問題:以下の【相談】に対して、〔 〕の中に適切な文章を40字程度で記述して補い、最高裁判所の判例を踏まえた【回答】を完成させなさい。
【相談】
私は、X氏から200万円を借りていますが、先日自宅でその返済に関してX氏と話し合いをしているうちに口論になり、激昂したX氏が投げた灰皿が、居間にあったシャンデリア(時価150万円相当)に当たり、シャンデリアが全損してしまいました。X氏はこの件については謝罪し、きちんと弁償するとはいっていますが、貸したお金についてはいますぐにでも現金で返してくれないと困るといっています。私としては、損害賠償額を差し引いて50万円のみ払えばよいと思っているのですが、このようなことはできるでしょうか。
【回答】
民法509条は「債務が不法行為によって生じたときは、その債務者は、相殺をもって債権者に対抗することができない。」としています。その趣旨は、判例によれば〔 〕ことにあるとされています。ですから今回の場合のように、不法行為の被害者であるあなた自身が自ら不法行為にもとづく損害賠償債権を自働債権として、不法行為による損害賠償債権以外の債権を受働債権として相殺をすることは、禁止されていません。
(空欄を補充してください)
509条の趣旨は、判例によると、「薬代は現金で」という標語でもあらわされる、(①15字以内)と、腹いせ防止ともいえる、(②10字以内)の2つである。
(解答例)
①現実の弁済による損害填補
②不法行為の誘発防止
(採点基準)
①「現実」「弁済」があれば5点。「損害」があれば+5点。
②不法行為があれば5点。「誘発」があれば+5点。計20点。