(マンガ: まんがで気軽に経営用語 様)
・・・おそらく夢オチだとは思いますが、最後のコマ目が開いていますからね、違う解釈も可能なのかもしれません。
取締役は、ホント一言でいえば、経営者です。
おっきな会社では、経営のプロとして、一般の株主ではない人がやっている事が多いですし(=所有と経営の分離)、ちっちゃな会社では、株主が取締役を兼ねていることがほとんどです。
あとは、細かい知識を少し確認しておきましょうか。
取締役の任期は、原則として2年です(会社法332条1項本文)。
この2年という期間は、公開会社では伸ばすことはできませんが、(定款又は株主総会の決議によって)短縮することはできます。非公開会社では、伸ばすことも短縮することもできます(ただし、伸ばす場合は最大10年です)。
取締役は、原則として株主総会の普通決議によって選任・解任されます(法329条1項、339条1項、341条の存在&読み方に注意)。
取締役が2人以上いる場合は、定款で別段の定めがある場合を除いて、過半数で業務執行について決定します(法348条2項)。また、(代表取締役を定めない限り)各自が会社を代表することになります(法349条2項)。
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(もう一歩前へ)
取締役の義務について見ておきましょう。
このテーマは、一般的には、役員等(=取締役、会計参与、監査役、執行役、会計監査人を指す)の義務、として取り上げられています。
まず、役員等は、会社から、こんな事務をやってくれませんか?と言われて引き受けている人たちですよね。取締役の場合であれば、経営をやってくれませんか?と会社に言われて引き受けているわけです。
このような役員等と会社の間の契約は、民法上の契約類型で言うと、委任契約です。役員等は受任者なのです。
法律で裏付けておきましょうか。
会社法330条は、「株式会社と役員(=取締役、会計参与、監査役)及び会計監査人との関係は、委任に関する規定に従う」と規定しており、会社法402条3項は、「委員会設置会社と執行役との関係は、委任に関する規定に従う」と規定してあります。
そして、受任者が民法上負う義務が、民法644条に規定されている善管注意義務です。これが、役員等の負う義務の本質です。ここを理解しておくことが最も重要です。
例えば、利益相反取引・競業取引の禁止などは、善管注意義務の一内容にすぎません。
また、会社法355条・419条2項は、取締役・執行役は忠実義務(=会社の為に忠実に職務を行うべき義務)を負うと書いていますが、忠実義務も善管注意義務を敷衍して明確化したものにとどまり、注意義務とは別個の高度な義務を課したものではない(最大判昭和45・6・24)と理解されています。
つまり、取締役を含めた役員等の負う義務は、会社との間の委任の関係に基づく善管注意義務であるということこそが本質なのです。