(マンガ: まんがで気軽に経営用語 様)
右の社長秘書みたいな人から小者臭が・・・
さて、このマンガは、本来カネを出して会社の所有者であるはずの株主が、経営者である社長に邪険に扱われている状況が描かれていますね。
このように、出資者(所有者)が経営に関与できない場合がありうる、という株式会社の特徴を「所有と経営の分離」(資本と経営の分離、所有と経営の制度的分離)といいます。
持分会社においては、出資者である社員のみが経営(業務執行)を行います。
これと比較して、株式会社においては、出資者である株主ではない者が、取締役や執行役という経営(業務執行)を担当する者となりうるため、このような株式会社の法制度上の特徴(=機関を分化できちゃうぞ、という特徴)を「所有と経営の分離」と呼んでいるのです。
ちなみに、機関が分化された結果として、「取締役が株主の言う事を聞いてくれないよ~、株主は所有者の筈なのに~」という状況が生じることがあります。株主が所有者ゆえに会社を「支配」すべきはずなのに、経営陣が「支配」しちゃっているよ~、という状況です。このような状況を指して、ネガティブな意味で、この「所有と経営の分離」という用語が用いられることもあります。
しかし、あくまで、本来の「所有と経営の分離」という言葉は、機関の分化が可能であるという株式会社の制度的特徴を(ポジティブ・ネガティブひっくるめて)言い表している言葉であり、上述のようなネガティブな意味だけに使用する場合は、「所有と支配の分離」と表現する方が適切である、という論者が多いです。
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(もう一歩前へ)
何故、株式会社においては、「所有」と「経営」が分離されているのだと思います?
答えは、「資本」と「(資本を増やす)能力・労力」を結びつけるためです。
世の中には、活用されずに余っているお金がいくらでもあります。
お金を持っている人が活用する能力がない場合もあれば、能力があっても活用する時間がない場合もあるでしょう。このようなお金を「遊休資金」と呼びます。
この「遊休資金」を活用できたら、世の中上手く回ると思いませんか?
お金を持て余している「資本」家は、「能力」ある者に資本を委ね、得られた利潤により「資本」を増やす。お金がないが「能力」ある者は、「資本」を増やし、その増加分の一部のお金を得る。
これを可能にするのが、「資本」は、それを有する者しか使えない、という当然と思われたルールを取っ払って、「資本」を他人が使えるようにすることです。
このような形で、「資本」を他人(経営者)が使えるようにし、「遊休資金」を上手く活用する為のシステムが、「所有と経営の分離」であり、株式会社であるわけです。