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請負契約(初級)


問題:(完全オリジナル問題)注文者Aは、一度被災していることもあり、耐震に特に関心をもっており、新築の建物を注文するにあたって、30cmの柱での工事を依頼したにも関わらず、請負人Bが誤って25cmの柱で工事をしてしまった。もっとも、25cmの柱であっても耐震性には何ら問題はなかった。注文者Aとしては、Bの瑕疵担保責任を追及しようと考えているが、瑕疵修補請求、損害賠償請求、解除を主張する事が可能であるか各々検討し、結論を40字程度で記述しなさい。

 

(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)

 

結論のみを書かせる問題であるので、記述の仕方に悩むことはなかったはずである。また、請負人の瑕疵担保責任の責任内容には瑕疵修補請求・損害賠償請求・解除があるという事も問題文で説明しており、難易度は低かったのではないかと思う。

 

さて、ではまずAは瑕疵担保責任を追及しようと考えているが、そもそも瑕疵があるのか否かについて検討する。

 

瑕疵とは、目的物として通常備えるべき機能を備えていないことのみを指すわけではない。仕事の内容が契約通りではないことを指す。これは請負契約のみならず、売買契約においても同様である。

 

本問では、30cmの柱での工事が注文者によって指示されており、その柱での工事がなされていない以上、仕事の内容が契約通りとはいえず、瑕疵がある。

 

では、各々の請求権、解除権が発生するか検討していく。

 

瑕疵修補請求権は、6341項本文に定めがあるように、「仕事の目的物に瑕疵があるときは、注文者は、請負人に対し、相当の期間を定めて、その瑕疵の修補を請求することができる」という権利である。

 

もっとも、6341項但書は、

「ただし、瑕疵が

(①事実でない②重要でない③義務的ではない④過失によるものでない)

場合において、その修補に過分の費用を要するときは、この限りでない(=修補請求できない)」と規定している。

 

重要性は、社会通念上の判断に加え、当事者が契約の重要部分と位置付けたか否かにもよる。震災被害に遭い、耐震に強い関心を持っていたAは、わざわざ柱の指定までしていたのであるから、30cmの柱であることは契約の重要部分と評価するのが自然である。

 

よって、6341項但書は適用されず、Aは瑕疵修補請求が可能であると考えるべきである。

 

では、契約解除権はどうだろうか。

 

635条本文は、「仕事の目的物に瑕疵があり、そのために契約をした目的を達することができないときは、注文者は、契約の解除をすることができる。」として瑕疵担保責任の効果として解除を認めている。

 

もっとも、635条但書は、「ただし、建物その他の土地の工作物については、この限りでない(=解除できない)」と定めている。

 

ここから、建物については、解除権が制限されることがストレートに導かれる。残す価値もない欠陥建物は、社会経済上の損失を防止しようとした635条但書の趣旨にあてはまらず、解除権は制限されないが、本問建物は建物としての欠陥があるわけではなく、解除することは許されない。

 

6342項第1文は、「注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができる。」と規定している。ここから、損害賠償請求が本問においても認められる事が分かる。

 

以上より、瑕疵修補請求、損害賠償請求は認められるが、解除は認められない。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(解答)

・1問20点。

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