問題:(司法試験平成10年度第2問改題)Aは、公立高等学校Bへの入学不許可処分に不服であり、取消訴訟を提起した。これと同時に、執行停止の申立てをもしようと考えている。執行停止とは仮の救済の一類型であるが、この執行停止がなされることによってAは救済されるのか、という観点から、Aは執行停止をなす申立ての利益を有するか否か、理由と結論を40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
執行停止の申立てについての問題である。
まず、執行停止の申立ては、本案訴訟が係属していなければ不適法であるが、Aは既に取消訴訟を提起しており、この点は問題ないと考えられる。
次に、本問で問われている、執行停止をなす申立ての利益、つまり執行停止によって自己の利益が現実に保全・回復される必要性、がAにあるのか考える必要がある。
Aがなされた入学不許可処分を執行停止が仮に認められたとすると、処分前の状態に戻るわけだから、
(①Aが高校Bに在籍していることとなる②Aが高校Bに入学を申請している状態になる③BはAを高校に入学させる義務が生じる)
という状態になる。
つまり、Aは、執行停止が認められたとしても、入学が許可されるわけでもなければ、行政庁に審査義務が発生するわけでもない。(33条4項が33条2項を準用していないから)
従って、Aは執行停止によって現実に保全される利益は存在せず、執行停止の申立ては認められない。
Aとしては、仮の救済を求めるのであれば、
(①執行停止②民事保全③仮の差止め④仮の義務付け)を求めるべきである。
(解答)
②④
・2問20点。均等配点。