問題:(司法試験平成6年度第1問改題)A県が管理する物に起因して近隣住民であるBが被害を受けた。BがA県に対して損害賠償を請求する場合において、A県が管理する物が道路である場合と河川である場合の考え方に差異がある。それは、どういう性質の違いに基づくものであり、どのように異なるのか。「河川は、」に続けて、道路である場合と比較した河川である場合の特殊性について40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
まず、本問は道路や河川のような公物についての設置・管理の瑕疵が問題となっているため、
(①国家賠償法1条1項②国家賠償法1条2項③国家賠償法2条1項④国家賠償法2条2項)
が問題となっていることを見抜く必要がある。
そして、この国家賠償法2条1項は、危険な物を管理する者は、その者より生じた損害を負担しなければならないという危険責任の法理に基づくものである。
もっとも、道路のような
(①人工公物②自然公物)
ならば、ある程度管理の手も届くし、行政はサービスを積極的に提供する側なのであるが、
河川のような
(①人工公物②自然公物)
ならば、行政の提供すべきサービスは、災害から生命・身体を保護するという消極的な形となる。また、道路と異なり、河川は行政が手を加えずとも危険性を内包したまま、初めからそこに存在するのである。
そのため、河川には危険責任の法理はそのままうまく妥当しない。このように考慮して、判例は道路と河川とを区別している。
どのように区別しているかというと、道路と比べて河川は、本来的な危険性を有しているうえ、簡易な危険回避手段がないことから、その安全性は過渡的なもので足りるとした上、予算制約をも認めている。
予算制約というのは、例えば大規模な堤防の補修工事をすれば、大雨による溢水及びそれに伴う事故はおきなかったという場合において、大雨がおこる前の時点で、予算が足りず、工事に踏み切ることができなかったという反論を認めるということである。
(解答)
③①②
・3問20点。均等配点。小数点第一位四捨五入。