問題:(完全オリジナル問題)Aは、Bからノートパソコンを買ったが、データの抹消をしたいのであと3日だけ使わせてくれというBの頼みを聞き、そのままBに預けておいた。しかし、Bは次の日、Cにもノートパソコンの売買を持ち掛け、売買契約を成立させた後、同様にあと2日だけ使わせてくれと頼み、Cの了承を得た。Bとしては、価格を釣り上げてより高い額を承諾した方に引き渡す腹積もりであった。さて、Cはノートパソコンの所有権を取得しているといえるだろうか。理由と結論を40字程度で記述しなさい。
(下記の問題解説の文章に選択肢が含まれているので、正しいと思う選択肢を選んでいってください。アプリでタッチすれば次々と文章が流れていく形式を想定しておりましたので、選択肢の直後に解答がある場合もございますが、それはご了承ください。)
AB間及びBC間のノートパソコンの引渡し方法は、
(①現実の引渡し②簡易の引渡し③占有改定④指図による占有移転)である。
これさえ分かれば、本問は占有改定による即時取得が認められるかという有名な論点であることに思い至るのは容易であろう。
ただ、その前に、Aが所有権を取得した結果、Bが無権利者となり、CがBC間売買によっては所有権を取得できなくなっていることを確認しておく必要は当然ある。
183条の表現は、「代理人が自己の占有物を以後本人のために占有する意思を表示したとき」という何とも分かりにくい表現であるため、具体例から占有改定であることを見抜けるかが本問の出題の趣旨であった。
条文に即していえば、(本人による占有の)代理人(B)が、自己のノートパソコンを以後本人(AやC)のために占有する意思を、あと少し使わせてくれという表現によって表示したため、占有改定による引渡しなのである。
さて、占有改定による引渡しで、即時取得は成立
(①する②しない)。
これは、占有改定によっては、客観的な所有関係に変化が生じておらず、曖昧な法関係を確定させたことによる褒美として保護を与えるという即時取得の一側面が妥当しないし、
また、本問に即して言えば、Bは未だ占有を有しており、Aから自己の物を取り戻すことができる地位にあるのに、その段階で所有権者Aの権利を奪うのは、酷であると考えられているからである。
よって、Cは所有権を取得できない。
(解答)
③②
・2問20点。均等配点。