。
「この法律の規定により会社が行う割当てにより発生する当該会社を債務者とする金銭債権であって、第676条各号に掲げる事項についての定めに従い償還されるものをいう」
・・・何とも分かりにくい定義ですよね。金銭債権の中でも、会社法において社債としたものを社債と呼ぶんだ!という実に形式的な定義です。
このような形式的な定義しかなされていないのは、金融自由化に伴い、資金調達方法がとてつもなく多様化したことで、社債という枠組みの外延が誰にも分からなくなっちゃったからです。
かつては、銀行からの金銭消費貸借と比較して、大衆を相手とした大量かつ長期になされるものという性格付けがなされていましたが、現在ではその性格づけも正確ではないようです。
ですので、社債は資金調達の一手段であり、銀行借り入れと同様の金銭消費貸借の一種だけれど、会社法が特別扱いしているモノ・・・くらいの認識でよいのだと思います。
なお、日本の会社法が「社債」という枠組みを何故設けて、金銭消費貸借の一部を特別扱いしたかというと、債権をペーパー化(有価証券化)し、(社債権者集会制度を設けるなど)集団的取扱いを可能にするため、というのが一つの説明です。
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(もう一歩前へ)
社債は、株式との異同を押さえることが重要です。
経営者側からしてみれば、資金調達をする際、各々のメリット・デメリットをきちんと把握した上で、どの手段で資金調達するかを選択する事が必要ですし、投資する側も、各々のリスクとリターンをきちんと把握した上で、投資をするかしないかを選択する事が重要だからです。
もっとも、社債の定義は上述したように曖昧ですので、どの基本書においても、「株式と社債との異同」は、実際には「株式と会社に対する貸金債権一般との異同」、もっといえば「株式」の特殊性を語るにとどまるものとなっています。
この点は、以下の説明においても同じですので、留意しておいて下さい。
共通点は、「大衆を相手とする資金調達の手段となりうる」ことです。銀行のような貸金業者ではなく、広く一般大衆を相手とする資金調達が共にメインであるということです。
これに対し、本質的な違いは、「会社の負債であるか否か」(=返すべきお金か否か)です。
社債は、銀行借り入れに比べて一般に低金利とはいえ、「時期が来れば返すべきお金」であるのに対し、株式は「返す必要のないお金」です。
また、本質的ではありませんが、差異は他にもあります。
株式は経営に参加する権利がありますが、社債にはありません。
会社が清算手続に入った場合、社債は会社債権者と同順位ですが、株式の残余財産の分配を受ける権利は、それに劣後します。
・・・いずれも、実は株式の特殊性を語っているにすぎないのですが、それはそれで重要ですので、正確に押さえておいてください。