Home // 判例解説 // 憲法判例解説 // 板まんだら事件(百選203事件)

板まんだら事件(百選203事件)


板まんだら事件(最判昭和56・4・7、百選203事件)

 

[事実の概要]

 

原告は、創価学会の元信者たち、被告は、創価学会である。

 

yumi7

 

 

板まんだらを安置する正本堂を建てるよ~。寄附金ちょうだい~

 

tika1

 

 

は~い!

 

 

yumi6

 

もうすぐ日蓮の教えが全世界に広まるからね、ラストスパートだよ!

気合を入れて寄付してね!

 

tika12

 

 

は、は~い!

 

 

板まんだらとは、正式名称「日蓮聖人の弘安2年10月12日に御建立遊ばされた一閻浮提総与の御本尊」といい、地裁判決の認定によれば、創価学会の本尊である。

また、日蓮の教えが全世界に広まる事を、広宣流布といい、

 

正本堂建立御供養趣意書において、

「正本堂建立は、実質的な戒壇建立であり、広宣流布の達成である」と言っていたのに、

 

正本堂の完成直前になってから、

聖教新聞で、「正本堂建立をもって、なにもかも完成したように思い、ご遺命は達成してしまったとか、広宣流布は達成されたなどということは誤りである」と公言していた。

 

[訴訟上の主張]

 

tika3

 

寄附金(総額540万円)を返還して!

仮執行も付けてね!

 

 

 

原告の主張は、要約すると、

① 板まんだらが本物で、また、広宣流布達成の時期だと思ったから、寄付したのに、どっちも嘘だった、寄付行為は要素に錯誤があり無効である。

② 広宣流布の時期に関して前言を翻した点は、詐欺であって、原告は、詐欺による意思表示を取消す

③ 原告らは、この出訴により、被告から除名処分を受けた。これに伴い、原告らが被告の会員であることに基づいて支払った寄附金は、法律上の原因を失っている

・・・と主張し、被告は不当利得として、返還する義務がある!と構成した訳である。

なお、原告の②③の主張は、準備手続終了後になされたものであった。

 

これに対し、被告は、

メインの反論として、

④ 宗教上の信仰対象の真否等に関する争いは、法令の適用によって解決するに適さないものであり、例え前提問題としても裁判所の審判を受けるべき事柄ではない!と主張し、

補充的に、①に関し、要素の錯誤ではない等反論した。

 

[訴訟経過]

 

第一審判決(東京地判昭和50・10・6):原告の訴え却下

 

・・・第一審判決は、被告の④の主張を認め、原告の訴えを却下したのである。

 

控訴審判決(東京高判昭和51・3・30):第1審判決の破棄、差し戻し

 

・・・つまり、④の主張を斥け、法律上の争訟にあたる事を前提に第1審に改めて判断させるよう判断したのである。

この点に不服のある被告が、④の主張に関して、最高裁の判断を仰ぐため、上告をした。

 

[判示内容]

 

主    文

 

原判決を破棄する。

被上告人らの控訴を棄却する。

控訴費用及び上告費用は被上告人らの負担とする。

 

理    由

 

(1) 規範定立

 

「裁判所がその固有の権限に基づいて審判することのできる対象は、裁判所法三条にいう「法律上の争訟」、すなわち当事者間の具体的な権利義務ないし法律関係の存否に関する紛争であって、かつ、それが法令の適用により終局的に解決することができるものに限られる。したがって、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争であっても、法令の適用により解決するのに適しないものは裁判所の審判の対象となりえない、というべきである。」

 

(2) あてはめ

 

「これを本件についてみるのに、錯誤による贈与の無効を原因とする本件不当利得返還請求訴訟において被上告人らが主張する錯誤の内容は、(1)上告人は、戒壇の本尊を安置するための正本堂建立の建設費用に充てると称して本件寄付金を募金したのであるが、上告人が正本堂に安置した本尊のいわゆる「板まんだら」は、日蓮正宗において「日蓮が弘安二年一〇月一二日に建立した本尊」と定められた本尊ではないことが本件寄付の後に判明した、(2)上告人は、募金時には、正本堂完成時が広宣流布の時にあたり正本堂は事の戒壇になると称していたが、正本堂が完成すると、正本堂はまだ三大秘法抄、一期弘法抄の戒壇の完結ではなく広宣流布はまだ達成されていないと言明した、というのである。要素の錯誤があつたか否かについての判断に際しては、右(1)の点については信仰の対象についての宗教上の価値に関する判断が、また、右(2)の点についても「戒壇の完結」、「広宣流布の達成」等宗教上の教義に関する判断が、それぞれ必要であり、いずれもことがらの性質上、法令を適用することによっては解決することのできない問題である。

 

「本件訴訟は、具体的な権利義務ないし法律関係に関する紛争の形式をとっており、その結果信仰の対象の価値又は宗教上の教義に関する判断は請求の当否を決するについての前提問題であるにとどまるものとされてはいるが、本件訴訟の帰すうを左右する必要不可欠のものと認められ、また、記録にあらわれた本件訴訟の経過に徴すると、本件訴訟の争点及び当事者の主張立証も右の判断に関するものがその核心となっていると認められることからすれば、結局本件訴訟は、その実質において法令の適用による終局的な解決の不可能なものであつて、裁判所法三条にいう法律上の争訟にあたらないものといわなければならない。」

 

(3) 結論

 

「そうすると、被上告人らの本件訴が法律上の争訟にあたるとした原審の判断には法令の解釈適用を誤った違法があるものというべきであり、その違法は判決の結論に影響を及ぼすことが明らかであるから、論旨は理由があり、原判決は破棄を免れない。」

 

(4)補足:原告の②③の主張に関して

 

「なお、第一審の準備手続終結後における被上告人らの仮定的主張(詐欺を理由とする贈与の取消あるいは退会により本件寄付は法律上の原因を欠くに至つたとの主張)は、民訴法二五五条一項に従い却下すべきものである。したがって、その余の上告理由について論及するまでもなく被上告人らの本件訴は不適法として却下すべきであるから、これと結論を同じくする第一審判決は正当であり、被上告人らの控訴はこれを棄却すべきである。」

 

[コメント&他サイト紹介]

 

信者の方もアンチの方も多い宗教なので、とても気をつかいました。判決自体は、主に一つの論点しか取り扱っていないですし、難しくはないですよね。

 

行政書士無料合格ノート様の、

http://houritusikakusikenn.seesaa.net/article/372867703.html

・・・この記事は、とてもわかりやすく説明して下さっています。

 

また、憲法をわかりやすく様の、

http://consti.web.fc2.com/16shou1.html

・・・このページは、板まんだら事件への記載は少ないものの、板まんだら事件を憲法学の文脈の中で正確に位置づけるためには、とても役に立つはずです。

Top