問題:(完全オリジナル問題)Aは、運転免許の取消し処分を受けたことを不服として、その取消訴訟を提起したが、その訴訟係属中に死亡した。この際、判例の論理によればAの相続人Bは、この訴訟を承継することはできない。他方、公務員Cは、大臣から懲戒免職処分を受けたことを不服として、その取消訴訟を提起したが、その訴訟係属中に死亡した。この際、判例の論理によればCの相続人Dは、この訴訟を承継することができる。この違いはどこからくると考えられるか。40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
まず、この問題は問題文に訴訟承継というややこしい概念があるため、ピントを合わせづらいが、原告が死亡したことによって、訴訟要件が欠けてしまうのかどうか、という風に言い換えてみると、
訴訟要件のうちの
(①処分性②出訴期間③原告適格④訴えの利益)
の問題であることが分かる。
この点、BやDの原告適格が問題だ、と勘違いする方も多いと思われるので、説明を補足すると、原告適格というのは、取消訴訟を裁判所に提起する資格(主観的利益)の事であるため、
BやDが、原告適格を有していたAやCの相続人である事によって、満たされている。
今回は、AやCの死亡により、処分を取り消すべき客観的な利益が消失したといってよいのかが問題となっているため、訴えの利益の問題なのである。
そして、Bについては、感覚的にわかると思うが、Aの運転免許が取消された不利益は、Aの死亡によって既に存在せず、訴えの利益が認められないので、訴訟は承継されず、終了するのである。
表現を変えると、Aの有していた免許取消処分を取り消すべき利益は、
(①事実上の②一身専属的な③法律上の④相続可能な)
利益であったのである。
それに比べて、Dについては、Cは死亡したとしても、DはCが公務員の地位を保持していれば有していた俸給請求権という金銭債権を相続するので、
Cの死亡によっても訴えの利益は消滅せず、訴訟は終了されず、Dに承継されるのである。
(解答)
④②
・2問20点。均等配点。