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遺族固有の損害(初級)


問題:(完全オリジナル問題)Aは、トラック運転中に通話に気を取られ、前方を歩行していたBの存在に気が付かず、Bを撥ねてしまった。Aはすぐに救急車を呼んだが、Bは即死であった。Bの唯一の相続人であるBの娘Cは、Aに対して損害賠償請求することを考えているが、いかなる根拠に基づいて損害賠償請求をすることができるだろうか。複数根拠がありうるならば複数について、40字程度で記述しなさい。

 

(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)

 

丁寧に出題の趣旨を説明する問題文ばかりであったため、意図的に少し出題の趣旨をぼかした問題を作成した。

 

複数根拠がありうるならば複数について、というのは複数根拠があるので複数挙げてくださいというヒントである。

 

まず、Cとしては、ABという「他人の生命を侵害した者」であるので、

(①民法709条②民法711③民法415条④民法703条)

に基づいて被害者の「子」として、遺族固有の損害賠償請求権を根拠に損害賠償請求をすることが考えられる。

 

これが、条文からストレートに導かれる構成である。

 

Cとしては、もう一つ法律構成をする余地がある。

 

それは、BAの不法行為時にAへの

(①民法711条②民法709③民法415条④民法703条)

に基づく損害賠償請求権を瞬間的に取得し、その請求権がBの即死によって、当然に相続人Cへ移転したという構成である。

 

そして、この構成は判例が認めている構成である。判例は、「(生命という)被害法益は当該被害者の一身に専属するものであるけれども、これを侵害したことによって生ずる慰謝料請求権そのものは、財産上の損害賠償請求権と同様、単純な金銭債権」であるから相続の対象となるとしている。

 

通説はこれに反対しているが、判例はこの立場を崩していない。このやや無理がある法律構成の採用を支えているのは、711条の構成によっては逸失利益を遺族が得ることはできず、遺族が得られる額が低額となってしまうという事情である。

 

遺族へ配慮すべきという国民感情が裁判所の立場を後押ししていると言い換えることもできるかもしれない。

 

このように、Cとしては、C固有の損害賠償請求権と相続によって承継した損害賠償請求権の二つの構成をなしうることになる。この二つの請求権の関係(請求権競合なのか、いずれかが優先するのか等)は必ずしも明らかではないが、二つの請求権がありうることは確かである。

 

よって、被害者の「子」という立場と、被害者から請求権を包括承継したことの二つが根拠として挙げられることになる。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(解答)

②②

220点。均等配点。

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