『債権各論>間違い指摘>その1』
・A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった場合、上記建物は、①Bの責めに帰すことができない事由により焼失したので、危険負担に関し建物の滅失については②Aの負担に帰する。
→②「Aの負担に帰する」。Bの債務の履行は完了しており、危険負担が問題となる局面ではない。
『債権各論>間違い指摘>その2』
・A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった場合、Aは、Bに対して①代金の支払いを免れることはできないが、②債務不履行を理由とする損害賠償請求をすることができる。
→②「債務不履行を理由とする損害賠償請求をすることができる」。本問では、Bの債務の履行は完了しており、債務不履行は問題とならない。
『債権各論>間違い指摘>その3』
・A・B間で建物の売買契約が成立し、Aは、Bから建物の引渡しを受け、また、移転登記も得て、近く同建物に引っ越しをしようと思っていたところ、同建物は、第三者Cの放火によって焼失してしまった場合、①Aは、Bに対して代金の支払いを免れることができる上、Cに対して②不法行為を理由として損害賠償請求をすることができる。
→①「Aは、Bに対して代金の支払いを免れることができる」。Bは債務を既に履行しているため、危険負担も債務不履行解除も問題とならないので、Aは代金債務を免れることはできない。
『債権各論>間違い指摘>その4』
・当事者が賃貸借の期間を定めないときは、各当事者は①いつでも解約の申入れができ、申入れの②意思表示が相手方に到達したときに賃貸借は終了する。
→②「意思表示が相手方に到達したとき」。賃貸借が終了するのは、土地なら1年、建物なら3か月、動産等なら1日が経過した後である。
『債権各論>間違い指摘>その5』
・特約がないかぎり、請負人は①仕事を完成する義務を負うから、②下請負人に仕事を委託することはできない。
→②「下請負人に仕事を委託することはできない」。請負人が負うのは、仕事を完成する義務であり、自ら完成することは要求されていない。下請は実社会でも無数になされている。
『債権各論>間違い指摘>その6』
・完成した仕事の目的物である建物に瑕疵があった場合、注文者は①修補か、②損害賠償のいずれかを選択して請負人に請求することができるが、③両方同時に請求することはできない。
→③「両方同時に請求することはできない」。注文者は、瑕疵の修補に代えて、又はその修補とともに、損害賠償の請求をすることができるものと規定されており、両方同時に請求することも可能である。
『債権各論>間違い指摘>その7』
・委任者は、委任契約を①いつでも解除することができるが、受任者が委任者にとって不利な時期に解除するには、②やむをえない事由がなければならない。
→②「やむをえない事由がなければならない」。不利な時期であっても、いつでも解除できる。やむを得ない事由がなければできるとされているのは受任者による委任者への損害賠償請求である。
『債権各論>間違い指摘>その8』
・AはBのためにある事務処理を行った。Aは、A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合において、事務の処理に関して費用を要するときは、①Bに対しその費用の前払いを請求することができないのと同様、Bのために行った事務管理である場合にも、②Bに対し事務の管理により生じる費用の前払いを請求することができない。
→①「Bに対しその費用の前払いを請求することができない」。Bに対しその費用の前払いを請求することができるが正解。
『債権各論>間違い指摘>その9』
・AはBのためにある事務処理を行った。Aは、A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、①事務を処理するために善良なる管理者の注意をもって必要と判断した費用についてBに対し償還請求をすることができるのに対し、Bのために行った事務管理である場合には、②Bのために必要・有益であった費用についてのみBに対し償還請求をすることができる。
→②「Bのために必要・有益であった費用についてのみ」。Bのために有益であった費用についてのみが正解。受任者は、必要費について償還請求できるのに対し、事務管理者は、有益費についてのみ償還請求できるとされるにとどまっている。
『債権各論>間違い指摘>その10』
・AはBのためにある事務処理を行った。Aは、A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、Bを代理する権限が①法律上当然には認められないのに対し、Bのために行った事務管理である場合には、Bを代理する権限が②法律上当然に認められる。
→②「法律上当然に認められる」。受任者も事務管理者も代理する権限が法律上当然に認められることはない。
『債権各論>間違い指摘>その11』
・AはBのためにある事務処理を行った。Aは、A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、事務を処理するにあたって①受け取った金銭をBに引き渡さなければならないが、Bのために行った事務管理である場合には、Bに対し②そのような義務を負わない。
→②「そのような義務を負わない」。受任者も事務管理者も受け取った金銭その他の物は、引き渡さなければならない。
『債権各論>間違い指摘>その12』
・AはBのためにある事務処理を行った。Aは、A・B間における委任契約に基づく債務の履行である場合には、委任の終了後に遅滞なく①Bに事務処理の経過および結果を報告しなければならないのに対し、Bのために行った事務管理である場合には、事務管理を終了しても、②Bの請求がない限り、事務処理の結果を報告する義務を負わない。
→②「Bの請求がない限り、事務処理の結果を報告する義務を負わない」。受任者も事務管理者も遅滞なくその経過及び結果を報告する義務を負っている。
『債権各論>間違い指摘>その13』
・借家の塀が倒れて通行人が怪我をした場合、塀の占有者である借家人は通行人に対して①責任を負う可能性はあるが、塀を直接占有していない所有者が②責任を負うことはない。
→②「責任を負うことはない」。所有者は、占有者が責任を負わない場合は、無過失責任を負うため、所有者が責任を負うことはないという記述は誤りである。
『債権各論>間違い指摘>その14』
・不法行為による損害賠償債務については、①催告をまたず、②損害賠償請求と同時に遅滞に陥るとするのが判例の立場である。
→②「損害賠償請求と同時に」。損害発生と同時に、が正解。