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原処分主義(初級)


問題:(完全オリジナル問題)国家公務員Aは、懲戒免職処分を大臣から受けたことを不服として、人事院に審査請求した。ところが、人事院は、Aの請求を棄却する裁決を行った。Aとしては、公務員としての地位を回復する手段として、取消訴訟を提起する事を考えているが、懲戒免職処分の取消訴訟と請求棄却裁決の取消し訴訟のいずれを提起すればよいか。理由と結論を40字程度で記述しなさい。

 

(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)

 

本問は、行政事件訴訟法の基本的な原則についての理解を問う問題である。

 

本問のように、処分及びその処分についての裁決が共に存在するときには、最初になされた処分を対象として取消訴訟を提起するのが原則となる。

 

これを、

(①自由選択主義②不服申立前置主義③裁決主義④原処分主義)という。

 

これは、原処分か裁決かどちらかでのみ争うことができる制度にしないと、判断が統一されず、矛盾が生じてしまう可能性があったことと、

 

争う方法を裁決に一本化したのでは、裁決の取消判決の効果によって、原処分まで取り消されるかどうか疑義が存在したため、原処分に一本化することとなったためである。

 

もっとも、原処分主義を前提としても、例えば、本事例でいえば、Aが、人事院の裁決に至るまでの手続がおかしいという理由で取消訴訟を提起するとすれば、裁決の取消訴訟でしか争えないため、裁決の取消訴訟を提起する事となる。

 

以上の話をもう一度行政事件訴訟法の条文に即しておさらいすると、

 

102項は、「処分の取消しの訴えとその処分についての審査請求を棄却した裁決の取消しの訴えとを提起することができる場合」には、原則として処分取り消しの訴えを提起すべきであり、

 

裁決の取消しの訴えにおいては、

(①処分の存在②処分の違法③裁決の存在④裁決の違法)

を理由として取り消すことはできないと規定している

 

さっきの例をもう一度出すと、Aが人事院の裁決に至るまでの手続がおかしいという理由で違法を主張する場合は、それは処分の違法ではなく、裁決の違法を主張している。

 

だから、裁決の取消訴訟を提起できるのである。

 

本事例では、特に裁決の違法に着目すべき事情はないため、原処分主義がそのまま妥当し、Aとしては懲戒免職処分の取消訴訟を提起すべきこととなる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(解答)

④②

220点。均等配点。

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