『行政法総論>間違い指摘問題>その1』
・行政行為の撤回は、処分庁が、当該行政行為が①違法になされたことを理由にその効力を消滅させる行為であるが、効力の消滅が②将来に向かってなされる点で職権取消と異なる。
→①「違法になされたこと」。撤回は、違法ではなく、その後に発生した新しい事情を理由に効力を消滅させる行為である。
『行政法総論>間違い指摘問題>その2』
・公務員の懲戒免職処分は、当該公務員の①個別の行為に対しその責任を追及し、公務員に制裁を課すものであるから、②任命行為の職権取消にあたる。
→②「任命行為の職権取消」。新しい事情を理由に任命の効力を消滅させているため、職権取消ではなく、任命行為の撤回である。
『行政法総論>間違い指摘問題>その3』
・行政行為の職権取消は、私人が既に有している①権利や法的地位を変動(消滅)させる行為であるから、当該行政行為の根拠法令において②個別に法律上の根拠を必要とする。
→②「個別に法律上の根拠を必要とする」。職権取消は、違法の瑕疵を取り除くことを目的としており、目的が法律による行政の原理に合致しているため、職権取消行為自体に法律上の根拠は必ずしも必要とされていない。
『行政法総論>間違い指摘問題>その4』
・A市は、風俗営業のための建築物について、条例で独自の規制基準を設けることとし、当該基準に違反する建築物の建築工事については市長が中止命令を発しうることとした。この命令の実効性を担保するための手段を条例で定める場合、当該建築物により営業を行う事業者に対して①1千万円以下の②罰金を科す旨の定めをおくことができる。
→①「1千万円」。罰金を科すこと自体は可能だが、普通地方公共団体が罰金を科すことができるのは、100万円が限度である。
『行政法総論>間違い指摘問題>その5』
・行政代執行では、①行政庁が必要と認める場合には、②代執行令書による通知手続を経ないで代執行をすることができる。
→①「行政庁が必要と認める場合」。非常の場合又は危険切迫の場合において、緊急の必要があり、正規の手続きをとる暇がない場合が正解。
『行政法総論>間違い指摘問題>その6』
・行政代執行は、①義務者の義務不履行をその要件として、その②意に反して行われるので、行政代執行手続においても、行政手続法上の③不利益処分の規定が適用される。
→③「不利益処分の規定」。行政手続法に定める不利益処分の定義からは、わざわざ代執行のような事実行為は除外されている。
『行政法総論>間違い指摘問題>その7』
・行政代執行法は、①法令違反の是正が目的とされているから、義務の不履行を放置することが②著しく公益に反しない場合であっても、代執行が可能である。
→②「著しく公益に反しない場合であっても」。義務の不履行を放置することが著しく公益に反することも要件の1つとされている。
『行政法総論>間違い指摘問題>その8』
・計画策定権者に①広範な裁量が認められるのが行政計画の特徴であるので、裁判所による計画裁量の統制は、②重大な事実誤認の有無の審査に限られる。
→②「重大な事実誤認の有無の審査に限られる」。裁判所による計画裁量の統制は、重大な事実誤認の有無の審査だけではなく、判断の過程において考慮すべき事情を考慮しているか否かという判断過程にまで及ぶ。
『行政法総論>間違い指摘問題>その9』
・公営住宅の使用関係については、公営住宅法およびこれに基づく条例が特別法として民法および借家法(事件当時)に①優先して適用される。そして、公営住宅法および条例に特別の定めがない限り、原則として一般法である②借家(借家)法の適用はないが、民法の適用はあるため、その契約関係を規律するについては、③信頼関係の法理の適用がある。
→②「借家(借家)法の適用はない」。借家法(現在でいう借地借家法)の適用も民法の適用も排除されない。
『行政法総論>間違い指摘問題>その10』
・内閣府は、①内閣に置かれる②行政機関であって、その長は③官房長官である。
→③「官房長官」。内閣総理大臣が正解。
『行政法総論>間違い指摘問題>その11』
・省には外局として、①委員会及び庁が置かれるが、内閣府には②そのような外局は置かれない。
→②「そのような外局は置かれない」。省と同様、内閣府も委員会及び庁を外局として置くことができるし、現実に置かれている。
『行政法総論>間違い指摘問題>その12』
・各省および内閣府には、必置の機関として①事務次官を置くほか、内閣が必要と認めるときは、②閣議決定により副大臣を置くことができる。
→②「閣議決定により副大臣を置くことができる」。各省においても内閣府においても副大臣は必置の機関であるため、必要と認めるときに閣議決定で副大臣を置くことができるという表現は誤り。
『行政法総論>間違い指摘問題>その13』
・内閣は、①政令を制定するほか、内閣府の所掌事務について、内閣府の命令として②内閣府令を発する権限を有する。
→②「内閣府令を発する」。内閣府令を発する権限を有するのは内閣ではなく、内閣総理大臣である。
『行政法総論>間違い指摘問題>その14』
・国家公務員法に関して、懲戒に付せられるべき事件が、刑事裁判所に係属する間においては、①人事院又は②人事院の承認を経て任命権者は、同一事件について、③懲戒手続を停止しなければならない。
→③「懲戒手続を停止しなければならない」。適宜に、懲戒手続きを進めることができる、が正解。
『行政法総論>間違い指摘問題>その15』
・上級行政庁は下級行政庁に対して①監視権や②取消権などの指揮監督権を有するが、③訓令権については認められていない。
→③「訓令権」。指揮監督権の一内容として、訓令権も認められている。
『行政法総論>間違い指摘問題>その16』
・行政行為は①不可争力を有するから、行政行為に取り消しうべき瑕疵がある場合でも、行政事件訴訟法に定める出訴期間の経過後は、行政庁は、当該行政行為を②取り消すことはできない。
→②「取り消すことはできない」。不可争力により、行政行為の相手方は、出訴期間の経過後に効力を争うことはできなくなるが、行政庁自ら職権取消をすることは可能である。
『行政法総論>間違い指摘問題>その17』
・即時強制は①法令により個別に根拠づけられている場合にのみ認められるが、いわゆる②成田新法による建物の実力封鎖、③警察官職務執行法による武器の行使がその例である。
→②「成田新法による建物の実力封鎖」。警職法による武器の行使は即時強制にあたるが、成田新法による建物の実力封鎖は、収去義務という義務が前提となっており、直接強制にあたる。
『行政法総論>間違い指摘問題>その18』
・行政組織の長である大臣と、その組織に服する職員との間には、①公法上の服務関係が成立し、私企業におけるような②雇用関係、労働関係は成立しない。
→②「雇用関係、労働関係は成立しない」。公法上の服務関係が成立するのはその通りだが、雇用関係や労働関係が全く成立しないわけではない。