問題:(完全オリジナル問題)Aは、B県公安委員会から、運転免許停止処分をうけた。これを不服とするAは、その処分の取消訴訟を提起したが、この訴訟が裁判所に係属している間に、免許停止処分は期間が終了したことに加え、無事故・無違反のまま1年間が経過し、違反の前歴は抹消された。もっとも、Aとしては、免許証に処分されたことが記載され続けることで名誉が害されるとして、処分の取消しを求め続けている。この場合、裁判所としては、いかなる判決をすべきだろうか。理由と結論を40字程度で記述しなさい。
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本問は、訴訟を提起した当初は処分によるAの不利益は現存していたが、一定期間を経た後の裁判所が判決の対象とすべき時点(口頭弁論の終結時)において、不利益が現存していない場合はどうすればよいかが問われている。
これは、
(①処分性②出訴期間③原告適格④訴えの利益)
の問題であることにまず気づく必要があるわけである。
一応、訴えの利益と原告適格の関係について整理しておく。この2つの訴訟要件は共に行政事件訴訟法9条1項の「法律上の利益」の解釈から導かれる。
原告適格のみが「法律上の利益」から導かれると誤解している人もいるようなので、注意された方がよい。
そして、「法律上の利益」にいう「利益」の中でも
(①主観的利益②客観的利益)
を対象としているのが、訴えの利益であり、
主観的利益を対象としているのが、原告適格なのである。
では、本件において客観的利益である訴えの利益は未だ現存しているといえるか。この点、免許証に処分が記載され名誉が害されるというのは、
(①事実上の②法律上の)利益侵害である。
このような事実上の利益については、「法律上の」という表現から明らかであるように、取消訴訟による保護の対象ではない。国家賠償法等による救済を求めるべきである。
従って、訴えの利益を欠き、「法律上の利益」が認められない結果、訴訟要件が満たされないため、裁判所は
(①請求認容②請求棄却③訴え却下)
判決をすることとなる。
(解答)
④②①③
・4問20点。均等配点。