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詐害行為取消の効果(初級)


問題:(完全オリジナル問題)民法4241項本文は、「債権者は、債務者が債権者を害することを知ってした法律行為の取消しを裁判所に請求することができる」と規定している。この条文にいう「法律行為の取消し」は、民法121条本文(「取り消された行為は、初めから無効であったものとみなす。」)が規定する取消し(例えば、瑕疵ある意思表示の取消し)とは異なる効果を導く取消しであると判例は理解している。効果はどのように異なるのだろうか、40字程度で記述しなさい。

 

(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)

 

本問は難問であると思う。判例の立場を正確に理解していないと、解答を作成するのは難しい。

 

121条と424条においては、取消しという同じ言葉が使われているのだから、統一的に理解して、取消しという法律効果を形成するものであるという最も文言に素直な424条の取消しの解釈が理解がありうる。このような立場の学説は形成権説と呼ばれている。

 

ところが、この考え方を採ってしまうと、取消権の行使により、取引関係に入った利害関係人全員が混乱する事になってしまう。取消権の行使による取引関係への影響が大きすぎるということである。

 

意思表示に瑕疵があったような場合や制限行為能力者であった場合は、表意者や制限行為能力者保護の必要性から、大きな取引関係への影響が発生してもやむを得ないと評価できるが、424条で問題となっている債権者保護の必要性を、表意者や制限行為能力者保護の必要性と同視することはできないのである。

 

そのため、424条の取消しは、あくまで責任財産保全のための権利なのであるから、その目的の範囲で捉えなおせば良いという考え方が支持されている。

 

このような考え方に判例も立ち、424条にいう取消しは、通常の意味における取消しに加えて、

(①執行権②請求権③相殺権④更改権)としての側面も有するものと捉えている。

 

請求権と捉えたならば、取消権者と請求の相手方の関係のみに解消され、取引関係への影響を与える心配はないからである。

 

その上、通常の意味(=取消しという法律効果の形成)における取消しの側面についても、不必要に取引関係への影響を与えることを避けるため、取消しの効力は、逸出した財産を回復するのに必要かつ十分な範囲で、

(①相対的②絶対的③全体的④部分的)

にのみ生ずるという取扱いとなっている。

 

つまり、取消しの効果は、取消債権者と受益者又は転得者との間でのみ生じ、債務者にすら及ばないものと考えられているのである。

 

このような形で、判例は121条で用いられている通常の意味での取消しとは異なる概念として、424条の取消しを捉えている。

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

 

(解答)

②①

220点。均等配点。

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