(マンガ:まんがで気軽に経営用語 様)
・・・仕事をバリバリこなしてくれそうな、社外取締役さんですね。
今回は、社外取締役ですね。
取締役の中でも、会社とは深い関係にはない人の中から選ばれるべき取締役です。
何故、社外取締役という存在が必要だと思います?
マンガでは、会社のしがらみに囚われない、自由な意思決定の主体だから必要な存在だ、と書かれていますね。
これは、会社運営に新しい視点をもたらしてくれる、という話ではありません。
しがらみに囚われた曇った眼ではなく、澄んだ瞳で業務執行者の経営を(取締役会の一員として)監視できるから必要な存在だ、という点こそが本質です。
もう少しだけ、詳しく説明します。
社外取締役の設置が主として想定されているのは、「所有と経営の分離」が徹底的になされている委員会設置会社です。
「所有」と「経営」が分離しているということは、「経営」者(執行役)の個人的利益と「所有」者たる株主の利益が必ずしも一致しないため、株主が食いものにされる可能性が常に存在している、ということです。
また、経営者が会社の利益最大化を追求するあまり、法を食い破る可能性も否定できません。
そこで、このような経営者の独善的な業務執行に対するブレーキ役のアイデアの一つとして登場したのが、「業務執行を監視する機関の過半数を、社外取締役にしなければならない」というルールを作ることなのです(法400条3項参照)。
これは、「監査役会設置会社では、半数以上を社外監査役にしなければならない」(法335条3項)というルールと哲学は全く同じです(「半数以上」か「過半数」かは、程度の差にすぎません。しかし、実は程度の差として、かなり大きな差だったりします。)。
異なるのは、社外取締役の設置が主として想定されているのは、委員会設置会社なので、「取締役会」が経営監視のメインプレーヤーであり、「監査役」は存在しないことです。
だから、社外「取締役」という名称なのです。
このように理解した上で、非委員会設置会社における社外取締役についても見てみると、視点がブレずに済むはずです。
非委員会設置会社においても、社外取締役を置いてもいいですし、(経団連などの反対で義務化まではされませんでしたが、)置くことが期待されています。一定の場合(特別取締役による取締役会決議をしたい場合など)には置かなければならない局面もあります。
非委員会設置会社における社外取締役は、委員会設置会社の場合ほど明確な位置付けをされているわけではありませんが、基本的には委員会設置会社におけるものと同様、(「取締役会」の制度上の位置付けはやや異なるものの)「取締役会」の監督機能を強化しよう!という文脈でのお話であるわけです。
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(もう一歩前へ)
上では、社外取締役を、取締役の中でも会社とは深い関係にはない人の中から選ばれるべき取締役、と表現しましたが、正確な定義を押さえておきましょう。
正確な定義は、会社法2条15号に載っています。
「株式会社の取締役であって、当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人ではなく、かつ、過去に当該株式会社又はその子会社の業務執行取締役若しくは執行役又は支配人その他の使用人となったことがないものをいう。」
・・・です。
① 子会社も含まれていること
② 現在のみならず、過去も対象であること
③ (使う側であれ使われる側であれ)業務執行に関わっている者のみが対象であること
・・・の三点さえ意識すれば、そう苦も無く覚えられるのではないでしょうか。