問題:(完全オリジナル問題)A所有地に生育していた樹木が、台風により隣接するB所有地に倒れこんだ。この場合、AはBに対して樹木の所有権に基づき樹木の返還を求めることが考えられ、BはAに対して土地所有権に基づき樹木による妨害の排除を請求することが考えられる。いずれが認められるであろうか。また、撤去費用はいずれが負担することとなるだろうか。判例の立場に立った場合の結論を40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
本問は、物権的請求権の内容に関する問題である。判例の考え方を貫けば、いかなる帰結となるのかをきちんと把握するための問題でもある。
判例は、物権的請求権の内容は、
(①行為請求権②認容請求権)であると考えている。
行為請求権とは、相手に何らかの行為を請求する権利であり、ここでは樹木の除去作業を相手にさせる権利である。
認容請求権とは、自分の権利行使について相手に文句を言わせない権利であり、ここでは自分で樹木の除去作業をしても、相手にケチつけられないという権利である。
そして、行為請求権であると考えると、費用は請求された側が義務として負担すべきこととなる。
本問のように、物権的請求権が衝突している場合は、行為請求権と考えると論理的には費用負担の帰属先は定まらないが、費用負担の分担に関する定めがない現在においては、物権的請求権を先に行使した側が、相手に費用負担させることができることとなる。
このような不都合を避けるため、返還請求については、相手方がその意思により占有を取得したのでない場合には、受忍請求にとどまると解釈する我妻説(行為請求権修正説)も有力である。
この立場からは、本事例では、Aは認容請求できるにとどまるが、Bは行為請求できることとなる。もっとも、この見解は未だ判例の採るところではない。
本事例の判例の依って立つ行為請求権説を貫いた場合の答えは、ややひっかけ問題のようではあるが、先に請求をした方の請求が認められ、先に請求をした方ではない方が費用負担すべきこととなる。
(解答)
①
・1問20点。