問題:(完全オリジナル問題)パチンコ店Aは、パチンコ球遊器が課税対象になるという通達が出されたため、かかる通達が具体的な処分となって経営を圧迫する前に手を打つ事を企図し、通達への取消訴訟を考えている。このような訴訟は認められるか。理由と結論を40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
本問は、
(①処分性②原告適格③訴えの利益④出訴期間)
の問題である。
もし、訴訟要件のいずれが問題となっているか考えさせられる問題が出題された場合、処分性→原告適格→訴えの利益の順番で考えるとよい。
今回の事例でも、例えば原告適格が正解じゃないか、という思考に一旦陥ると、パチンコ店Aは、通達が出された相手方でもないのだから、原告適格がないともいえるのではないか、等と考えてしまいがちである。
しかし、Aに法律上の利益が今回認められないのは、そもそも処分でないからである。不利益を受けていないのだから、訴訟により回復すべき利益がないのは当然である。
このような迷路に入らないためにも、訴訟要件は同格という考え方は捨て、処分性→原告適格→訴えの利益という順番になっているものと考えるべきである。
さて、本問において処分性が問題となっている事は分かったが、「処分」(行政事件訴訟法3条2項)とはなんだろうか。
判例によれば、処分とは、公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち、その行為によって、
(①国民に直接負担を課し②直接国民の権利義務を形成し③国民生活に影響を及ぼし④直接国民の自由を制約し)、
またはその範囲を確定することが法律上認められているものをいう、と定義されている。
そして、定義の中で「公権力の主体たる国または公共団体が行う行為のうち」という部分を公権力性、「直接国民の権利義務を形成し、またはその範囲を確定することが法律上認められているもの」という部分を紛争の成熟性と呼ぶことが学説により一般的に承認されている。
今回の事例においては、通達は行政規則であり、法規ではないため、国民の権利義務を形成する作用をもたない。つまり、
(①公権力性②紛争の成熟性)が欠ける。
通達の内容を争いたければ、通達に基づく後続処分について、取消訴訟で争えば足りるのである。
従って、通達への取消訴訟は認められない。
(解答)
①②②
・3問20点。均等配点。小数点第一位を四捨五入。